徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 副理事長
湘南鎌倉総合病院 (神奈川県) 院長
篠崎 伸明(しのざきのぶあき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

篠崎 伸明(しのざきのぶあき)

医療法人徳洲会 副理事長 湘南鎌倉総合病院 (神奈川県) 院長

2021年(令和3年)11月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1311

つねに徳洲会の理念・哲学を頭と心に刻み
「何ができるか」を考え実行できる組織に
新型コロナ感染症第5波から再確認できたこと

“生命だけは平等だ”、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会の実現」、「救急は決して断らない」、生命に順番が付くことがないよう「患者さんからの贈り物は一切受け取らない」という徳洲会の理念・哲学を各徳洲会病院のリーダーの皆さんは、医療の最前線で働く職員の方々にどれだけ共有できていますでしょうか。

徳田・名誉理事長の怒りと悲しみから生まれた徳洲会

徳洲会グループは、創設者の徳田虎雄・医療法人徳洲会名誉理事長が、少年だった頃に体験した悲しい出来事から生まれた組織です。徳田・名誉理事長が9歳の時に、3歳の弟が夜間に発病し、医師に診察を断られ亡くなり、「夜中であったからか、貧乏な家であったからか、なぜ医師は断ったのか、世の中には不平等なことがたくさんあるが、生命だけは平等であってほしい」という大きな怒りと深い悲しみからつくられたのです。徳洲会グループの理念・哲学の継承のためには、病院のリーダーがそれを職員に教育し、「実現しよう、実現に近づけよう」とするマインドをもった職員を育成することに注力する必要があると思います。率先垂範しながら良好なコミュニケーションを取り、理念・哲学について学び合える機会をつくっていただきたいと願います。

徳洲会グループの職員の皆さんは理念・哲学をつねに頭と心に刻み、生命だけは平等であるよう、いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会が実現できるよう、「何ができるか」、「より良い病院にするにはどうしたらよいか」、「最善の医療とは何か」を日頃から問い続けていただきたいと思います。それは国内のみならず海外の困っている患者さんについても同様であります。

コロナ患者さん受け入れに力 地域での病院の役割が明確に

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(大流行)によって、徳洲会病院の地域での役割が明確になったのではないでしょうか。多くの徳洲会病院は地域での役割・ポジションを見出し、コロナ患者さんの受け入れに全力を注ぎました。離島唯一の病院はコロナ患者さんも、通常の医療を求める患者さんも当然断ることができませんし、大規模病院であれば軽症から重症までを受け入れ、地域に中核病院がある病院は後方支援の役割を担うなど、その地域ごとに病院それぞれの存在意義、ポジションが明らかになったはずです。

しかし、一方では昭和の時代以降、あまり聞くことがなかった「救急のたらい回し」がニュースとなりました。徳洲会グループのなかでも断らざるを得ない病院もあったことでしょう。残念ながら断ってしまった病院は、なぜ断らなければならなかったのかを一件ずつ丁寧に分析し、改善に努める必要があります。そして、重要なのは断った患者さんが、その後どうなったのかを知ることです。個人情報の問題により、把握できないかもしれませんが、把握する努力をし、職員の皆さんは問題を共有して、患者さんの痛みを分かち合い、慣れることなく、つねに「何ができるか、何を改善できるか」を院内でディスカッションすることが大切です。

そのためにはディスカッションできる風土・文化・仕組みをつくり上げることが肝要です。これは「断らない医療」を実践していくためには、とても重要なプロセスだと思います。「良い意見に従い意思決定する」という考え方の下、各病院のリーダーはオーケストラの指揮者のように、院内のハーモニーをつくり上げ、時には不協和音を整え、病める患者さんたちに心地良い演奏を聴いていただき、心も身体も養って帰っていただけるようにタクト(指揮棒)を振るっていただく必要があります。

「また、あの演奏を聴きたいな」と思っていただけるような病院づくりが重要です。病気の時だけでなく、癒やしを求めて人が集まる病院・コミュニティの創造が、今後の社会には必要になると感じます。オンライン技術が進歩していますが、感染対策をしっかりし、人と人との触れ合いがある温かなコミュニティを目指すべきだと考えます。

各病院の皆さん、徳洲会の理念・哲学をつねに念頭に置き、これからも地域での役割を達成できるよう、強みを生かし、弱みを克服し、その地域に必要な病院となれば、病院経営が厳しい時代になっても生き抜いていけるはずです。

皆で頑張りましょう。

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