徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

札幌徳洲会病院 院長
奥山 淳(おくやまあつし)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

奥山 淳(おくやまあつし)

札幌徳洲会病院 院長

2021年(令和3年)10月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1310

呼吸器関連の特定行為研修終えた看護師
コロナ患者さんの人工呼吸器管理に貢献
「医師の働き方改革」にらみ多職種連携を加速


国内で新型コロナウイルス感染症の発生が報告されたのは昨年1月のことでした。この1年10カ月で政治、経済、社会環境、ライフスタイルなどが劇的な変化を遂げており、まさに激動の時代、時代の転換期の真っただ中にあるのではないでしょうか。


この間、2人の首相が交代したのをはじめ、企業・団体のトップ交代が多数ありました。商業施設や飲食店の営業形態の変化、密集・移動の抑制にともなうリモートワークや時差出勤など新しいスタイルが見られました。その影響かもしれませんが、昨年から東京都の転入超過数が激減し、今年3月からは人口も減少に転じています。会議など人が集まるイベントはWEBでの開催が主流となり、徳洲会グループ医療経営戦略セミナーも例外ではありません。医療面では毎年2~3%増加傾向にあった医療費が、昨年度は国民皆保険となった1961年から60年間で、初めて過去最大の3.2%減少となりました。新型コロナによる病院への受診抑制や他の感染症の減少のほか、いわゆる「不要不急」の受診が減少したと考えられ、医療提供体制もライフスタイルに適応し変化していく必要があるでしょう。


第5波と称される今年8月の感染者増は1月の第3波、5月の第4波に続く3度目の大流行で最大規模になりましたが、急速に感染者も死者も減少傾向となり、9月末で緊急事態宣言と、まん延防止等重点措置が全国一斉に解除されました。100年前にパンデミック(世界的大流行)となったスペイン風邪は3度の大流行の後、急速に収束していきました。新型コロナも、そうなってほしいものですが、第6波を想定し用心しておくに越したことはありません。

看護師特定行為研修センター 院外の研修生受け入れへ準備

当院は昨年2月に厚生労働省から看護師の特定行為研修を行う指定研修機関に認定され、その2カ月後に看護師特定行為研修センターを開設しました。「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」、「栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連」、「動脈血液ガス分析関連」の3区分で、当院の看護師6人が研修を開始し、今年3月に無事研修を修了しました。他施設で研修を修了した2人を含め、当院の特定看護師は8人となりました。今年度は「術中麻酔管理領域(パッケージ研修)」を加え、新たな7人と、昨年度の研修生3人(他の区分を受講)の計10人が研修を行っています。来年度からは在宅、慢性期などの医療、院内および地域でのニーズを考慮し、新たな区分として「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」を加え、さらに院外からも研修生を受け入れる準備をしています。


札幌市では新型コロナ陽性患者さんの受け入れは大規模な公的施設が主に担っており、当初、当院は行政の区分上、疑似症を受け入れる施設で、陽性が判明した段階で転院調整していました。しかし市内の陽性者増にともない転院調整に難渋することが想定されたため、昨年12月28日に独自に陽性病棟を8床設置しました。区分上、当院はもっぱら軽症・中等症を受け入れ、重症患者さんは当該施設に転院調整しています。北海道では第5波よりも第4波の時のほうが、陽性者が多く見られ、当院でも陽性病棟は常時満床で、ICU(集中治療室)に救急外来で陽性が判明した患者さんが待機する状態でした。入院適応の陽性者が急増し重症患者さんも増加したため、市内の重症患者さんを受け入れる施設が満床となり、当院の入院患者さんが重症化しても自院で診ざるを得ませんでした。重症化した場合、人工呼吸管理が必要になります。

特定看護師は早期診断・回復 QOL向上などに大きく寄与

ちょうどその時期に、呼吸器関連の特定行為研修を終えた看護師が陽性病棟に在籍しており、人工呼吸器の管理に積極的にかかわっていただきました。研修の成果が生かされ、即戦力として病院にも貢献いただいたと思います。その他、気管カニューレの交換、中心静脈カテーテル抜去、救急外来での動脈血ガス分析など、特定看護師は患者さんに一番近い存在(看護師)だからできるタイムリーな処置により、患者さんの早期診断、早期回復およびQOL(生活の質)向上に大きく貢献しています。「医師の働き方改革」を進めるうえで、多職種間の連携をますます推進していく必要があります。アフターコロナの時代に向けて、皆で頑張りましょう。

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