徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

日高徳洲会病院(北海道) 院長
井齋 偉矢 (いさいひでや)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

井齋 偉矢 (いさいひでや)

日高徳洲会病院(北海道) 院長

2021年(令和3年)10月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1309

新病院は万全の地震・津波・洪水対策講じ
過疎地域に適したケアミックス病棟を企図
分離した感染病棟や医介複合施設なども目指す

まだ進行中ではありますが、今までの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(大流行)を振り返ってみますと、病院のトップであり、かつ院内感染防止対策委員会(ICC)のトップでもある院長が、大流行が懸念される感染症に対して、最初にどれくらいの危機感をもったかが、その後の病院の感染対策に大きな影響を与えることを実感しました。


日本で最初に確定診断が出たのが2020年1月15日。28日には北海道で1例目が確認されました。同月26日、当院の医師にメールで、ランセット電子版に1月24日に公開された論文『中国・武漢における2019年 新型コロナウイルス感染者の臨床的特徴』の要旨を知らせました。2月23日に主に漢方薬の柴葛解肌湯(さいかつげきとう)を使用するCOVID-19治療指針を医局に示し、現在も共有しています。

感染防止対策委を毎日開催 危機感共有でき病院一丸に

25日には第1回ICCを開きました。感染対策ガイドラインはもとより治療薬もワクチンもない状況でしたので、感染対策は自力でつくるしかありませんでした。ICCは3月上旬までは、ほぼ毎日開催しました。これにより院内に危機感が共有でき、文字どおり病院が一丸になったと思います。北海道は、まだ非常に寒い時期でしたが、感染者を院内に入れないようにするため、正面玄関で検温・問診などによるトリアージ(選別)を開始しました。最初は、その物々しさに、地域の方々はドン引きしたようですが、しばらくすると厳格な感染対策に対する理解が定着し、逆に地域の信頼感が増す結果となりました。


2月26日からは屋外のプレハブで一般外来を開始しました。同日に外来患者さんから1例目のCOVID-19陽性者が出たため、通所リハビリテーション(通リハ)、リハビリ、予防接種、栄養指導を中止しました。


また、唐突に全国の学校が一斉休校になり、小学生のいる職員が出勤できなくなる事態が想定されたため、面積が広い通リハホールを、学童を含む臨時保育施設にしました。この対策によって休校に起因する欠勤を防ぐことができました。その後、地域での感染者数が把握できるようになり、3月末からプレハブを発熱外来にし、一般外来は院内に変更しました。4月16日に北海道が緊急事態宣言の対象になりましたが、当院では遡(さかのぼ)ること1カ月半前から、院内に緊急事態が宣言されているも同然でしたので、とくに緊張感が増したようには見えませんでした。11月に職員2人と入院患者さん3人のクラスター(感染者集団)が発生しましたが、幸い、それ以上の拡大は起きず、最短で終息しました。これも、ふだんからの徹底した感染対策の賜物であると感じました。21年3月には突貫工事で完成した発熱外来棟の運用を開始しCOVID-19ワクチンの職員への接種も3月30日にスタートしました。使用していなかった急性期病棟の病室を改造し、6月から陽性受け入れ2床、擬似症例受け入れ7床で運用を開始しています。

コロナ禍で緊張強いられる 職員の頑張りに報いる企画

昨年2月から1年半以上、職員には緊張を強いる態勢を組まざるを得なくなり、行動の制限も相まって、非常にストレスの強い環境で頑張っていただきました。ふだんなら大いに気晴らしになる花見もなく、職員旅行もなく、忘年会もない、かわいそうな状況に対し、8月6日に職員親睦会主催による「『ひだとくちゃんねる』宝くじ抽選会」がYouTubeを用いて開かれました。今後も全職員が癒やされるような企画を考えてもらうよう関係部署にお願いしてあります。


これまでの経験をふまえ、漢方医学の知識を動員して9月16日に『新型コロナと速効!漢方』を上梓しました。感染予防、重症化防止、ワクチン副反応の改善に有用な漢方服用法を紹介しています。


築30年以上経過した当院は新築移転計画病院になり、現在、建設地を絞っているところです。大まかな新病院のコンセプトとして万全の地震・津波・洪水対策、過疎地域に適合したケアミックス病棟、寒冷地に必須の24時間換気システム、感染蔓延時にも対応できる分離した感染病棟、介護施設が敷地内にある医療介護複合施設など、夢だけはどんどん広がりますが、現実と折り合いを付けながら、計画を推進していく考えです。


日常が戻ってくるまで、皆で頑張りましょう。

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