徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)09月10日 火曜日 徳洲新聞 NO.2024Paris 2面

米田功監督
“諦めずに闘いきる”大切さ
体操界を牽引するクラブへ

パリ五輪で、杉野と岡が最高の結果をもたらしてくれました。予選終了時、「日本は最高の演技をしないと勝てないのでは……」と感じるほど、中国の強さが印象的でしたが、団体総合の決勝を見て、あらためて“諦めずに闘いきる”大切さを痛感しました。予選から決勝まで、日本の闘いぶりを見た多くの体操関係者の方から、杉野と岡をたたえる声が届きました。

両選手が活躍したポイントのひとつを挙げるとすれば、「入念な準備」と言えるかもしれません。昨年、ともにA代表をはずれてから、パリ五輪に向けふたりには「日々の結果に一喜一憂しない」、「目の前のことに集中する」、「練習でも無駄な1本(1回の演技)を出さない。本番だと思って取り組む」ことを繰り返し言いました。五輪の舞台で力を発揮するために、とくに大事になると思ったことです。また、日々のトレーニングは、選手と監督・コーチ陣が話し合い、目標設定や練習メニューを軌道修正しながら実施。選手の自主性を尊重しすぎず、必要な時には監督やコーチが積極介入する。以前から行っている当クラブの特徴的な取り組みです。

パリ五輪でも、WEB会議システムを活用し、現地での練習風景を収めた動画を共有しながら選手やコーチと話し合うとともに、「結果を求めるために、結果から離れる」、「1時間アップ、3分アップは本番を想定し、しっかりやる」といったことを伝えました。

練習にパリ五輪仕様の器具導入

練習のための器具も鉄棒と平行棒は、パリ五輪仕様を導入。器具はメーカーなどによって、しなり具合や硬さが異なり、選手の感覚に影響する可能性があります。今回の代表メンバーで杉野と岡だけが五輪未経験者。ふたりは、日本の最大目標でもある団体総合優勝で、勝負を決する最終2種目(平行棒と鉄棒)に絡むことがわかっていたため、できるだけのことはしようと思いました。

ふだんの力が発揮できる環境づくりやトレーニングに尽力したことが、安定した演技に結び付いたのかもしれません。努力の積み重ねが結実し、喜びよりも安心感のほうが強かったと記憶しています。

私が2004年のアテネ五輪で金メダルを手にした後、新たな世界が広がっていきました。杉野と岡も、これから経験していくことでしょう。彼らの喜ぶ姿を会場で見ながら、そうした経験をクラブのなかで継いでいけることに対し、しみじみ良かったなと思いました。

徳田・名誉理事長に良い報告

クラブの練習場には徳田・名誉理事長から贈られたメッセージが掲示

徳田虎雄・名誉理事長に良い報告ができます。生前、杉野と岡を連れてお会いし、逝去されたことを知った時も、パリ五輪での良い結果が報告できればいいなと思いました。思い返すと、私がアテネ五輪に向かう前、徳田・名誉理事長(当時は理事長)から「金メダルを掴むつもりで鉄棒を掴め」とメッセージをいただきましたが、まさに今回のパリ五輪は、そのような展開となりました。

また、「限界を少し超えたところに金メダルはある」との言葉もいただきました。私は“限界を少し超えたところ”に行くには、他者の力が必要だと思っています。選手時代、たとえばメディアが来ると緊張感で限界を超える、人の応援があると勇気づけられて限界を超えるといったことがありました。ふだん選手の目標設定や練習に、私やコーチが積極介入するのは、こうした考えに基づくものです。

徳田・名誉理事長からは監督就任時に「体操界全体のことも考えてほしい」と言われました。ゴールドメダリストがいる今、当クラブの強化だけでなく、もうひとつ上のステージに上がれたら良いと思っています。体操界を牽引するようなチームになれるよう、今後も努力を重ねます。(談)

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