徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

桶川 隆嗣(おけがわたかつぐ)武蔵野徳洲会病院(東京都) 院長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

桶川 隆嗣(おけがわたかつぐ)

武蔵野徳洲会病院(東京都) 院長

2021年(令和3年)6月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1292

チーム医療×恕の心で地域医療に貢献
国産手術支援ロボ「hinotori」×AI導入
優しく安全な医療へ誠心誠意の努力を惜しまず

緊急事態宣言中の3月、30年間の大学勤務に区切りを付け当院に着任するための準備をしながら、これまでお世話になった先生方に挨拶回りをしていました。任期を6年残し、驚かれつつも、お祝いを言ってくださる先生がおられる一方、疑問や否定的なことを言われる先生も少なからずいらっしゃいました。私の心中は、そう言われれば言われるほど、深慮遠謀(しんりょえんぼう)し地域が願う理想とする病院をつくると意を固くしました。

理想の病院づくりへ邁進
志の高い職員多く心強い

現在では、国民から選ばれる医療機関が生き残る時代であることは言うまでもありません。医療に携わる者は、良き医療人である前に良き社会人でなくてはいけません。良き社会人は、謙虚な気持ちで周囲の人たちによって生かされていることを自覚し、感謝の気持ちをもつ者です。人は人の役に立つことを行うことで、生きがいを得られ、貢献の気持ちをもつことができます。

論語によると、孔子が人生で一番大切なことと説いたのが「恕(じょ)」=思いやりです。質が高く信頼されるためにはチーム医療の実践が重要で、その根底には「恕の心」が最も大切だと思っています。チーム医療を円滑・円満に行うには、各メンバーが自分の立場と役割を自覚し活動すること、他のメンバーの仕事を信頼、尊重すること、同じ目標に向って協力、支援することが欠かせません。

しかし、実際の現場では往々にして、さまざまなことが糸の絡まった状態にあると予想されます。当院に4月に着任し、その予想に反せず、各部署で複雑に絡まった糸が散見されました。理想とする病院づくりは、雲煙万里(うんえんばんり)に思えましたが、私はなすべきことを実行し、糸を解し、縦糸を基盤としつつ横糸で裾野を広げ、邁進(まいしん)することを決意しました。幸いにも、非常に志の高い職員が多く、心強く感じています。

さて、当院には初の国産品である「hinotori(ヒノトリ) サージカルロボットシステム」が導入されます。川崎重工業とシスメックスの共同出資で設立されたメディカロイドが開発した手術支援ロボットです。

国産にこだわったのは、日本の医療機器市場を鑑みてのことです。国内の医療機器業界の市場は安定的に成長を続け、1984年では1兆円に満たなかった市場が、2017年には3兆円を超え、今後も拡大が予測されています。治療機器の成長率は高く市場規模も大きいですが、輸入比率(80%)が相対的に高く国産が劣勢です。しかし日本の企業は伝統的にモノづくりのDNAをもち、モビリティ(流動性)の高さがあります。 hinotoriには、このモビリティの高さを感じます。たとえばアームは多関節で、アームとトロッカー(鉗子(かんし)を挿入するための管)のドッキングが不要、日本人の体型にフィットしたロボットです。また、運用支援、安全・効率的な手術室活用支援、手技の伝承・継承支援をAI(人工知能)が解析する「Medicaroid Intelligent Network System(インテリジェント ネットワーク システム)」(MINS)を備えています。

第二の理由は標準治療としてのロボット手術についてです。フロントランナーである米社製の「da Vinci Surgical System(ダヴィンチ サージカル システム)」を使った手術件数は、米国で2桁成長を続けています。2000年代を牽引した前立腺や子宮の手術に代わって、10年代後半からは一般外科手術が新しい成長ドライバーとなりました。日本でもスイッチング(置き換え)が起こっています。ロボット手術は高度医療ではなく標準的医療です。当院は標準治療を行うため導入します。

第三の理由は徳洲会の理念に合致するからです。hinotoriは移動通信システム5Gを使い遠隔操作が可能となるよう設定されています。hinotoriが普及し離島・へき地の病院に導入され、遠隔操作で手術や指導を行うことを想像すると胸が躍ります。徳洲会グループでは2台導入予定ですので、当初より遠隔操作を意識した連携を進めていきたいと思います。

「ロボ・低侵襲手術センター」
開設など控え伸び代ある病院

当院はロボット・低侵襲手術センターや脳血管内治療センター、尿路結石24時間治療センター、歯科口腔外科、女性骨盤底治療センターなどの開設を控え、"伸び代"がある病院です。コロナが終息し、いつもの生活に戻れるよう、これからも一日一日を大切に、優しい医療、安全な医療、そして何よりも地域医療に少しでも貢献できるよう誠心誠意、努力してまいります。

皆さんとともに頑張ります。

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