徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

東上 震一(ひがしうえしんいち)医療法人徳洲会副理事長 岸和田徳洲会病院(大阪府)総長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会副理事長 岸和田徳洲会病院(大阪府)総長

2021年(令和3年)3月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1276

「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」
自由を求め愛に生きる徳洲会の原点と通底
私たちはいかなる状況でも患者さんと共にある

「人は愛するに足り、まごころ(真心)は信ずるに足る」

あくまでも人を愛し、その心を信じ、命を賭(と)してアフガンの砂漠化した荒野を緑の沃野(よくや)に変えるという奇跡を行った日本人医師、中村哲先生の言葉です。テレビ報道や書籍などでご存じの方も多いと思います。長い戦禍と旱魃(かんぱつ)のなか、貧困に苦しむ人々にとっては、まず生きていく糧を確保することこそが救いの方法であると、聴診器を貧弱な工作機器に持ち替え、数十㎞に及ぶ灌漑(かんがい)用水路を多くの人々と共に掘り、そしてクナール川から砂漠化した荒野へ恵みの水を導いたのです。中村先生は医療支援団の一員としてパキスタン辺境のミッション病院に赴任したことが、その活動の始まりですが、大学卒業後、医師としての研修の場を福岡徳洲会病院に求められたという経緯があります。中村先生は時々帰国され、徳洲会医療経営戦略セミナーなどで講演していただきましたが、その配慮は徳洲会の、福岡徳洲会病院の中村先生に対するささやかな活動支援であったと思います。能弁とは言い難い朴訥(ぼくとつ)とした静かな語り口でしたが、荒涼とした砂漠が緑豊かな大地に変わっていく姿を、また手づくりの教会や学校に集う人々の笑顔を、スライドで示され、講演は終わりました。一瞬、会場全体に、物音ひとつしない静粛が広がりました。私を含め会場に居合わせたすべての人たちが心揺さぶられた故の静粛であったと記憶しています。人を愛し、その良心、真心を信じた中村先生の生き方は、自由を求め愛に生きるという徳洲会の原点と通底するものがあります。

グループであることの意味と仲間であることの価値再認識

昨年2月13日は新型コロナウイルス感染症による国内初の死亡例が報告された日です。しかし1年以上が経過した現在でもなおウイルスとの闘いは先が見えない状況です。この間、感染蔓延(まんえん)の第1波、2波、3波を経験し、私たちは多くのことを学びました。グループであることの意味、仲間であることの価値をあらためて再認識できました。グループの多くの病院・施設が、医療崩壊という危機に直面するたびに、一般社団法人徳洲会や他の徳洲会病院から厭(いと)うことなくすぐさま駆け付ける感染対策スタッフには、感謝と共に本当に頭が下がる思いです。危機に直面する病院の職員は、ギリギリのところまで追い詰められ、行き場のない閉塞した不安感に押し潰(つぶ)されそうになっています。そんな時、駆け付けた仲間の姿は、たくましく頼りがいがあり、安心感を与えてくれます。この仲間たちによって、自らが直面する危機を前向きに捉えることが可能になり、結果的に感染防御の実際的な技術を高めることにつながっていると感じています。コロナとの闘いのなかにあって、徳洲会職員は互いの絆、仲間意識を強めながら、優秀な戦士に成長しているのです。

昨年10月の第2波当時は、このウイルスに対する楽観的な観測が広まっていました。たとえば、通常のインフルエンザよりも低い死亡率や感染の広がりやすさを示すパラメーター(実効再生産数Rt<1)から、恐らく感染は収束に向かうだろうといった予測です。しかし第1波、2波を遥かに凌駕(りょうが)する感染爆発を見た3波のデータは、希望的観測を打ち砕きました。年間2500人程度と予測された死亡者数は今年2月26日時点で7722人まで跳ね上がりました。これはインフルエンザ年間死亡者数の2~3倍です。岸和田徳洲会病院は大阪府の重症コロナ拠点病院に指定されており、昨年4月から95人の患者さんを受け入れました。全員が人工呼吸管理(数人はECMO(エクモ)=体外式膜型人工肺を使用)を必要とする重篤な状態で、救命救急センター集中治療室での治療結果は20人死亡(死亡率21%)。これは専門スタッフの懸命な治療の結果ですから非常に深刻な事実と言えます。60~70代以上は重症化する危険性が非常に高く、また重症化した結果は悲惨です。

ワクチン接種率を高めafterコロナ社会目指す

皆さん、3月に医療従事者等から始まるワクチン接種をぜひ受けてほしいと思います。先行のワクチン試験は4万人以上に対し行われ、有効率は95%、重篤な副反応は稀(まれ)という良好な成績です。徳洲会はいかなる状況でも患者さんと共にあります。標準予防策を徹底し、ワクチン接種率を高め、withコロナではなくafterコロナを目指し、皆で頑張りましょう。

PAGE TOP

PAGE TOP