徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

東上 震一(ひがしうえしんいち)医療法人徳洲会副理事長 岸和田徳洲会病院総長(大阪府)

直言 生命いのちだけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会副理事長 岸和田徳洲会病院総長(大阪府)

2020年(令和2年)3月2日 月曜日 徳洲新聞 NO.1225

病院中心のトータルな地域ケアシステム構築
本当の意味での“終の棲家・エリア”提供へ
超高齢化が進む日本社会での新たな正しさ創生

人生の時間を積分するという考え方をご存じでしょうか。人は年を取るとともに時間の経過が短く感じられるものです。小学生の頃の2~3年と、年を経てからの2~3年では全く感覚が違い、あっという間に時が過ぎます。感覚的な時間の経過は過ごしてきた人生の長さに反比例するということは、フランスの哲学者の名を取ってジャネーの法則として知られています。たとえば10歳の子どもの1年は人生の1/10、50歳の人の1年は人生の1/50になるという感覚です。この感覚時間(1/X)の総和を求めることが人生を積分するということです。この積分する数式から、総和の半分、すなわち人生の折り返し時点を求めることもできます。数式は√a×√b(aは人として物心つく4~5歳、bは想定生存年齢)となります。

急性期医療を補完し支える 慢性期医療の重要性も増す

将来、徳洲会を担っていく20代、30代の皆さんは自身の人生の折り返し年齢をどのくらいと想定されているのでしょうか。人生80数年(80~89年)として何となく暦年齢40歳前後を考えられていると思いますが、先ほどの√の式に当てはめて総和の半分の年齢を割り出してみてください。驚くべきことに、せいぜい20歳+αが人生の折り返し点となり、ほとんどの皆さんは感覚人生では、もうすでに人生を折り返した後半生を過ごしていることになるのです。漫然と過ごせるような、あり余る時間は残されていないと理解すべきです。今という時間を充実させるため自らの目標に取り組み、時間を忘れ何かに打ち込むような人生を送ることが、結果的に感覚人生を長く引き延ばします。

徳洲会グループは今年で設立47年です。たとえば徳洲会グループを一人の人格になぞらえて、グループが100年企業に到達すると想定した時の折り返し時点はいつでしょうか。物心つく時期を設立何年目にするのか、難しいところはありますが、√の式にいろいろ数字を当てはめてみて、だいたい2000年から04年頃が徳洲会人生の折り返し時点になると計算できます。この数式の解釈自体、単なる数学遊びの域を越えるものではありませんが、計算が示す時期は、まさに徳田虎雄・徳洲会前理事長がALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病に侵され闘病を開始された時期と一致します。現在、グループを牽引する中核病院(16の超規模病院)のほとんどは、この時期以前に設立されたものです。

国の医療政策の変遷により、ほとんどの医療圏で病床過剰となり病院新設が困難になっていますが、この状況を越えるべくグループの新たな成長指針が必要です。救急を中心とした急性期医療は徳洲会の原点であり、私たちがいかなる時も守り続けなければならない医療ではありますが、一方で、急性期医療を補完し支えるポストアキュート、サブアキュート治療を包括した慢性期医療を提供する病院もまたその重要性を増しています。

徳洲会は対等で強い信頼と協力関係があるからできる

たとえ少ない医師数でも頑張って救急対応し、病床を使いきる従来の徳洲会が行ってきた紋切り型の病院運営を転換する勇気が必要です。グループの大規模病院の一部や中・小規模病院の多くでは、この発想の転換が求められています。救急対応を中心に据えた急性期医療を全病院で基本とするなら、いつまでたっても医師数の少なさに病院運営の限界を嘆き、未来が見えない状況に苦闘する仲間を、救うことはできません。また力のある中核病院の応援で、かろうじて、その基本を維持するのなら、目に見えない卑屈な従属感が付きまといます。私たちはもっと自由な組織であるはずです。

100年徳洲会グループを想定した時、先に述べたようにグループはもうすでに折り返し、新たなステージに入っているという考え方もできます。私たちに必要な再活性化プランは、グループで行う医療をより多様化させることに尽きると思っています。病院を中心としたトータルな地域ケアシステムをつくり上げ、本当の意味での“ 終(つい)の棲家(すみか)・エリア”たり得る場所を提供することが、超高齢化が進展する日本社会での新たな正しさの創生になると信じています。病院の規模や提供する医療の内容は違っていても、お互い対等で強い信頼と協力関係で結び付いた徳洲会だからこそできる医療・介護・福祉サービスを皆でつくり上げましょう。

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