徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

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安富祖 久明(あふそひさあき)一般社団法人徳洲会副理事長

直言 生命いのちだけは平等だ~

安富祖 久明(あふそひさあき)

一般社団法人徳洲会副理事長

2019年(令和元年)12月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1216

押し寄せる医療改革の荒波のなかでも
徳洲会の原点・創設の精神を堅守実践
「救急、離島・へき地、患者中心の医療に邁進」

政府は地域医療のあり方、診療報酬の抑制、患者さんの医療費負担増などについて次々と政策を立案し、実施してきています。10月28日の経済財政諮問会議では「すべての国民が安心できる質の高い医療提供体制の構築」を掲げ、三位一体の取り組みを示しました。①公立・公的医療機関などの医療機能を、地域の民間医療機関の診療実績データも参考にして分析を行い、その結果に基づいて再編統合を考える、②医師偏在対策として、都道府県医師確保計画の策定を行う、③医師の働き方改革として、タスクシフト/シェア推進の検討や、医師の時間外労働規制を強化し時間外労働上限の特例水準の検討を行う――という内容です。医師や研修医、看護師などの働き方改革の取り組みは、今後、厚生労働省から出てくる基本方針に沿って順次、進めていかなくてはなりません。

患者さんの声を真摯に傾聴 院内の問題解決へ全力投球

11月度徳洲会グループ医療経営戦略セミナーでは、経営的には比較的順調に推移していることが示されました。同時に救急搬送受け入れ件数は年々増加し、高水準で推移しているものの、断り率が悪化傾向にあることも指摘されました。多くの地域で私たちの救急医療は高く評価されていますが、一部ではまだ不十分で対策を急がなくてはなりません。患者さんの救命では“最初に診る”ことが非常に重要です。断られた患者さんが、どんな経過をたどったかまで思いを巡らせていただきたいのです。医局、医師だけではしっかりした救急搬送受け入れ体制を築けず、看護部、薬剤部、検査部など各セクションとの連携、さらには消防隊員、近隣の医療機関との協力・連携がなくてはうまくいきません。病院全体、地域全体がかかわる問題なのです。

5月度の院長会では離島での医師体制の不備が指摘されました。その後、早急に対策を立てた結果、グループ病院からの応援により鹿児島県の屋久島徳洲会病院、徳之島徳洲会病院の緊急事態を乗りきりました。目下、一般社団法人徳洲会(社徳)の医師対策チームを中心に常勤医の確保、中・長期的な応援体制の構築を急いでいます。すでに沖縄県の宮古島徳洲会病院には11月に内科常勤医が1人加わり、来年1月には石垣島徳洲会病院、4月には鹿児島県の与論徳洲会病院にそれぞれ内科常勤医1人が赴任することになっています。離島・へき地病院の医師・医療スタッフ確保は最重要課題として取り組まなくてはなりません。

社徳の医療安全・質管理部が徳洲会71病院を対象に今年3月から5月にかけて実施した患者満足度調査の結果を見ると、多くの病院で各部門、各セクションともに15年前、10年前から確実に改善されていることがわかりました。しかし、残念ながら日本病院会QI(質の指標)調査の結果と比べると、徳洲会病院はグループ外の近隣病院よりも、まだまだ下位が多いのが現状です。療養環境の整備、接遇向上、待ち時間の短縮、食事内容、医師の病状説明、服薬指導など多くの課題が見えてきます。患者さんからの声・意見に真摯(しんし)に耳を傾け、院内の業務改善委員会やQI活動などを通じ問題解決に努めてほしいと思います。

弱い人のために役に立つノブレス・オブリージュ

2004年4月19日の「直言」の中で、徳田虎雄・前徳洲会理事長は次のように述べています。〈ハーバード大学の大学幹部たちとの夕食会でのことです。私は、人間としては「弱きを助け悪しきをくじく」。医療人としては「患者さんのための医療を行う」。そして徳洲会としては“生命だけは平等だ”という理念を原点として、日本中の農村離島から世界中の発展途上国まで、医療で役立ちたいと話しました。すると教授たちから「それはビジネスでも宗教でもないノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)、つまり強い人が弱い人を助けるという人間としての当然の義務かもしれない。それこそ私たちがいつのまにか忘れてしまっていたものである。徳洲会が、世界中に病院をつくる時には私たちも協力したい」と言われました〉

徳洲会は、病院をはじめ医療・介護施設数が約360に拡大、職員数も3万3000人を超え、組織が巨大化・複雑化し、統制が難しくなってきています。しかし、だからこそ徳洲会の原点、創設の精神に戻り、私たちの医療・介護・福祉を推し進めていかなければなりません。

皆で頑張りましょう。

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