徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

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安富祖 久明(あふそひさあき)(一般社団法人徳洲会副理事長)

直言 ~生命いのちだけは平等だ~

安富祖 久明(あふそひさあき)

一般社団法人徳洲会副理事長

2015年(平成27年)10月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1000

徳洲会全職員が哲学・理念を共有し
13病院の建て替えに力を合わせよう
経営手法も進化させ一層強固な組織へ

戦後70年の節目の年、政府・与党は「国際平和と安定のため」と、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案を起草しました。野党は反対しましたが、同法案は9月に国会で可決。沖縄県では、住宅密集地にあり世界一危険といわれる普天間基地の辺野古への移設について、政府・防衛省と県知事・県民世論が真っ向から対立しています。一方、世界ではシリア難民の受け入れ問題により、欧州が揺れに揺れています。

『徳洲新聞』1000号記念に際し、過去の「直言」を拾い読みすると、「生命だけは平等だ」、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」という哲学・理念を掲げる徳洲会の職員として、国内外の社会的、政治的な問題を常に視野に入れ、一人ひとり何をなすべきかが語られているように見えました。徳洲会はブルガリア、ブラジルでの病院建設、開発途上国への透析機器寄贈・技術支援、TMATによる国内外での災害医療支援、徳洲会の原点である救急医療、離島・へき地医療を行っていますが、これらは「直言」で語られた思いを形としたものであるように思えます。

今、私たちには、しっかりした経営基盤の構築と強固なガバナンスの確立が求められています。わが国の財政や経済状況に鑑みると、社会保障費の引き下げは必至で、来年の診療報酬改定も厳しいものになるでしょう。さらに再来年の消費増税、金利上昇など医療を取り巻く環境は厳しさを増すと予想されます。

「なぜ医療に哲学が必要か」稲盛・名誉会長の講演に思う

今年6月の「日本医療マネジメント学会」で、京セラの稲盛(いなもり)和夫・名誉会長は「なぜ医療に哲学が必要か」というテーマで講演されました。町工場から始まった同社を、創業56年で売上高1兆5000億円を超える総合エレクトロニクスメーカーに発展させた経験と経営哲学をもとに、破たんした日本航空をいかに立て直したか話された後、全病院の7割、自治体病院の9割が赤字であることを指摘。解決するには医業にかかわるすべての職種がコスト意識をもち、企業経営の要素を取り入れ、博愛の精神で、患者さんの治療に注力すべきだと説かれました。

また経営で大切なものは「確固たる哲学」と「精緻な管理会計システム」と強調されました。組織のリーダーが社員、顧客、取引先、そして社会から信頼と尊敬を得られる立派な哲学をもっているか否かが、その企業の生死を決めるといっても過言ではない。会社内で起こる諸問題の解決には正義・公正・公平・誠実・謙虚・努力・勇気・博愛といった最も基本的、普遍的な価値観、根源的な倫理観の下、「人間として何が正しいのか」を判断基準としなければならず、私利私欲に基づいて経営を行えば、判断を誤り、成長を阻害すると訴えられました。

経営者は会社の実績を数字としてリアルタイムに把握し、各部門の責任者は担当部門を自ら経営する意識をもち、その部門の実績を数字として把握、必要ならば、すぐ改善の手を打たなければならないと述べられました。実際に稲盛・名誉会長は会社組織を小さなユニットに分割し、リーダーを任命して独立採算にすることで、経営者意識のある人材を育成、組織全体を運営しました(アメーバ〈小集団〉経営、部門別採算制、管理会計システムの導入・実践)。このような「意識改革」、「哲学」、「管理会計システム」、「徹底した実践―― 愚直なまでの努力と実行」をもって、わずか3年弱で日本航空の経営を再建、株式の再上場を果たしたのです。

さまざまなリスク乗り越え向こう50年の未来が開ける

私たちは徳洲会創設42年の間に、哲学・理念の下、診療科別、医師別、看護師別など部門別の管理システムを駆使し、経営を行ってきましたが、今後、稲盛・名誉会長の提言も取り入れ、経営手法をさらに進化させる必要があります。徳洲会グループ本部は行政や金融機関、外部の刷新委員会などの意見を参考に各法人の規程や細則などを作成し、強固なコーポレートガバナンスの基礎を構築しつつあります。

残る病院の建て替えは13病院(計2908床)です。さまざまなリスクが立ちはだかっていようとも、実行しなくてはなりません。そのためには全職員が哲学・理念を共有し、力を合わせることが不可欠です。残る病院の建て替えが果たされた時、向こう50年の未来への扉が開かれます。皆で頑張りましょう。

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