はじめに
2019年のゴールデンウイークは過去に例を見ない10連休となることが決まった。これだけの期間を病院が運営されないことになれば、当然ながら様々な弊害の発生が想定され得る。しかしながら、連休期間中の病院機能、患者さんへの影響などについて、データに基づいた議論はこれまでに見当たらない。
そこで我々は、過去のゴールデンウイーク、年末年始休暇中の病院機能を評価すべく、徳洲会グループ病院の電子カルテからデータを抽出して、連休期間中に入院した患者の死亡率に連休が影響を与えるかどうかを検討した。

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2019年のゴールデンウイークは過去に例を見ない10連休となることが決まった。これだけの期間を病院が運営されないことになれば、当然ながら様々な弊害の発生が想定され得る。しかしながら、連休期間中の病院機能、患者さんへの影響などについて、データに基づいた議論はこれまでに見当たらない。
そこで我々は、過去のゴールデンウイーク、年末年始休暇中の病院機能を評価すべく、徳洲会グループ病院の電子カルテからデータを抽出して、連休期間中に入院した患者の死亡率に連休が影響を与えるかどうかを検討した。
週末や休日が病院機能に影響するかどうかについては、欧米を中心に「週末効果: Weekend Effect」の有無が永らく議論されてきた。「週末効果」とは、週末入院患者の死亡率は週日入院患者のそれより高いとするものである。
週末効果=週末入院患者の死亡率(30日以内死亡)/週日入院患者の死亡率(30日以内)
この比率が1より大きい場合は、週末効果ありと判定する
2017年の97論文のメタ分析(Pauls, 2017)によれば「週末効果」は存在し、週末入院では週日入院とくらべて19%死亡率が高いと結論している。その原因については、週末のスタッフ数、処置・手術までに要した時間、患者の重症度について、週日入院と比較検討されたが、いずれも結果に影響を与えなかったとしている。つまり、これらの因子は週末効果の原因とはいえなかった。しかし、英国からの新たな報告(Walker, 2017)では、週末入院では重症患者が多いことが報告され、患者重症度がリスクとして見直されている。
わが国における同様の報告は殆どないが、徳洲会グループ病院における「週末効果:WE」を検討した結果を図1に示す。2015年4月から2018年3月にかけて、徳洲会46病院(N=285,448)において週末効果(WE)を認めたのは26病院(26/46=56%)であった。
週末効果と同様に連休でも同じ現象が発生している可能性があり、それを仮に「連休効果」と命名(過去に報告がない為)して検討した。
2015年4月から2018年10月までの4回のゴールデンウイークと、3回の年末年始休暇を対象とした。
連休効果=連休中の入院患者の死亡率(30日以内)/ 週日入院患者の死亡率(30日以内)
この比率が1より大きい場合は、連休効果ありと判定する
その結果、図2に示すように、ゴールデンウイークにおける「連休効果」は徳洲会49病院(N=11,727)のうち40病院(40/49=82%)で認められた。
図3には、年末年始休暇における「連休効果」を示すが、徳洲会49病院(N=6,004)のうち45病院(45/49=92%)で「連休効果」が認められた。
「連休効果」はゴールデンウイーク、年末年始休暇ともに認められたが、影響をうけた病院の数で比較すると、年末年始休暇(92%)> ゴールデンウイーク(82%)> 週末効果(56%)の順であった。年末年始休暇は4~5連休であり、ゴールデンウイークでは飛び石連休になることが多く、4連休以上にはならない。4連休以上の連休が連休効果に関連する可能性が高く、ゴールデンウイークでは飛び石連休になることで、連休効果が薄まる可能性がある。
2019年のゴールデンウイークの10連休では、4連休以上の連休を避け、飛び石状態をつくることで、「連休効果」を最小限に抑えられる可能性が考えられる。
米国では「クリスマス休暇効果」が2004年に提唱され(Phillips, 2004)、クリスマスから新年にかけての休暇シーズンに患者死亡率が、病院内、病院外ともに高まることが報告された。北半球では極寒の時期にあたることから気候の影響も考慮すべきだが、それらを計算しても死亡率は高いとされた。一方、「クリスマス休暇効果」の報告は南半球(ニュージーランド)からもなされ(Knight, 2016)、真夏でも「クリスマス休暇効果」の存在が確認された。原因は不明だが、休暇そのものがリスクである可能性も指摘されている。
徳洲会グループ病院における過去4年間の連休期間中の病院機能の評価の一つとして「連休効果」を測定した。その結果、ゴールデンウイーク、年末年始連休のいずれにおいても、連休中に入院した患者の死亡率が高くなることが判明した。得られたデータからは、来る10連休中の「連休効果」を最小限に抑えるために、4連休以上の連休をつくらず、間に通常診療日を置くなどの工夫が必要と考えられる。
[文献]