田原 英樹(出雲徳洲会病院院長)

徳洲新聞2014年(平成26年)7/14 月曜日 NO.937

患者様にとって良いこととは何か とことん追求することが最も大事 ①患者様のため②職員のため③病院のため

出雲(いずも)徳洲会病院は2006年4月1日にオープンし、今年で9年目を迎えました。08年4月、徳田虎雄・前理事長からの院長拝命(はいめい)は、つい先日のことのようです。

当時、前院長をはじめ看護部長以下すべての師長が退職、これから病院はどうなるのかと不安にかられました。しかし、徳洲会グループに全面的に協力いただき、“チーム出雲”を合言葉に職員が一丸となって、何とか現在に至ることができました。今では一般病床89床、療養病床94床の許可病床をすべてオープン。5階には老健の出雲徳洲苑80床を開き、満床で稼働しています。また、訪問看護も開始し、退院後の在宅ケアを行うことができるようになりました。

グループの応援と当院職員の地道な努力の結果、12年度からは経営も黒字となりました。11年度まで毎年、赤字を計上していたため、少しほっとしましたが、ちょっとでも油断すれば足下をすくわれる不安定な状態に変わりありません。

私たちが出雲の地域でさらに認められるためには、まず患者様へのサービス向上が大切です。「①患者様のため、②職員のため、③病院のため」と常々、言っていますが、時としてこの順番が逆になったり、いつの間にか自分たちのためになったりしていないか、常に問いかけることが重要です。今も患者様から厳しいご意見をいただき、対応が不十分であることを痛感しています。

一人をないがしろにするとより多くが来院しなくなる

外来患者数を増やすためにはどうしたらいいのか。新規入院数、病院の収益を増やすには何をすればいいのかなど、戦略を考えることはもちろん大切ですが、「最も大事なのは患者様にとって良いことは何なのか」をとことん追求することだと思います。

そして職員の疲労度などを考慮し、実際のサービスはどのあたりで折り合いをつけるのかを決定していく。言うのは簡単ですが、実践は容易なことではありません。出雲地域は比較的、地域や親族の結び付きが強く、口コミが大変重要です。一人の患者様を大事にすることで、その周囲の方まで来院していただけます。反対に、一人の患者様をないがしろにすることで、より多くの方が来院されなくなります。要はこのことをすべての職員が理解することです。

私が6年前に書いた直言を見ると「患者様満足度調査で葉山ハートセンターを抜き1番になる」と大それたことをつづっていました。いまだに抜くことはできず、葉山ハートセンターの凄(すご)さを知るとともに、あまりの世間知らずに赤面する思いです。最近はひそかに「いつかは1番になる」と思うようにしています。

外来患者数と入院患者数が増え、それも開業医の先生方からの紹介が増えているのは、地域に多少なりとも認められている証かもしれません。

困っている病院をグループ化 将来的に800病院に増やす

島根県は鳥取県の西隣で、出雲地域(東部)、石見(いわみ)地域(西部)、隠岐(おき)地域(島)に分かれます。隠岐は県、地元の先生方の努力で医師の充足率(島根県健康福祉部・13年調べ)が90.6%と高い傾向にありますが、石見地域は60~72%。また、比較的高い出雲地域でも中山間部では60%と低い状況です。奄美(あまみ)群島に比べれば、まだましと思いますが、石見地域は私の出身地(益田(ますだ)市:山口県との県境)で、故郷への思いがあり、近い将来、何か行動に移すことができればと考えています。

湯船に浸(つ)かって時々、妄想にふけることがあります。それを妻に話すと、またバカなことをと笑われます。最近の妄想は「①患者様のため、②職員のため、③病院のため」をモットーに、経営に困っている病院をグループ化し、将来的には800病院に増やすという当院の秘密裏(り)の実験です(出雲モデルと勝手に名付けていますが、誰も知りません)。そうなると全国セミナーやブロック会議は、すべてテレビ会議になってしまうかもしれません。これは単なる妄想で終わるかもしれませんが、ひょっとして実現したら、すごいことだと湯船のなかで一人楽しんでいます。

昨年来の騒動では多くの職員の心に暗い影が差したことでしょう。日々の仕事を一生懸命されていた方ほど、心の傷は大きなものではなかったでしょうか。その心が少しでも癒やされるよう、この直言を読んでいただき、出雲の院長がまたバカなことをと一笑に付していただければ幸いです。妄想、否(いな)、夢の実現へ皆で頑張りましょう。