満元洋二郎(名瀬徳洲会病院総長)

徳洲新聞2009年(平成21年)8/24 月曜日 NO.686

奄美群島の医療と福祉は全て、皆さんの協力で実現している ~先達の業績を引き継ぎ、さらに努力を重ねて質の高い医療を~

今年3月30日、奄美の歴史に刻むべき画期的な出来事がありました。宇検村が、医療法人鹿児島愛心会を国民健康保険宇検診療所の指定管理者とする協定を締結したのです。4月10日から、私は同診療所所長として診療を再開しました。不安の中での船出でした。”保徳戦争”と呼ばれ、奄美を二分した激烈な選挙戦のしこりを心配したからです。しかしそんな心配は不要でした。地元の方々は温かく迎えてくれ、患者さんも大変喜んでくださいました。「村民の皆さんの利益が最優先」という徳田虎雄・徳洲会理事長の気持ちを理解していただけたのでしょう。

同12日、宇検村の湯湾会館で開催された鹿児島愛心会の指定管理者受託記念祝賀会では、國馬和範・宇検村長、禧久伸一郎・鹿児島県議会議員、徳田たけし代議士(当時)、徳田哲・鹿児島愛心会理事長の出席の下、約160人の村民の皆さんから盛大に祝っていただきました。

宇検村は、人口1995人で高齢化率が37.8%と県内で3番目に高い小さな村。村民のためには診療所をなくすことはできません。診療所には、より高度で質の高い医療をローコストで提供する努力が必要です。

当初、名瀬徳洲会病院、山川病院(指宿市)の協力で診療していましたが、6月1日から館山病院(千葉県)の武内克介院長補佐が所長に就任。離島・僻地の深刻な医師不足と常勤医師を切望する村民の気持ちを実感していただけました。「口は出すけれど、手は出さない」人が多い中、来島されたことはうれしいかぎりで、感謝しています。

宇検診療所は、外来患者数も増加傾向にあり、最高61名の日もありました。7月1日には在宅診療所への変更手続きも済み、着々と村民に受け入れられる診療所へと進化しています。

60床の病院に最新の64列マルチスライスCT装置を導入

瀬戸内徳洲会病院に最新型の64列マルチスライスCT装置が導入され、7月22日、稼働開始しました。鹿児島県下では20台目、奄美大島では2台目の装置です。この装置は、数秒で人体の断層画像データが多数得られ、動く臓器でも鮮明に撮影でき、体への負担が大きい心臓カテーテル検査に代わり冠動脈造影検査ができるほか、大動脈や腹部、頭頸部、下肢など全身の血管の検査にも役立つものです。 同院は加計呂麻島、請島、与路島の離島を抱えています。奄美の平均年間所得は197万円。鹿児島県の平均の7割程度ですが、経済的弱者である患者さんが多くいらっしゃる地域です。

わずか60床の同院で、鏡視下の大腸切除術、胃切除術、食道切除・再建術、ヘルニア根治術などを行う理由は、患者さんにローコスト・ハイクオリティーの医療を提供したいからです。治療のために患者さんを大病院に送るより、医師が同院に移動して、チームを組んで治療するほうがより効果的で、患者さんの負担は、肉体的、精神的、経済的にも大きく軽減されます。

北原淳詞院長の「64列マルチスライスCT装置による検査で、病気の発症前に病変を発見し、発症して緊急の救急搬送をする前に治療したい」との熱い思いは、徳田たけし代議士(当時)に伝えられ、最高幹部会を経て徳田理事長に判断を仰ぎ実現されました。「当院は60床。この規模で64列CTのある病院は、全国でもあまりないでしょう。徳洲会ならではのことです」と北原院長は感動していました。

同24日には、同じ地域にある診療所などの医療施設に向けた説明会を開催して、このCT装置の有効活用を訴えていました。

同院は今年、開院10周年になります。ここまでになるには職員の努力だけではなく、徳洲会グループ内の協力はもとより、医師会の先生方との連携、地元住民の方々の激励や応援があったからこそと感謝いたします。

大きな地元還元の実現は、無理、無駄、無茶苦茶な努力の賜物

奄美群島の総人口は、平成21年7月現在で12万人を下回り、11万9901人です。そのうち、徳洲会グループの職員数は1714人で、1.43%を占めています。この人件費の総額は約68億9900万円と、実に奄美市の人件費51億8300万円を上回っています。また、固定資産税などの租税公課やその他地元業者との商取引を加えると支出総額は100億3900万円で、奄美市の一般歳出総額279億7100万円には及ばないものの、2位の瀬戸内町の89億8700万を上回っています。つまり奄美の徳洲会グループは、年間100億を超す金額を地元に還元していることになります。

このような地元への大きな貢献は、一朝一夕にできることではありません。奄美群島のグループ施設は、23年前の昭和61年10月、徳之島徳洲会病院の開院を皮切りに、今では7病院を含む29施設、7事業所があります。しかも今年2月から7病院が全て黒字経営となりました。

何かを成し遂げるには無理、無駄、無茶苦茶な努力を継続することが必要でしょう。私は「人が何を言ったか」ではなく「誰が言ったか」を重視しています。他人に誠実であろうとすれば、自分の発言を実現せねばなりません。また私たちは、誠実な人が言うことを信じて行動します。行動するからには真剣でなければなりません。真剣でなければ、何事にも満足することもなく、楽しくなることもないからです。そうでないと常に不平を抱き、不満をもって陰口をたたくことになります。真剣になり、そして成功させなければなりません。英語のsucceedは、「成功する」と翻訳しますが「引き継ぐ」とも訳します。私たちは先達が成し得た偉業の上に、さらなる業績を積み重ねて後進に委ねなければなりません。

「画餅充飢」という言葉があります。その計画は大丈夫ですか?経済的裏づけはありますか?絵に描いた餅になっていませんか?本物と枝葉末節をよく見極めていきたいものです。

皆で頑張りましょう。