徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 理事長
一般社団法人徳洲会 理事長
東上 震一(ひがしうえしんいち)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長

2025年(令和7年)03月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1485

一人でも多く助けるのが徳洲会の存在意義
患者さんの最善と職員の幸せを追い求める
仲間と共に人のために生き自らの人生も輝かせよう

“春風や闘志いだきて丘に立つ” 明治期の俳人、高浜虚子の句です。季節は巡り春になったこの時に、あらゆる困難に立ち向かう強い心で、すっくと丘に立つ。なんとも潔く技巧を排した直截的な表現です。この清々しい決意を、徳洲会という医療の現場に足を踏み出す皆さんに贈ります。

熱意もち地味な仕事に取り組み それを続けていくことが成長に

医療の先輩として、徳洲会の理事長として徳洲会の基本的な考え方、医療と向き合う姿勢について、お話しします。まず何より病気で苦しむ人のことを第一に考えることです。「患者さんのために」が、あらゆることに優先できるのが徳洲会の風土です。そこでは医療を提供する側の論理よりも、医療の受け手の希望や意志が尊重されます。

医療のあらゆることは現場にあり、それらは「患者ファースト」という原則に照らして判断し解決されるべきです。皆さんが習得する知識や技術、その背景にある理論など、日々発生する全ての事象は、医療の実際から生まれてくるのです。実臨床の場では、自らの汗と苦渋で手に入れた知識と技量ほど強いものはありません。患者さんの命を前にして「知っていること」と「できること」が峻別されるのは、臨床現場での必然です。日常の医療を少しでも良くすることが、私たちの取り組むべき全てなのです。

医療者として病院での日々は、ある意味ストレスに満ちた単調さの繰り返しでもあります。大切なことは熱意をもって地味な仕事に取り組み、それを続けていくことです。

私は35歳で岸和田徳洲会病院に心臓外科医として奉職し、以後65歳でメスを置くまでの30年間に1万件に及ぶ手術を行いました。私の経験から言えることは、実際の学びにおいては、積み重ね獲得した知識・技術こそが本物で、「頼るに値するもの」です。それらは体に染み込み、いずれ能力という形で具現化されます。8時間以上要していた心臓手術(冠動脈バイパス術)が、4時間弱で終了できるまでに心臓外科チームの技術力は高まりました。手術時間が短縮し成績が向上するという、技術力がもたらした進歩を目の当たりに、実感したのです。自らに高い目標を課し前進する強い意志と、目標を達成するまで諦め挫けることがない心の粘り強さをもってほしいと思います。自分の力を信じ、単調さに耐え努力を続けてください。専門家としての技量は経験を積み重ねるほど、必ず成長していくものなのです。

徳洲会グループが患者さんにとっての最善を追求する時、各分野で優秀な医療チームが必要になります。そのためには核となる人材の養成が急務です。グループにはキャリアパスをバックアップできる制度もありますから、徳洲会を学びの場、自己実現の場と捉え、人生の夢を叶えてください。

人材を登用していく時、非情な実力主義に徹さざるを得ない側面もあります。しかし、あまりに実力主義、成果主義にふれると、組織のありようが、砂を噛む思いに陥ることを恐れます。やはり私たちは“でこぼこ”で良いのです。能力が優れている部分もあれば、劣っているところもあり、互いに補い合うから、しっかりとした塊になれるのだと思います。「いったん徳洲会の仲間になれば、終生その人の尊厳を守る」のが徳洲会です。決して馴れ合いではなく、切磋琢磨のなかでも、互いを思い遣るファミリーなのです。

「仕事を好きになること」 その努力をすることが大切

新入職の皆さんに人生を輝かせる秘訣をお伝えします。「仕事を好きになること」、「好きになる努力をすること」です。ただ単に生きていくための収入として、義務感で仕事をさせられることほど辛いものはありません。一度きりの人生です。それなら、やらされるのではなく、自らの意思で人のためになって全力を尽くしてみてください。未来を明るく捉え、物事をシンプルに考える。医療に対して誠実に、そして人のためになって生きる人生ほど、価値あるものはありません。

徳洲会は新年度から83病院でスタートします。総病床数は2万床を超えます。この医療資源を各地域で患者さんのために使い切ってください。新たな喜びが生まれるはずです。公明正大に利益を追求し、患者さんを幸せにし、そして職員を守るのです。全職員の力で徳洲会を新たなステージへ押し上げたい。皆で頑張りましょう。

PAGE TOP

PAGE TOP