直言
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直言 ~
東上 震一(ひがしうえしんいち)
医療法人徳洲会 理事長一般社団法人徳洲会 理事長
2024年(令和6年)01月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1422
2023年11月、徳洲会創立50周年を記念し、これまで徳洲会の発展に尽力いただいた外部の皆様への感謝の式典と、職員による日本最大の民間医療集団に成長したことを喜ぶパーティーを2週続けて開催しました。徳洲会の歴史の大きな節目となる一大イベントを、理事長として差配し得たことに誇りを感じると同時に、あらためて巨大グループを率いる責任の重さを痛感しました。徳洲会の未来にどんな困難が待ち受けているのか、いかなる苦しい状況と問題に直面しようとも、皆で力を合わせ、知恵を絞り、汗をかくことを厭わなければ、未来を切り開いていけると信じています。
徳洲会は創業期の苦難のなかで、不屈の闘志を文化として培ってきました。そもそも徳洲会は何のために存在するのか──。私は徳洲会が提供する医療・介護・福祉により、弱い人の味方になって、より良い社会をつくるという理想の実現のために、プライオリティーを誤らずグループを牽引していく決意を新たにした次第です。
徳洲会は1973年、大阪府松原市に徳田虎雄医師個人立の徳田病院(現・松原徳洲会病院)として始まりました。徳洲会初期の年表を見ると面白いことに気付きます。75年、医療法人徳洲会設立、徳田院長が理事長(現・名誉理事長)に就任、同年、野崎病院(現・野崎徳洲会病院)開設、76年、東京本部開設(山王グランドビル)、77年、岸和田徳洲会病院、大阪本部開設。おわかりでしょうか。まだ大阪に2病院しかない段階で、東京の一等地に東京本部を開設しているのです。何を考えているのか、常人では理解不能な事業の進め方です。しかし、これは恐らく徳洲会の全国展開を考えていたためだと確信します。山王ビル8階の東京本部からは国会議事堂が見えたそうです。当時を知る古参の事務職幹部によると、徳田理事長以下、皆で車座になってビール片手に焼きそばをつつきながら、国会議事堂を指差し「あれを取る、天下を取るのだ」と気炎を上げたそうです。その表現はいささか穏当に欠けるとは言え、40歳そこそこの若々しい覇気に圧倒されます。さすが我がグループの創始者と、快哉を叫びたくなるのは私だけでしょうか──。78年には4番目の八尾病院、翌年には南部、福岡、宇治病院と猛烈な勢いで病院をつくり続けます。医療制度・環境の変化により、今では再現不可能なスピードです。私たちを取り巻く医療状況が大きく変化したとは言え、徳洲会創成期の徳田先生をはじめ若き幹部たちの覇気を、次なる半世紀の始まりの今、グループの皆さんにあらためて考えてほしいと思います。私たちは自らの才覚と努力次第で、何でもできるし、何にでも成れるのです。
2023年12月に一般社団法人徳洲会東京本部で、インドネシア保健相の立会いの下、医療法人徳洲会は国立ハラパンキタ循環器病センターとMOU(覚書)を交わしました。「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」を名称とする新しい病院設立を約束する内容です。我が国の外務省、厚生労働省の事務次官代理にも同席いただきました。ハラパンキタ循環器病センターは心臓手術を年間2,500件(成人1,500件、小児1,000件)行う非常にアクティビティの高い病院で、徳洲会の医師が日本の免許で医療行為ができる許可もいただきました。若手循環器(内科、外科)医師にとって魅力的な修練施設になるはずです。
24年2月1日にはホンダジェットの自主運航が始まります。岸和田病院の尾野亘院長が率いる内視鏡チームの井上太郎副院長が中心となり、離島での高度内視鏡治療に活用するほか、外科医師の応援にも利用します。緊急時の患者搬送も視野に入れ、使用法を練っていただきたいと思います。小型ジェット機を活用した医療提供の試みは、日本では徳洲会独自のもので、多大な波及効果が期待できます。
救急医療から始まった徳洲会の医療展開は循環器、がん医療へと広がり、今日ではさらに多岐にわたります。しかし、すべての徳洲会の活動は“生命だけは平等だ”の理念に収斂します。次半世紀の始まりです。徳洲会の新chapter(章)を自らの文字で記していきましょう。それが輝かしい成果になることを願って、皆で頑張りましょう。
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福田 貢(ふくだこう)
医療法人徳洲会 副理事長 八尾徳洲会総合病院(大阪府) 総長
2024年(令和6年)01月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1422
2024年、初春を迎えました。年頭にあたり、本年が皆様にとりまして良き年となりますよう、お祈り申し上げます。
さて、23年11月に徳洲会創立50周年記念式典が盛大に行われました。その際に徳田秀子・徳田虎雄名誉理事長夫人にお目にかかる機会が得られ、短時間ではありましたが、感謝の気持ちをお伝えすることができました。書籍『虎雄とともに』を拝読し、若かりし頃から夢と希望を共有され、信頼に裏打ちされた強靱な精神力をもって、組織を創り上げてこられたお二人の姿が脳裏に浮かび、職員の一人として改めて責任の重さを痛感しました。
徳洲会の存在基盤として、語り部的な役割を果たす徳之島・喜界両病院では、現在、新築工事が進行中です。建て替えは、この組織にとって夢の一つであり、徳洲会の新たなプライドの象徴になるものと思います。一方で、現状、医師数は不足し離島・へき地医療を担う院長は、ある種の犠牲を払いながら今も現場を支え続けています。状況の改善を目指し離島・へき地に対する医師応援継続、常勤医師の獲得にあらゆる手立てを尽くしていかなければなりません。
魅力ある現場づくりには病院刷新、職員教育、人材育成と交流、広報などが必須ですが、実現には堅固な財務基盤が不可欠です。20年初頭より新型コロナの強い感染力に加え、急速な病像の悪化をたどる症例を前にして、私たちは恐怖心にとらわれながらも果敢に診療に挑み、一定の評価をいただきました。しかし、コロナ禍で生じた受診抑制、休床補償の扱い、気の緩みなどがもたらした業務量の減少などにより、収支の悪化にあえぐ病院があります。十分な情報共有の下、ブロック内外で助け合いながら財務基盤の強化を行い、一層の社会貢献に努めてまいりましょう。
24年もどうかよろしくお願い申し上げます。
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大橋 壯樹(おおはしたけき)
医療法人徳洲会 副理事長 名古屋徳洲会総合病院 総長
2024年(令和6年)01月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1422
徳洲会グループは2024年より新たな50年の幕開けとなります。
徳田虎雄・名誉理事長の創業の精神が色褪せることなく、またあらゆる障壁を乗り越え常に前進し続けた姿を忘れることなく、東上震一理事長の体制の下、一丸となって地域の皆様に安心していただけるように医療・介護・福祉に全力を尽くしてまいります。
新型コロナの感染は収束傾向にありますが、インフルエンザを含め海外でもさまざまな感染症が蔓延しており、予断を許さない状況は24年も続くと思われます。また世界情勢、経済情勢が混沌とする中、医療にも多大な影響があるものと考えます。このような状況下でも、徳洲会は崇高な理念を胸に刻み、それを実践し、安全で安心な医療を提供してまいります。
急速に進歩する医療技術、AI(人工知能)にも対応し、最新の医療を提供できるよう努力します。最新医療は効果や安全性、信頼性をしっかり見極める必要がありますが、挑戦していかなければなりません。それには多くの投資が必要ですが、安定した経営基盤を背景に徳洲会が先駆けて投資する時代になったと言っても過言ではありません。また、徳洲会の巨大なデータベースを基に、多様な臨床研究に力を注ぎ、医学の発展にも貢献してまいります。
各施設が地域の皆様に満足できる医療を提供するためには、マンパワーの充実が不可欠です。医師、看護師、コメディカルを含めたすべての職員のリクルート、教育を推進するための投資も欠かせません。職員がやりがいのある、安心して働ける職場を目指します。また、高度先進医療から離島・へき地医療の充実、国際医療貢献を含め、皆様のお役に立つ医療グループを目指して発展するよう尽力してまいります。
24年もご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。