徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

南部徳洲会病院(沖縄県) 院長
服部 真己(はっとりまさき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

服部 真己(はっとりまさき)

南部徳洲会病院(沖縄県) 院長

2022年(令和4年)08月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1350

医療界ナンバーワンの働きたい職場へ
DXなどの取り組みを一段と活発化!
ロボットも積極的に導入し地域医療に貢献

院長就任後1年4カ月余り、当院の新しい未来に向け、大きな発展の地ならしの期間でした。小生にとっては毎日が駆け抜けるように過ぎつつも、日々多くの勉強をさせていただきました。

コロナ禍により当院もクラスター(感染者集団)を繰り返しながら奮闘する日々です。第5波ではコロナ病床を当初の9床から39床に増床しましたが、さらに感染力が強い第7波が本格化しており、医療逼迫がかつてないほど深刻で、コロナだけでなく非コロナの救急体制も破綻状態に近づいています。近隣の救急体制が機能低下し、当院に発熱患者さんを中心に救急搬送が集中し、7月の救急搬送件数は823件と当院のこれまでの目標350件の2倍超。十分でない体制で、救急を断らない医療を実践する職員の頼もしい姿を心から誇りに思います。現在の医療逼迫が、できる限り早く改善されることを切に願います。

日本エクモネットからの支援 コロナ重症患者さん無事回復

コロナ診療について印象深いことを紹介します。

昨年6月に初めてECMO(体外式膜型人工肺)症例を経験しました。通例では他の重症担当病院に転院するのですが、他院に余力がなく、当院で治療を続けました。心臓血管外科、呼吸器内科、総合診療科が協力体制を取り、看護部はコロナ病棟とICU(集中治療室)が協力し、総力を挙げ診療にあたりましたが、未経験の不安から押しつぶされそうななか、コロナ重症患者さんの診療を全国的に支援するNPO法人日本エクモネットを通じ、即座に県外医療機関から医師、看護師にサポートいただきました。同ネットによれば、ECMOによる救命率は60%超とされていますが、患者さんは無事回復され、歩いて退院されました。支援していただいた方々に心から感謝します。また、当院職員の患者さんを救いたいという熱意と頑張りを結集でき、それが結実したことを院長として、とても誇りに感じています。心強いスタッフと共に当院は“生命だけは平等だ” を基本とし、できる限り救急を応需し、年中無休24時間オープンの「断らない診療」をこれまで同様実践していきます。

昨年7月には、平安名常一副院長を迎え放射線治療部が充実し、昨年のIMRT(トモセラピー)は全国15位、SBRT(サイバーナイフ)は全国6位の実施数を記録しました。また、診療時間を延長し、患者さんが仕事を休まず、治療を続けられる体制を整えました。

10月には国産初の手術支援ロボット「hinotori」を導入し、まず前立腺手術を開始しました。今後は適応疾患の広がりに応じ、他の領域にも活用して手術のレベルアップを図っていきます。

また、10月は再生医療の取り組みについて、プレス発表を行いました。前立腺手術後の尿失禁に対し、脂肪組織からの幹細胞を使用し機能回復を図る全国初の治療です。今後は、さらに多くの分野で再生医療を実践したいと考えています。

JCI認証2回目の更新 「最高の称賛」勝ち得る

12月には国際的な医療機能評価のJCI認証を更新しました。15年に初めて取得してから18年に続き2回目の更新です。コロナ禍でリモート審査になり、前回よりも厳しい基準で、コロナ対応を続けながらの準備と受審になったため、とても大変でしたが、今回も前回より良い評価でした。審査員から当院の誠実に取り組む姿勢に対し最高の称賛(ショーストッパー)をいただき大変うれしく思っています。

今年4月には與座浩次副院長をはじめ5人の麻酔科医を新たに迎え、また手術室も拡張し、多くの手術症例に対応できる体制を整えました。

整形外科手術支援ロボットMakoシステムも導入し、IMRT、SBRT、hinotoriとともに診療支援ロボットもさらに積極採用していきたいと思います。DX(デジタル変革)の取り組みも一段と活発化させ、モバイル電子カルテ端末、AI(人工知能)問診、外来の診療支援アプリなどの導入も予定しています。これらにより、東上震一理事長が提唱されている「医療界ナンバーワンの働きたい職場」を実現していきます。

6月25日、理事長選挙の際、多くの院長先生方の話を拝聴し、学びを得る貴重な機会となりました。同じ理念、哲学を守り奮闘されている先生方と一緒にいるだけで、心強い気持ちになりました。さらに地域に貢献できるよう、皆で頑張りましょう。

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