徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

仙台徳洲会病院 院長
佐野 憲(さのけん)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

佐野 憲(さのけん)

仙台徳洲会病院 院長

2022年(令和4年)03月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1329

新病院のコンセプトは安全・安心な病院
若人たちが楽しく実力を付けられる病院
新しいシステムやロボットなど積極的に導入

念願の新病院がやっとできました。当院は徳洲会13番目の病院で、現病院は築36年です。現病院は仙台市泉区にありますが、竣工当時、この地は泉市でした。しかし、なぜか仙台徳洲会と命名されました。徳田虎雄・名誉理事長は抜群の立地条件の下に病院を建ててきたと、徳洲会幹部は言いますが、まさにそのとおりです。先日、ある徳洲会OBが「徳田先生は、恐ろしいほど細かく調査したうえで場所を決める」と話していましたが、数分で決めて、どこかに去って行くという伝説もあります。とにもかくにも現病院は地下鉄の泉中央駅から徒歩5分の好立地です。その現病院から直線で約2㎞の場所に1万坪程度の敷地を確保し、新病院ができました。現病院の約3倍、サッカーコート4面分もあるのです!

急変の予兆を早期に把握でき 看護カルテ記載の手間も軽減

新病院のコンセプトは①安全、安心な病院、②若い人たちが成長できる病院です。私は安全、安心を大事にしたいと思っています。何か綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、15年以上の院長歴のなかで、毎日のように上がってくるインシデント・アクシデント報告には、うんざりしています。ダブルチェック、トリプルチェック、チェックシート、指差し呼称、注意喚起、良い改善策へのインセンティブなど、さまざまな試みを実施しましたが、チェックをいくら増やしても実行しなければ意味がありません。指差し呼称もなかなか定着しません。患者さんの容態急変について、もう少し早く予兆を捉え、早期発見するにはどうすれば良いのでしょうか。看護師を増やし、NEWS(早期警告スコア)を導入し、研修医も増やして協力してもらうなど、手を尽くしていますが、結果は今ひとつです。

そこで、新病院には多くの新しいシステムを導入しました。詳細は省きますが、まず①ベッドサイドケア情報統合システムのスマートベッドシステムと眠りスキャン、②スマートフォンの導入とスマートベッドシステムのリンクがあります。これらは急変の予兆を早期に把握でき、看護師のカルテ記載の手間も軽減されるため、患者さんに多くの注意を払えます。後述の「セル看護方式」も急変の早期発見に大変有効です。また、ラピッドレスポンス(急変時対応)チームの運用ツールとしても、かなり期待できそうです。

さて、③セル看護方式ですが、これに適した病棟をつくりました。主に転倒・転落事故の予防と早期発見に非常に有効です。新病院の動線は短く同方式は直接、患者さんの観察ができるため、転倒しそうな患者さんの事故を防ぐのに大いに役立ちます。

また、④薬局にロボットも導入しました。具体的には自動ピッキング装置と注射薬自動払い出しシステムです。⑤最新のセキュリティシステムを整備し、新病院の構造にも工夫を凝らしました。これは医療従事者も含めた安全に寄与します。大阪の心療内科クリニック放火事件、埼玉の医師射殺事件などを見ると、絶対必要な対策です。

これらは、新築移転計画が本格化した数年前から関係部署の職員が集まり、入念に準備してきたものです。

若手とベテランが話し合う 医局がガヤガヤと騒がしく

もうひとつのコンセプト、若い医師やコメディカルが楽しく実力を付けられる病院ですが、少し前に当院の前院長に褒めてもらったことがあります。それは医局がガヤガヤ騒がしく、臨床について若い医師とベテラン医師が話し合う光景が多くなったという点です。このような医局になるまで7年かかりました。そんなにかかったのはベテラン医師しかいなかったからです。初期研修医の勧誘や後期研修システムの整備に時を費やしました。今後、病院が伸びていくには、このような雰囲気が欠かせないと信じています。ここが重要ですが、若い人だけでなくベテランを集めることも肝要です。長年の経験が必要だからです。

新病院は4月1日にオープンします。本来なら全国の徳洲会病院から応援をもらい、拡大医療講演や個別訪問ローラー作戦など、昔ながらの“必殺技” をお願いしようと考えていましたが、新型コロナのため水泡に帰しました。また、全国の病院四役を招待し、新病院を自慢しようと何年も前から楽しみにしていたのですが、これも泡と消えました。でも、少人数で、ぜひ見学に来てください。

皆で頑張りましょう。

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