徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

埼玉医療生活協同組合 理事長
医療法人徳洲会 副理事長
一般社団法人徳洲会 副理事長
福島 安義(ふくしまやすよし)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

福島 安義(ふくしまやすよし)

埼玉医療生活協同組合 理事長 医療法人徳洲会 副理事長 一般社団法人徳洲会 副理事長

2021年(令和3年)12月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1319

回復期病棟や地域包括ケア病棟など
あわせもつ急性期多機能病院を熟考
生き残るには地域のなかで何ができるか真剣に

12月15日の新型コロナウイルス感染症の国内新規感染者数は163人、入院中や療養中の感染者数は1115人。この数字だけを見ると、ここまで少なくなったのか、コロナもようやく終息するのかと思いたくなりますが、前週同曜日比ではプラス40人と増加しています。徳洲会グループの日報では15日の新規陽性者数は3人、陽性者入院数は18人です。決して多い数ではありませんが、2週前の12月1日は新規陽性者数1人、陽性者入院数6人でした。この1~2週間のじわっとした増加傾向はとても気になります。年末に向けオミクロン株の市中感染の可能性もあり、第6波の始まりを予感させます。

第5波のピーク時を思い出し オミクロン株に対する備えを

このところの感染者数の減少は、私たちの日常での感染対策に弛(ゆる)みをもたらしているようにも思えます。第6波が来ないことを祈りますが、もう一度、あの激しかった第5波のピーク時のことを思い出し、各病院や施設は感染症対策を練り直していただきたいです。とくに高い感染力をもち空気感染を起こすと言われるオミクロン株に対し、どのような対策を講じておく必要があるか、各病院や施設の構造が異なりますので、それぞれ点検していただき、感染者が出た時には迅速に対応できるようにしていただきたいです。

さて、いずれコロナは終息するとの見方が大勢を占めていますが、コロナ後の日本の社会や医療のありようは、どう変化するのでしょうか。遅れていると言われる日本のIT(情報技術)化が進み、テレワークなどにより通勤がなくなり、人口も都市への集中から地方へ分散するようになるのでしょうか。医療でも新型コロナ感染症に対応するため、オンライン診療が現実化するなど変化が起きています。

日本の医療提供体制は、諸外国に比べ充実していると考えられてきました。2019年時点で、日本の人口1000人当たりの病床数は12.8と先進諸国(OECD加盟国)平均の4.4を大幅に上回っています。このうち急性期病床数は7.7と先進各国の平均3.5をはるかに上回っています。しかし、新型コロナ感染症に罹患(りかん)した患者数は欧米各国より、はるかに少ないにもかかわらず医療が逼迫(ひっぱく)する事態に陥りました。なぜ、このようなことが起きたのか。日本の急性期病院は中小規模の病院が多く、コロナに対応しきれなかったところが多くあったこと、また大学病院や大病院でも、重症者の受け入れなどにフル稼働できなかったことなどが挙げられています。また、人口10万人当たりのICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)が、ドイツや米国に比して少ないことなども指摘されています。

こうした状況は、遅々として進まない地域医療構想での急性期病床の削減に、何らかの影響を与えるかもしれません。私たち徳洲会グループの病院は、超規模から小規模まで多様な急性期病床を有する病院がほとんどです。それぞれの病院が、その地域で生き残るためには、その医療圏のなかで何ができるかを真剣に考え、実行してゆかねばならないと思います。超規模病院も、ただ急性期のみではなく、可能なら回復期病棟や地域包括ケア病棟などをあわせもつ急性期多機能病院を目指すべきではないかと考えます。超規模病院では宇治徳洲会病院(京都府)、大規模病院では羽生総合病院(埼玉県)が急性期多機能病院として動き出します。医療圏によって環境は異なりますが、その医療圏のなかで、何ができるかを考えることが重要です。

コロナ後も不変の少子高齢化 病院近くにサ高住など用意を

コロナ後も、すぐに変わることがないのは少子高齢化の波です。たとえば、北海道の函館市では2021年の高齢化率36.3%。以後、人口は減少、少子化も進み、高齢化率は徐々に上昇、40年には44.3%になるという推計が出ています。そして現在、高齢者の約20%が独居です。こうした状況は、今後、日本のあらゆるところに出現します。救急輪番時に、入院を必要としないけがや病状の高齢の方が、自宅に帰っても食事を摂れない状況を見ると、病院の近くに、ぜひともサービス付き高齢者向け住宅や、ショートステイができる居住空間を用意してほしいと思います。共愛会病院(北海道)では現在、こうした施設の建築を進めています。“生命だけは平等だ”を実践すべく、皆で頑張りましょう。

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