
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)08月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1555 3面
第10回徳洲会グループQI大会を開き、各カテゴリの優秀演題の発表と表彰式を行った。応募演題数は過去最多の134演題。QI大会は個々の病院・施設の取り組みからベストプラクティス(最良の実践)を吸い上げ、知見を共有し水平展開を図り、グループ全体の医療の質向上や業務改善の推進につなげる取り組みだ。
東上理事長を囲んで優秀演題賞などの受賞者らが記念撮影
QI大会は6つのカテゴリに分け演題を募集。査読により22演題を選出し、eラーニングを活用してグループ全職員が視聴・投票し、優秀演題を選んだ。セミナー会場では、各カテゴリでトップとなった優秀演題6演題に加え、理事長推薦演題を合わせた計7演題の発表・表彰を行った。
一般社団法人徳洲会(社徳)の深野明美・医療安全・感染管理部部長が司会を務め、湘南大磯病院(神奈川県)の鵜川美穂・看護部長、湘南藤沢徳洲会病院(同)の菊池豪事務長、共愛会病院(北海道)院長の太田智之・徳洲会専務理事が順に座長を担った。本大会での発表順に演題を紹介する。
はじめに、「患者目線」で選出された吹田徳洲会病院(大阪府)の兵頭麻利助産師が「『手ぶら入院』を取り入れて」をテーマに発表。出産で入院する妊婦さんの準備負担を軽減し、安心して出産に臨める環境づくりを目指し、入院中の着替えやタオルを病院が用意する「手ぶら入院」を導入した。お産セットの内容も見直し、患者さん満足度の維持(80%)とコスト削減を両立。満足度は100%と目標を上回り、「知り合いの妊婦さんにもすすめたい」との回答も100%だった。
続いて「職員目線・働き方改革」では、南部徳洲会病院(沖縄県)の新里かおり看護師が「前残業低減への取り組み」と題し発表。始業前に出勤して患者さんの情報を整理する「前残業」の常態化という課題に対し、情報を集める作業をRPA(ソフトウエアによる業務の自動化)、読み取る作業をAIに任せ、1枚のワークシートに自動でまとめる仕組みを構築。情報収集を大幅に効率化し、前残業時間を平均で約6分短縮した。
「医療安全」で選ばれたのは、鹿児島徳洲会病院の出水楓・臨床検査技師が発表した「生理検査での受付の自動化とラベル運用」。新病院への移転を機に、患者さんがバーコードで受け付けを行うと、ラベルが自動発行される仕組みを導入した。手作業の工数や転記ミスを減らすことで、受け付け時間を約94%短縮。受付に関するインシデントも14件から5件に減った。
「地域社会」では、福岡徳洲会病院の今泉彰太MSW(医療ソーシャルワーカー)が「救急患者連携搬送(下り搬送)システムの構築」を発表。搬送された患者さんを診療後、対応可能な連携先に下り搬送を行う取り組みだ。看護師が同乗するのが特徴的で、院内にワーキンググループを立ち上げ、搬送基準やフローチャート、空床状況リストを整備した。転院調整にかかる時間を平均約23分短縮し、期間内に77件の下り搬送を実施した。
「臨床」で選出されたのは、湘南藤沢病院の田沼周悟看護師による「外来での急変が減少した外来版RRS」。入院患者さんを主な対象とするRRS(迅速対応システム)を、一般外来の患者さんにも導入した。事務職員を含む全職員が異常を察知して起動し、救急外来の看護師と医師が対応する仕組みで、コール条件も明確化。運用開始後は外来後の急変が減少し、一般外来からの緊急カテーテル搬送は0件となった。
「経営」は、福岡病院の立川茉梨絵薬剤師が「薬剤師外来における残薬調整による医療費削減効果」を発表した。外来で化学療法を受ける患者さんに対し、薬剤師が診察前の待ち時間に面談し、残薬に応じ処方量を調整する取り組み。残薬の確認は問診の都度、実施した。薬剤費の削減額は年間約370万円に上り、目標値を大きく上回る結果となった。
理事長推薦演題には、東京西徳洲会病院の田中美里・臨床検査技師が発表した「異常心電図から循環器疾患の早期発見へ」が選出。救急外来を受診し、入院時のスクリーニングとして行った心電図から異常所見を抽出し、医師に報告して心エコー検査につなげる取り組みだ。医師へのアラート実施率は目標の100%を継続して達成。確認する技師を増やすことで、心エコーの実施率向上にもつなげた。
発表終了後、東上震一理事長は「どのカテゴリも論文になる水準の演題ばかりでした。しっかり論文化し、徳洲会のなかだけでなく世の中に発信していくことが、病院や個人の評価・業績にもつながります。ぜひ形にして成果を残してほしい」と総括した。