
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)07月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1553 4面
住み慣れた自宅や高齢者施設で生活を続けながら、機能の維持や向上を目指す「訪問リハビリテーション」。単なる動作の獲得にとどまらず、その人らしい豊かな暮らしを維持していくための大切な介護サービスです。今回は、訪問リハビリが果たす役割や、日々の生活をより豊かにするためのアプローチ方法などについて、出雲徳洲会病院(島根県)の高木朱里・作業療法士(OT)がわかりやすく解説します。
「利用者さんの意欲を大切にします」と高木OT
住み慣れた自宅だからこそできるリハビリを
訪問リハビリでは、セラピストが利用者さんの住み慣れた自宅や施設におうかがいし、必要なリハビリを行います。基本的には介護保険を利用するすべての方が対象となり、日常生活の機能維持や向上、福祉用具の選定、必要なサービスの提案など幅広く行います。
病院でのリハビリと大きく異なるのは、実際の「生活の場」でリハビリを行うという点です。ご家族を交えた環境のなかで、実際に使う生活動線を一緒に動いて確認したり、必要な福祉用具を具体的に提案・設置したりすることができます。
訪問リハビリが目指すのは、単にADL(日常生活動作)を獲得して終わりではなく、これからの生活を支え、維持していくことです。排泄や入浴の動作ができるようになったからといって、すぐにリハビリが終了するわけではありません。どのような運動やサービスを継続すれば、今の生活状態を維持できるかを一緒に考え、指導していくことも重要です。
リハビリを進めるうえで最も大切にしているのは、利用者さんの「意欲」です。「焼肉を食べたい」、「家族と居酒屋やカラオケに行きたい」といった具体的な目標や、本人の「やりたいこと」を対話のなかから引き出し、目標に設定します。具体的な目標は運動機能を維持しやすいです。
当院では理学療法士(PT)、OT、言語聴覚士(ST)が全員で12人在籍しており、複数の専門職が連携してサポートできる体制を整えています。担当を固定せず、さまざまな視点からアプローチすることで、利用者さんに合った細やかな対応が可能となります。また、当院では認知症の利用者さんに対して、「くもん学習療法」を導入しています。専門のセラピストが訪問し、認知症に対するアプローチを実施します。
祝日も休まず営業しているので、ご家族が休みの日に合わせて訪問し、直接アドバイスや日頃の悩みをお聞きする時間を設けることができます。ご本人だけでなく、介護されるご家族の「トイレだけは自分で行けるようになってほしい」といった希望も一緒に考えながら、リハビリの内容を計画します。
院内ではカルテの確認に加え、口頭、時には現場で撮影した動画の共有などを通じ、スムーズな情報共有を行っています。さらに、外部のケアマネジャー、福祉用具専門相談員、他事業所の方々と連携する機会も多いため、言葉遣いや電話対応など接遇面を日々勉強し、アップデートしていくことも大切にしています。
昨今、主治医の先生からの勧めなどで、訪問リハビリの認知度が高まり、利用者さんが増加しています。とくに、ひとりでの通院が困難な方にとって、自宅で待っているだけで受けられる訪問リハビリは、大きなメリットがあると思います。
自宅に他人を入れることに抵抗がある方もおられますが、私たちはプライバシーに十分配慮し対応しています。自宅だからこそできるリハビリには多くの可能性があり、うまく活用することで介護するご家族の負担も軽減できます。訪問リハビリを前向きな選択肢として、ぜひ頼りにしていただきたいと考えています。