
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)07月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1553 2面
八尾徳洲会総合病院(大阪府)はTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)を開始した。重症の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル(医療用の管)治療で、患者さんの身体的負担が少ないのが特徴。これまで4例実施し、いずれも経過は順調だ。
「当院の“武器”を増やし、できるだけ地域で完結できるようにしたい」と薦岡副院長
着実にTAVIの実績を重ねる。これまでに4例実施し、いずれも経過は順調。徳洲会グループのTAVI実施施設は八尾病院で10施設目

大動脈弁狭窄症は、心臓の左心室と大動脈の間にある大動脈弁が何らかの原因で硬くなり、正常に開かなくなる病気。大動脈弁は、血液を左心室から全身に一方向に送り出す役割を担っているため、正常に開かないと、血流が速くなったり全身の臓器に血液が十分に行き渡らなかったりして、心臓に負荷がかかり、胸痛や息切れ、心不全、失神などにつながることもある。
高齢者に多く見られ、一般的に症状が軽い場合は心臓への負荷軽減や不整脈の予防などを目的とした薬物療法(対症療法)、重い場合は外科手術で人工弁に取り換える根治療法を行う。
TAVIは主に外科手術が困難なケースで施行。太ももの付け根など血管からカテーテルで人工弁を心臓まで運び留置する。外科治療のように開胸することなく人工心肺装置の使用もない。
2013年に保険適用、21年には透析患者さんにも適用が拡大。さらに23年には一定の要件下で、人工弁の経年劣化によるTAVIの再手術、“TAVI in TAVI”も可能になった。TAVIはTAVRとも呼ばれる。実施施設の認定には、心臓血管外科と循環器の専門医が常勤で各3人、ハイブリッド手術室(画像診断装置と高機能手術台を併設する手術室)の整備といった厳しい施設基準をクリアしなければならない。
薦岡成年・八尾病院副院長兼心臓血管センター長が20年に岸和田徳洲会病院(大阪府)から異動し、TAVIの導入に着手。当時、心臓血管外科専門医は薦岡副院長を含めふたり、循環器専門医は松尾浩志・循環器内科部長兼心臓血管センター副センター長ひとりと、「まったく足りていない状態」(薦岡副院長)だった。
その後、薦岡副院長や松尾部長が奔走。若手医師を確保し専門医資格の取得など体制や設備を整えると同時に、施設基準にかかわる治療や検査の実績を重ねたり、多職種への教育に努めたりした。昨年、実施施設に認定、今年からTAVIを開始した。
薦岡副院長は「専門医確保には本当に苦労しました」と述懐。「当院でTAVIを行う前提で、岸和田病院から着任したこともあり、6年かかりましたが、実施施設の認定は悲願とも言えます」と、感慨深げに振り返った。
同院は、これまで4例を実施。いずれも患者さんの経過は良好だ。薦岡副院長は「地元の中河内医療圏には今まで実施施設が1施設しかなく、地域のTAVI対象患者さんは大阪市内に流出していました。当院が2施設目となったので、できるだけ当地域で完結できるようにしたいと思います」と意欲的。
昨年、不整脈に対するアブレーション治療、今年、TAVIが始まったことをふまえ、「うまく進めば今後は僧帽弁閉鎖不全症に対するマイトラクリップ、さらには三尖弁逆流症に対するトライクリップなどカテーテル治療の発展も期待できます」と展望する。
徳洲会グループのTAVI実施施設は、同院で10施設目。