
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)06月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1548 4面
膝の痛みに悩み、日常生活に支障を来している方は少なくありません。中高年の膝痛の代表的な疾患である「変形性膝関節症」は、40歳以上で潜在的な患者数が約2,600万人、実際に痛みがある方は約800万人にも上るとされています。放置すれば歩行困難に陥る恐れもあるため、早めの対策が重要です。今回は、武蔵野徳洲会病院(東京都)の山内拓磨・理学療法士が、病態から自宅でできる改善・予防法まで解説します。
武蔵野徳洲会病院(東京都) 山内拓磨・理学療法士
お皿の下のくぼんでいる柔らかい部分を親指の腹や先端で強く押す
お皿からさらに指3本分上を手根部(手のひらの手首に近い側)でぐるぐるマッサージ
変形性膝関節症は、加齢や肥満、筋力低下、過去のけがなどの要因によって、膝関節の軟骨がすり減ることで発症します。片側の膝が痛い場合でも、それをかばうことで最終的に両側とも痛くなるケースが多いです。
よく「骨と骨がぶつかって痛む」と誤解されがちですが、実際にはすり減った軟骨の破片が関節内に飛散し、膝関節を包む「滑膜」を刺激することで炎症が生じ、痛みや腫れを引き起こします。この炎症が続くと、関節を守ろうとして「関節液」が過剰に分泌され、膝が腫れる原因となります。一度失われた軟骨は、再生することはないと言われていますが、適切なケアで進行を遅らせ、痛みを軽減することは十分に可能です。
初期症状としては、立ち上がりや歩き出しといった動作の開始時に違和感や痛み、朝方に関節のこわばりなどが現れます。中期には痛みが持続するようになり、正座やしゃがみ込み、階段昇降が困難になります。そして末期には、歩く・立つ・座るといった基本動作すら苦痛となり、外出を控えるようになるなど精神的な負担も大きくなります。歩行時には体重の約3倍、階段では約8倍もの負荷が膝にかかるため、早めの対策が不可欠です。
日常生活に必要な膝の可動域は100~120度程度。この可動域を確保するため、まずはマッサージをしっかり行いましょう。膝を伸ばした時や体重をかけた時に痛みを感じる場合は、お皿の下にある「膝蓋下脂肪体」が硬くなっている可能性があります。また、膝が曲げにくい、もしくは曲げた時に痛い場合は、お皿の上にある「膝蓋上包」の柔軟性が低下していることが考えられます。この部分をマッサージすることで、スムーズな動きを取り戻すことができます(写真参照)。
次に重要なのが、膝を支える「大腿四頭筋」の訓練です。仰向けや座った状態で、膝の下に丸めたタオルを置き、爪先を上に向けてタオルを5秒間押しつぶす「パテラセッティング」は、膝に過度な負担をかけずに筋力を強化できる基本の運動です。また、内ももの「内転筋群」を意識して、両膝でボールや丸めたタオルをはさんでつぶす運動もおすすめです。
有酸素運動も有効です。ウォーキングは1日7,000歩を目標に、胸を張って大きく腕を振って歩きましょう。痛みが強い方には、水の浮力で膝への負担を最大9割程度軽減でき、水の抵抗で効率よく筋トレができる水中歩行を行いましょう。
最も大切なのは「継続は力なり」という心構えです。膝に違和感を覚えたら、「年だから」と諦める前に、まずは専門医や理学療法士に相談してください。早期から正しい知識をもって運動療法に取り組むことで、いつまでも自分の足で元気に歩き続けられるようにしていきましょう。