徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)06月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1545 4面

徳洲会運用のホンダジェット「徳洲ジェット」
患者さんの航空搬送が着々と進展
初の離島間や治療目的での搬送も実施

徳洲会グループが運用するホンダジェット「徳洲ジェット」による患者搬送が着々と実績を重ねている。3月に1例、4月に2例、5月に3例と、これまで計6例を実施。4月以降は初めて離島間の搬送による“帰島支援”や治療目的の搬送による“医療アクセス支援”を行うなど、取り組みの内容も広がっている。“徳洲会Air Ambulance(空の救急車)構想”と称し、航空機で医師や患者さんを運ぶプロジェクトのリーダーを務める名瀬徳洲会病院(鹿児島県)の平島修副院長は「現場のニーズや搬送実績をふまえながら検討を重ね、良い形にしていきたいです」と力を込める。

無事に搬送を終え笑顔を見せる平島副院長(右から4人目)ら関係者 患者さんを乗せる病院の車は徳洲ジェットに横付け 酸素ボンベを着け徳洲ジェットに乗り込む患者さん 奄美空港に到着し自院の救急車から患者さんを運び出す名瀬病院スタッフら

徳洲会Air Ambulance構想は、グループが運用する徳洲ジェットや軽飛行機を活用し、医療チームだけでなく、患者さんも運ぶプロジェクト。平島副院長がリーダーを務め、3月27日に初めて徳洲ジェットによる患者さんの里帰り搬送を行った。

これをふまえ、4月27日に2、3例目を実施。1例目は都市部の徳洲会病院間(福岡徳洲会病院:福岡空港→湘南藤沢徳洲会病院:羽田空港)による搬送だったが、2、3例目は名瀬病院の患者さんを、それぞれ徳之島徳洲会病院(鹿児島県)と喜界徳洲会病院(同)に運んだ。

共に奄美大島のグループ外病院にドクターヘリで救急搬送され、治療を受けた後、名瀬病院で療養。しかし、医療対応が欠かせず、一般の航空機や船舶では故郷の徳之島、喜界島に帰れないことから、徳洲ジェットでの搬送を決定した。

安全かつ迅速な搬送を実現するために、平島副院長をはじめ、各病院の担当医師や看護師、臨床工学技士(CE)、地域医療連携室スタッフ、同プロジェクト事務局を務める一般社団法人徳洲会(社徳)の渡部昌樹・国際部次長、徳洲ジェットの管理・運航支援を行うエメラルド・エアー・サービスの田口誠社長らが協議を重ねた。

当日は、まず奄美空港から徳之島空港に患者さんを運び、その後再び奄美空港に戻り患者さんを搭乗させて喜界空港に運んだ。2例とも大きなトラブルはなく各病院に搬送され、家族と面会した。

平島副院長とともに準備の初期段階からかかわった名瀬病院の伊集院江利子・地域医療連携室副主任は「“家に帰りたい”という患者さんや、ご家族の気持ちに応えられることをうれしく思いますし、やり取りのなかで感謝の気持ちが伝わり、やりがいを感じました。紹介元の医療機関にも報告したところ、『徳洲会にしかできない』と言われましたが、まさに“患者さんのため”を掲げる徳洲会の取り組みだと思います」と話す。

奄美空港には、地元メディアが複数、取材に訪れ、平島副院長や名瀬病院の大久保吉章・事務部長が対応。大久保・事務部長は「奄美群島の各島に徳洲会病院がありますが、昔から患者さんの搬送は懸案事項でした」と指摘し、「救急搬送され命が助かるのは良いことですが、その後、島々に帰るのにドクターヘリは使えません。帰れない方がおられるので、それをどうにかしたいと思っていました。今回、無事に搬送できたことは奄美群島の患者さんにとって大きな一歩です」と語気を強めた。

徳洲会が送り届ける“安心感”

5月に入ると、今度は“医療アクセス支援”を目的とした搬送を開始。2日に徳之島病院の患者さんを大阪の八尾空港経由で宇治徳洲会病院(京都府)、7日に名瀬病院の患者さんを八尾空港経由で岸和田徳洲会病院(大阪府)、18日に名瀬病院の患者さんを小牧空港経由で名古屋徳洲会総合病院に運んだ。いずれも、基本的に車いすを使用する患者さんで、がん治療やCABG(冠動脈バイパス移植術)、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)など、離島の病院では実施が難しい治療につなげることが目的だ。

こうした搬送について、平島副院長は「離島では高度医療そのものに対する心理的ハードルが高く、たとえば“島を出て大手術を受ける”となると非常に大きな不安を感じる島民の方が少なくありません。一般的な航空機を使用した移動となると、空港での動線や待機時間、急変時対応なども含め心理的負担が大きく、徳洲会が送り届ける“安心感”そのものに意味があると思っています」と明かす。

さまざまなケースの実績を重ねながら、今後も同プロジェクトをブラッシュアップしていく方針。渡部次長は「徳洲会の医療にとって大きな一歩になっていると思います」と成果を強調し、「月1回程度の振り返りを通じて基準やルールを柔軟に整理・更新していきたい」と意欲を見せる。平島副院長も「この取り組みは離島だけではありません。他の地域の徳洲会病院から問い合わせも寄せられているので、必要な医療を患者さんが受けられるように、検討を重ねより良い形に発展させていきたいです」。

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