徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)05月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1542 3面

徳洲会看護部門北関東ブロック
身体的拘束最小化で発表会初開催
患者さんの尊厳守る安全な医療実現へ

徳洲会看護部門北関東ブロックは、千葉徳洲会病院の会議室で「身体的拘束最小化取り組み発表会」を初開催した。会場とオンラインのハイブリッド形式で開き、50人超が参加。14施設が日頃の試行錯誤や具体的な改善策を報告し、患者さんの尊厳を守る安全な医療の実現に向けて知見を深めた。

会場には北関東ブロックから32人が集まり研鑽 「ブロック一丸となって取り組みましょう」と三浦・看護部長 14施設の発表を聞き積極的に質疑応答も

徳洲会グループ全体で掲げる「身体的拘束の最小化」の方針に対し、北関東ブロックでは一年をとおしてブロック全体で取り組みを強化してきた。具体的には、認知症看護認定看護師が所属する病院がリーダーとなってグループを構成。実際に同認定看護師が、グループ内の各病院を訪問して直接指導や評価を行い、実効性を高めた。今回の発表会は、各病院の活動や課題、具体的な改善策などを共有することで、いかに患者さんの尊厳を守りつつ安全な医療を提供するか、その知見をブロック全体で底上げするのが目的だ。

冒頭、北関東ブロック長の三浦千賀子・成田富里徳洲会病院(千葉県)看護部長は、「身体的拘束最小化の取り組みは、単に数字を下げるための活動ではありません。患者さん一人ひとりの尊厳と権利を尊重し、安全で安心できる看護の質を追求することが本質です。本日共有される各病院の試行錯誤や成功体験を自施設の力に変え、ブロック一丸となって歩みを進めていきましょう」と呼びかけ、参加者を鼓舞した。

発表では、14施設が取り組みを報告。このうち各グループのリーダー病院の発表を中心に紹介する。

羽生総合病院(埼玉県)は、昨年1月に身体的拘束最小化チームを立ち上げ、週1回のカンファレンスと多職種によるラウンドを継続。とくに、医師がラウンドに参加することで、拘束解除に向けた薬剤調整や代替案の検討が、その場で迅速に行える体制を整えた。また、グループ内のさいたま記念病院からは、電子カルテ移行にともなう入力精度の向上や、多職種ラウンドの定着といった課題も共有した。

東京西徳洲会病院では、看護部長が「身体的拘束をはずすことは看護の基本である」という強いスローガンを掲げ、所属長のリーダーシップ強化に注力した。具体的には、所属長が他部署のカンファレンスに参加して評価を行う相互監査を実施。これにより、部署ごとの意識の差を埋め、組織全体の「拘束を行わない文化」の醸成に努めた。また、グループ内の武蔵野徳洲会病院(東京都)は、多職種ラウンドでスタッフが看護を語れる環境づくりが進んでいることを報告した。

多職種で倫理観育む 拘束率半減の成果も

千葉西総合病院は、急性期病院ゆえのせん妄やBPSD(認知症にともなう心理・行動症状)への対応の難しさを指摘した。身体拘束の三原則(切迫性、非代替性、一時性)をスタッフがより具体的に判断できるよう、独自のチェックシートを導入。漠然とした不安による拘束を排し、客観的な指標に基づいた解除判断を促している。また、夜間の光や音といった睡眠環境への配慮が、結果として、せん妄の抑制につながるという環境調整の重要性に関しても強調した。

白根徳洲会病院(山梨県)は自施設での徹底した管理体制を報告。同院では、拘束具の保有数を把握し、新規購入を看護部長の承認制とするなど、拘束が容易にできない環境を構築。また、スタッフ一人ひとりの倫理観を育むため、虐待防止や拘束の弊害を学ぶ体験研修を定期的に行い、数値目標だけでなく心のケアに重きを置いた活動を展開している。

古河総合病院(茨城県)は、以前の身体的拘束率が高かった現状を真摯に受け止め、大幅な改革に乗り出した。各部署の拘束率を可視化して全職員に提示することで、意識改革を促し、多職種ラウンドでは「とりあえず拘束する」という心理的障壁を下げるための丁寧な対話を重視。その結果、2023年度に比べ、今年度は拘束率が半減するという顕著な成果を出した。

鎌ケ谷総合病院(千葉県)では、ICU(集中治療室)での拘束率低減に大きな成果を上げた。重要デバイスの抜去リスクを多職種で分析し、見守りの強化や代替デバイスの活用を進めることで、重大インシデントを増やすことなくICUでの拘束率を大幅に減少。グループ内の成田富里病院や館山病院(千葉県)との連携にも触れ、他施設の成功事例を自部署に取り入れる「グループダイナミクス」の有効性を説いた。

最後に、三浦・看護部長が総評を行い、各病院が共通して「所属長の関与」と「多職種の視点」を重要視している点を高く評価。可視化したデータがスタッフのモチベーションに直結しているところに触れ、「2026年度はブロック全体で拘束率8%以下を目指したいと考えています。これは単なる数値目標ではなく、私たちの看護の質が、それだけ向上したという証しになります」と展望を語り、閉会した。

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