徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)05月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1541 4面

徳洲会グループ
「特定看護師」養成に力を入れる
医療・看護の質向上と医師負担軽減

徳洲会グループは医療・看護の質向上やタスクシフト・シェア(業務移管・共同化)による医師の負担軽減などを推進するため、特定看護師(特定行為研修を修了した看護師)の養成に力を入れている。特定看護師は医師からの包括的指示に基づき、あらかじめ定めた手順書に沿い、高度な知識・技術を用いてタイムリーに「特定行為」と呼ばれる診療補助行為の実践が認められた看護師を指す。徳洲会グループ看護部門の坂本眞起代・人事・総務部部長に背景や意義など聞くとともに、救急領域や集中治療領域の特定看護師が活躍する病院の事例を紹介する。

当番制導入しスキル維持・活用

「特定行為は将来、ジェネラルな領域に」と坂本部長

特定行為は21区分38行為あり、頻度の高い行為に関しては6つの領域別にパッケージ化した研修がある。厚生労働省が認定した指定研修機関で実施。研修期間は半年から1年程度だ。

角野主任(右)と向谷主任

坂本部長は「たとえば中心静脈カテーテル(CVカテーテル)の抜去は、以前は医師のみに認められていました。当時はカテーテル感染による発熱とわかっていても、医師が到着するまで待たなければなりませんでした。しかし、特定看護師がいれば、患者さんを待たせることなく対応が可能になり、患者さんの負担やリスクの低減が期待できます」と強調する。

加藤副主任(左)と小林看護師

徳洲会グループは計画的に指定研修機関の拡大を図ってきた。現在16病院に上る。研修修了者は2025年3月時点で徳洲会グループ348人、全国では1万1,840人。

「10年後、20年後、特定行為は現在の通常の看護行為と同様に、“ジェネラル”な領域になると言われています。安全確保を優先しながら、先を見据えて、より多くの病院で特定行為を当たり前に実践できる環境を整えていかなければなりません」と坂本部長は見とおす。

専用PHSを持ち回りで携帯

26年3月末時点で27人の修了者がいるのは札幌徳洲会病院だ。指定研修機関として20年度に同研修を開始。現在では救急、術中麻酔管理、在宅・慢性期の3領域別パッケージを追加開講し、計8区分+3パッケージの研修を実施。実施した特定行為件数は24年度1,035件、25年度は1,447件と年々伸びている。

人工呼吸器の設定を調整する向谷主任

1期生であるICU(集中治療室)の向谷実佳・看護主任は「受講当時は手術室の配属で、『動脈血液ガス分析関連』、『呼吸器(人工呼吸器管理)関連』の2区分を修了。今もこれらを行う機会が多いです」。23年に追加で救急パッケージを修了した。

同じくICUに所属し、同院看護師特定行為研修センター研修責任者の角野友香理・看護主任は「ニーズの増加を受け、25年度にPICC(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル)の研修も開始しました」と説明する。

エコー(超音波)ガイド下にPICCの処置を行う小林看護師(左から3人目)

角野主任は各特定看護師のスキルを活用し、維持・促進する工夫として「専用のPHSを特定看護師が持ち回りで携帯し、病棟看護師や医師からの依頼先を一本化することで、迅速に対応する体制を構築しました。連絡のしやすさや病棟看護師との密な連携はもちろん、配属部署にかかわらず横断的に活動できるのもメリットです。特定看護師の存在を患者さんをはじめ、医師、看護師らに知ってもらうため、名札に『特定看護師』と入れ、アピールすることも行っています」と取り組みを紹介する。

キャリアパスのひとつに

特定行為のスキル維持・活用のため、同様に当番制を導入している名古屋徳洲会総合病院。日頃、特定看護師への指導を行い、相談に応じている診療看護師の加藤直輝・看護副主任は「当院には特定看護師が15人います。このメンバーで“特定行為担当日”のシフトを割り振り、平日の午前9時~午後4時半まで毎日、原則として担当(1人)の特定看護師が専用のPHSを持ち、特定行為の依頼を部署横断的に一手に引き受けています」と説明する。これにより配属先の病棟の患者層に左右されずに、特定行為の実践の機会や時間の確保にもつなげている。

研修開始は21年度。現在は集中治療領域パッケージ研修と、同研修を構成する区分・行為のほか、同院もPICCの研修を実施。特定行為件数は年間400~500件に上る。特定看護師の小林柚香看護師(22年に受講)は今年度、追加でふたつの特定行為研修を終えれば、集中治療領域パッケージ修了相当となる。「スキルアップすることで患者さんに貢献できると思い受講しました。業務の幅が広がって、やりがいを感じ、モチベーションの向上にもつながっていると感じます。興味をもってくれる後輩もいるため、看護師のキャリアパスのひとつとして示していきたい」と思いを語る。

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