
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)03月09日 月曜日 徳洲新聞 NO.1533 1面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は2月19日、記者会見を開き、次世代のがん医療として注目されているBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)治療を4月に開始すると発表した。がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤を投与後、中性子線を照射し細胞内で核反応を起こすことで、正常細胞への影響を抑えながら、がん細胞内で選択的に細胞障害を生じさせる。実臨床では国内6施設目、世界でも10施設目。有償の特定臨床研究として、サポートデスクを設置し3月から患者さんの登録を開始している。
(右から)後藤・医学物理士、澤木・主任部長、小林院長、柴部長、大村・主任部長
専用のCTを備えたBNCT治療室
治療に欠かせない中性子線を発生させる加速器
同院のBNCT装置は、一定の条件下で従来装置と比較し、中性子線の出力が約3倍という高出力型で国内では初導入。世界ではフィンランドのヘルシンキ大学病院のみが有する。BNCTの原理はこうだ。中性子線とホウ素が反応すると、殺細胞効果の高いアルファ線とリチウム粒子が放出される。これらは非常に短い距離しか飛ばず、がん細胞に集中的に効果を発揮する。原則1回の治療ですみ、通院などによる日常生活への負担を軽減。手術が難しい患者さんの治療の選択肢を広げると期待されている。保険適用は現在、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」。
同院は救急・急性期医療に加え、集学的ながん治療(手術、薬物、放射線)も積極的に推進し、2020年には地域がん診療連携拠点病院の指定を受けた。22年に県内初の陽子線治療を開始。BNCTは、がん医療強化のため従来と異なる治療のアプローチとして導入した。
特定臨床研究として実施する同院のBNCT治療は「画像検査により、がんにホウ素薬剤が集まりやすいことが確認された方」、「手術が困難」、「再発や局所進行により、従来の治療が適応しにくい」などの条件を満たした患者さんが対象。18歳以上で多発遠隔転移のないことも条件だが、全身の幅広い悪性腫瘍を対象とする方針。2年間で50症例を目安とし、有効性や安全性を検討していく。ただし、これに該当しない場合であっても相談に応ずるとしている。
同院は2月19日に記者会見を実施。海外からの参加者も見られ注目度の高さがうかがわれた。会見では小林修三院長が「手術困難な患者さんの治療選択肢をより一層拡充し、『地域がん診療連携拠点病院』として、地域のがん医療を担う総合病院である当院の使命を果たしていきたい」と強調した。
また、国際原子力機関(IAEA)により、放射線治療のアジアのハブ病院として認定されていることや、心臓病や腎臓病などの診療に強みをもち、重篤な合併症を抱え他の病院では受け入れが困難な患者さんも断らずに受け入れてきたことなどをBNCT導入の背景として説明した。
特定臨床研究の責任者を務める放射線腫瘍科の柴慎太郎BNCT担当部長は「より多くの患者さんを救うには保険適用の拡大が不可欠です。将来的な適用拡大を視野に入れ、BNCTの有効性・安全性を検証し、がん治療の新たな可能性を開いていきたい」と抱負を語った。
後藤紳一・医学物理士は「アルファ線とリチウム粒子は非常に強力な粒子線で、がん細胞の殺傷力が強いのが特徴です。高精度照射を可能にする治療室内へのCT(コンピュータ断層撮影)装置設置は国内初です」とアピール。
腫瘍内科の澤木明・主任部長は「今回の特定臨床研究では国籍や人種による制限はありません。つねに患者さんに寄り添い治療に取り組んでいきたい」、放射線腫瘍科の大村素子・主任部長は「患者さんの参考になる情報を継続的に提供していきたいです。ぜひ、お気軽にご相談ください」と呼びかけている。
(BNCTサポートデスク TEL:0467-46-9916[直通、平日午前9時~午後5時])