
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)12月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1522 1面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は11月14日、ベトナムの国立がん病院(K病院)、翌15日に国立バクマイ病院と医療分野や人材育成に関するMOU(覚書)を締結した。14日MOU締結前に開催された神奈川県とベトナム保健省とのヘルスケア政策会合に、湘南鎌倉病院の小林修三院長が県代表として出席。黒岩祐治知事の湘南鎌倉病院への高い評価や小林院長のプレゼンテーションがK病院、さらにはバクマイ病院を魅了し、今回の合意に至った。今後、両国医療機関の医療水準向上と人材交流が加速しそうだ。
小林院長(左)とK病院のレ・ヴァン・クアン院長
小林院長(左)と国立バクマイ病院のザップ副院長
小林院長は、「黒岩知事が当院を『県が最も信頼できる病院』と紹介してくださいました」と振り返り、この公的評価が同院の信頼性の高さをベトナム側に強く印象付けた格好だ。
小林院長はプレゼンで、自院の「弱者を置き去りにせず、先端医療を実施する」という基本理念に加え、心臓病や腎臓病といった重篤な合併症を抱え、他の病院では受け入れが困難な「がん難民」を断らない方針を取っていることなどを説明。また、同院が国際原子力機関(IAEA)からアジアでの放射線治療のハブ施設に指定された日本初の民間病院であることにも言及した。
同会合後、K病院とのMOU締結のみ行う予定だったが、小林院長のプレゼンを聞いたバクマイ病院のヴー・ヴァン・ザップ副院長(院長代理)からの要望により、急遽、同院とのMOU締結も決まった。
K病院はベトナムのがん医療を牽引する主要機関。湘南鎌倉病院の先端的かつ包括的ながん治療と、K病院の豊富な臨床経験を融合させることで、双方の医療の質向上と人材育成を推進する。さらに、両院の協力を通じて、ベトナム国内外の患者さんに新たな治療機会を提供し、人道的医療支援の拡大を目指す。
バクマイ病院は日本の政府開発援助(ODA)により建設され、「日越病院」とも呼ばれる日本と深い関係をもつ総合病院。ベトナム北部で最大規模を誇り、高度医療を支える中核病院としての役割を果たしている。
同院はMOU締結を通じて、がん患者さんの治療だけでなく、心疾患・移植・透析など複合的な医療ニーズにも対応するため、さまざまな診療科での連携を重視していく計画。湘南鎌倉病院の先端医療技術とバクマイ病院の総合的な臨床経験・教育力を融合させ、総合病院としての強みを最大限に生かした協力関係を推進する。
小林院長は「今回のMOUが目指すのは、一過性の患者さん受け入れ、いわゆる『医療インバウンド』とは一線を画した持続可能な国際協力モデルの構築です」と強調。「ベトナムの医師が自国の患者さんと共に来日し、治療に参加しながら最先端の技術を学ぶという形式を考えています」と提案。
医師が実践を通じて技術を習得し、帰国後の医療水準向上に貢献するという「人材育成」、患者さんが自国の主治医と共に湘南鎌倉病院で治療を受け、言語や文化の壁を越えた安心感を得るという「患者中心のケア」、そして技術と信頼を共有することで強固なパートナーシップを築く「持続可能な関係構築」――この3つの利点を同時に実現する考えだ。今後、より具体的に連携の開始時期や方法などを詰めていく。
一方、医療法人徳洲会は11月13日、ベトナムの最大手IT・通信企業のFPTコーポレーションと、病院の開設・運営支援などに関するMOUを締結。12月1~3日に、大橋壯樹・副理事長、中野康広・事務局長らが同国を訪れ、新病院の建設地や同社が手がける「ロンチャウ」という薬局チェーンなどを視察した。