徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)11月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1519 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演87
その息切れ COPDかも?

太田智裕・東京西徳洲会病院呼吸器内科部長 COPDの診断に欠かせない呼吸機能検査

COPDの代表的な症状は、身体を動かした時(労作時)に生じる息切れ(呼吸困難)です。mMRC質問票(表)という5段階のグレード分類がある簡便な世界共通の指標で息切れの程度を評価します。グレード1以上は受診をおすすめします。ただし患者さん自身で、この質問票をもとに正しい評価を行うのは難しいことも多いため、医療機関で問診による評価を行うことが望ましいです。

一番の原因は喫煙です。したがって最大の予防策は禁煙です。受動喫煙や大気汚染なども原因となります。

診断基準は、気管支拡張薬吸入後の呼吸機能検査(スパイロメトリー)で、FEV1/FVC(1秒率)が70%未満などの条件を満たした場合に確定診断となります。1秒率は、息を最大限に吸い込んだ後、最初の1秒間に吐き出せる空気の量を示し、それが努力性肺活量の70%未満であることを意味します。

加えて診断では、COPD以外の疾患を除外する必要があります。気管支喘息や気管支拡張症、肺線維症、心不全、肺がんなどでも息切れは生じるためです。胸部レントゲンや胸部CT(コンピュータ断層撮影)による精査を要します。

COPDは全身性の炎症性疾患でもあり、骨粗鬆症や糖尿病、心筋梗塞や狭心症といった心疾患、栄養障害、フレイル(心身の虚弱)、サルコペニア(骨格筋の減少)、うつ状態など合併症を引き起こすことが知られています。

また大きな特徴として、COPDは肺実質である肺胞の破壊をともなう進行性の肺疾患であり、一度発症すると、低下した肺機能は元に戻りません。重症化すると安静時にも息苦しさを感じるようになります。そのため治療の目的は、進行の抑制と症状の緩和です。治療は薬物療法と、非薬物療法の運動療法があります。

薬物療法(吸入薬)の第1選択は、気管支を拡張させる作用のある抗コリン薬で、症状に応じて吸入ステロイド薬なども用います。重度の低酸素血症を示す場合は在宅酸素療法を導入します。生命予後を左右するため、インフルエンザや肺炎球菌、RSウイルスといった感染症の重症化を予防するためのワクチン接種が推奨されています。

2001年の大規模な疫学調査で、40歳以上の日本人の有病率8.6%、患者数530万人と推定されました。早期発見・治療が重要ですので、不安な方は呼吸器内科のある医療機関の受診をおすすめします。

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