徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)11月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1519 2面

日比野・湘南大磯病院副院長
COVID-19臨床研究で成果
抗ウイルス薬の罹患後症状抑制を示唆

徳洲会グループは、経口抗ウイルス薬が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(Long COVID)の抑制に寄与する可能性を示す研究成果を発表した。これに先立ち研究代表医師である湘南大磯病院(神奈川県)の日比野真・副院長兼呼吸器内科部長が、ふたつの国際学会で新たに得られた臨床データについて報告した。

「研究成果を最大化するための努力を続けていく」と日比野副院長

今回の研究は徳洲会グループ51病院を基盤とする大規模前向き観察研究「ANCHOR試験」で、2024年2月1日から10月31日までに登録された約9,000例を対象に、急性期の抗ウイルス薬投与が罹患後症状発現に与える影響を検証したもの。

主要評価項目である罹患後症状発現率は、患者背景などで調整され、抗ウイルス薬非処方群で約25.1%、抗ウイルス薬群で約21.5%となり、投与により発現リスクが統計学的に有意に14%低減。とくに国産薬エンシトレルビル単剤でも同等の効果が確認され、後遺症抑制に寄与する可能性を裏付けた。同薬は海外製薬剤の約半額という経済性も備えており、治療選択の実効性を高める要素となる。

副次評価項目であるCOVID-19関連再受診の頻度では、抗ウイルス薬群全体では有意差が見られなかったものの、エンシトレルビル単剤に限れば有意に12%低減。これは急性期に適切な治療を施すことで、医療機関への再受診を抑制し、患者負担および医療提供側の業務負荷を軽減できる可能性を示すものだ。

日比野副院長は「急性期の抗ウイルス薬投与が後遺症発現抑制に寄与する可能性が示されたことは、実臨床に新たな視点を与える重要な成果となりました。今後は、集積された貴重なデータを適切に解析し、社会全体に有益な形で還元することが重要な責務となります」と、さらなる研究推進に意欲を示した。

国内外の学会で結果を発表

日比野副院長は同研究で得られた臨床データについて、主要評価項目の結果を9月17~20日にシンガポールで開催された8th ISRV-AVG Meeting and 3rd IMRPで報告。また、副次評価項目の結果を11月2~4日にタイで開催されたAPCCMI 2025で発表した。国内では11月28~30日に福岡県で開催される第95回日本感染症学会西日本地方会学術集会で報告を予定。

研究運営を支える未来医療研究センターの歌田直人社長は「症例を登録することにより、病院は研究費を受け取ることができます。これは病院経営にとってプラスの要素となっています」と力を込める。

同研究は期間延長が決定。60歳以上または基礎疾患を有するハイリスク患者さんを対象に、入院・死亡を含む重症化イベントの抑制効果を検証するため、26年4月までに1万1,000例の症例登録を目指す。

日比野副院長は「冬季流行期を見据え、重症化予防に関する実臨床データが得られれば、患者さんの意思決定や処方判断に影響を与える重要な根拠となります」と説明。「本研究は現在も進行中ですが、ここまでの取り組みは、日々、患者さんと向き合う現場の医師や看護師、薬剤師など多職種の医療従事者、そして研究参加に同意した患者さんとそのご家族の協力の賜物です」と謝意を表している。

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