
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)11月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1518 1面
「治療につながる研究を行い患者さんに還元したい」と林研究員
札幌東徳洲会病院医学研究所に所属する林隆介研究員(耳鼻咽喉科医師)の研究課題が、外部の研究助成の対象として相次いで採択された。「神経伝達物質がもたらす好酸球性副鼻腔炎の新規治療戦略」という研究課題で今年度の日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)「若手研究」部門で採択されたのに続き、同様のテーマで、秋山記念生命科学振興財団研究助成「奨励」と、ノーステック財団の若手研究人材育成事業にも選ばれた。これらは競争的研究費と呼ばれ、採択によって社会的意義の大きさを認められた格好だ。
好酸球性副鼻腔炎は、好酸球という白血球の一種が副鼻腔の粘膜や鼻茸(鼻ポリープ)の中に過剰に集積し、強い炎症を引き起こす疾患で、厚生労働省の指定難病のひとつ。重度の嗅覚障害や粘り気の強い鼻水が出るなどの症状が現れる。
「近年、生物学的製剤が登場し、国内では2020年にはじめて保険適用となりました。著効するのですが、薬剤費が高いのがネックです。そこで、安価で高い効果を期待できる治療法の開発に向けて研究に取り組んでいます」(林研究員)
着目したのが、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑える既存の抗コリン薬。気管支を拡張させ、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの症状改善に用いられている薬剤だ。
林研究員は21年から2年間、米メイヨー・クリニックに留学し、気道に生じたアレルギー性の炎症に対する抗コリン薬の効果を調べる研究を行い、効果を確認した。既存の抗コリン薬を他疾患の治療薬として開発するドラッグ・リポジショニング(創薬再開発)によって、安価に効果的な治療薬を患者さんに届けたいという思いがある。
「自分は臨床医ですので、患者さんに協力いただいて臨床検体を採取し、将来的に治療につながる研究を行うことを重視しています。効果を確認できたら、全身への影響が少ない局所治療を行うことができる点鼻薬として開発することを目指したい」と抱負を語っている。