
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)10月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1514 4面
八尾徳洲会総合病院(大阪府)は日本肝胆膵外科学会から「高度技能専門医修練施設B」に認定された。高難度と言われる肝臓、胆嚢・胆管、膵臓(肝胆膵)外科手術の安全な提供と、それらを適切に実施できる外科医の育成を目的に、同学会が設立した制度。認定区分にはAとBがあり、いずれも厳しい基準を満たさなければならない。同院は今回の認定をふまえ、質の高い外科医師の育成、さらに大阪府指定のがん診療拠点病院でもあることから、より専門性・安全性の高いがん診療の提供を目指す。
「認定の継続を目指します」と木村副院長
認定を喜ぶ肝臓外科の(左から)中多医師、藤井貴子部長、河島茉澄医長
高難度の肝胆膵外科手術をロボット支援手術でも行う

肝胆膵外科手術は、各臓器が密接しているため消化器外科手術のなかでも難易度が高いとされる。こうした難しい治療を安全かつ確実に行える外科医を育てるため、日本肝胆膵外科学会は2008 年に高度技能専門医制度を創設。肝胆膵領域で高い専門知識、倫理性、技能を備えた「肝胆膵外科高度技能専門医」(高度技能専門医)の育成を目的に、「肝胆膵外科高度技能指導医」(高度技能指導医)、「高度技能専門医修練施設」(修練施設)と3つの認定項目を設けている。
高度技能専門医の資格を取得するには、外科専門医、さらに消化器外科専門医資格を有していなければならない。そのうえで、修練施設で一定期間、高度技能指導医または高度技能専門医の指導的助手の下、同学会が定める高難度の肝胆膵外科手術の経験を積むなど、厳しい認定基準・申請資格を定めている。
修練施設にも認定基準が設けられ、まず日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設に認定され、かつ高度技能指導医あるいは高度技能専門医が1人以上(常勤)在籍している病院でなければならない。そのうえで日本肝胆膵外科学会が定める高難度の肝胆膵外科手術を年間50 例以上行っている施設は修練施設A、30 例以上行っている施設は修練施設B となる。手術に関する記録や術後合併症の有無、在院日数といったデータも提出し、審査をクリアすれば認定される。
八尾病院は、こうした基準を満たし6月1日付で修練施設Bに認定。松田康雄・肝臓外科顧問兼肝臓センター長を筆頭に30年以上前から肝胆膵領域の手術を手がけ、「実績は十分」(木村拓也・副院長兼肝臓外科部長)だったものの、基準で求められる資格をもった医師が不在のため、これまで申請を見送っていた。
木村副院長は「09年に私が入職し、松田先生ひとり体制から人員が増え、近隣の医療機関への徹底した挨拶回りと、徹底した診療情報提供などで、少しずつ高難度の症例が増えていきました。当時は認定基準が異なり、私が消化器外科専門医の資格をもっていれば修練施設になれたのですが、取得するタイミングで現行の認定基準に変更。今度は高度技能指導医や高度技能専門医をもつ常勤医が不在となり、忸怩たる思いがありました」と吐露する。
事務職を含め、他職種も巻き込みながら求める医師を探すなか、ようやく昨年9月に高度技能専門医資格をもつ中多靖幸・肝臓外科医師が入職。今年度に入って修練施設Bに申請、認定された。認定期間は30 年5 月31 日まで。
「認定され、ほっとしたというのが正直な気持ちです」と木村副院長。「肝胆膵外科手術を望んでも、環境などが原因で希望がかなわない医師もいると思うので、そうした方々の受け皿になれたら」と期待を寄せる。自院が大阪府がん診療拠点病院に指定されていることから、修練施設の認定が、より一層専門性と安全性の高いがん医療提供につながることも見込んでいる。
中多医師も認定を受けたことを「大変感慨深く感じています」と吐露。続けて「同時に、今後は当院から次世代を担う肝胆膵高度技能専門医がひとりでも多く誕生し、より安全で根治性の高い手術が患者さんに提供できるようになることを切に願います。当院肝臓外科の発展を温かく見守っていただけると、うれしいです」と力を込める。
木村副院長は今後、肝臓外科の体制拡充に意欲的。外科専攻医が年に複数入職している最近の状況を挙げ、確保につなげたい考えだ。「当院の専門研修プログラム上、食道も肝胆膵も同じ期間に回ります。腹腔鏡はもちろん、開腹手術、血管吻合、細い動脈の結紮など、さまざまな技術が求められるので、ぜひ興味をもってもらいたいです」。
現有戦力の維持にも努め、医師ひとりにかかる負担を軽減。肝胆膵の手術後はICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)に患者さんを移し、集中治療科の医師が診るシステムを構築した。
木村副院長は「体制を整えつつ、できるだけ認定を継続していきたい」と意気込む。徳洲会グループでは同院を含め6病院が修練施設に認定されている。