
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)10月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1514 3面
日本アカデミック・ディテーリング研究会第4回学術大会が9月14日、千葉県内で開催され、千葉西総合病院の出雲貴文・薬剤部長が大会長を務めた。同院薬剤部が大会事務局を担い、同院の薬剤師を中心に多数の徳洲会職員が大会運営を支えた。全国から80人の薬剤師が会場に参集、さらにオンラインで50人が参加し、「基礎と実践の融合~臨床の成果へ~」をテーマに知見の共有を図った。
ADの活発な実践を呼びかける出雲・薬剤部長
アウトカムを出すことの重要性を強調する小茂田顧問
AD実践例をテーマとするシンポジウム
アカデミック・ディテーリング(AD)は「コマーシャルベースではない基礎と臨床のエビデンス(科学的根拠)をもとに、公正中立な医薬品比較情報を医師に提供し、有効性・安全性・費用対効果を考慮した適切な臨床上の判断が行えるよう、訓練を受けた薬剤師による処方支援活動」を指す。
2021年に発足した日本アカデミック・ディテーリング研究会(代表理事:小茂田昌代・千葉西病院薬剤部顧問)は、ADを実践するアカデミック・ディテーラーの養成研修を開催するなど普及に向けた活動を展開。
小茂田顧問の開会挨拶に続き、出雲・薬剤部長が大会テーマでもある「基礎と実践の融合~臨床の成果へ~」と題して大会長講演を実施。学術大会実行委員長の長澤宏之・セコム医療システム運営監理部担当部長(薬剤師)が座長を務めた。出雲・薬剤部長は人口構造の変化で増加を続ける国民医療費や、医療機関の経営悪化など厳しい社会情勢に言及。そのうえで「ADは従来の処方慣行による薬剤選択という状況を改善し、これらの課題に対する論理的かつ実践的な取り組みです」と強調。
現在、薬剤師による処方提案は、一部の診療報酬で評価され、タスクシフト・シェア(業務移管・共同化)でも認められている。千葉西病院の便秘薬や抗アレルギー薬に関するADの取り組みなどを紹介し、「ADは薬剤師が自信をもって処方提案を行う根拠になります」と積極的な活動を促した。
続いて、小茂田顧問が「Patient Care-Ordersとは」をテーマに代表理事講演を実施。Patient Care-Ordersは、ADの実践にともない、薬剤師がその後のフォローアップとして多職種に対して行うモニタリング指示のこと。
「具体的なモニタリング計画を提示し収集したデータをもとに評価、必要に応じて薬物治療を見直します。ADに不可欠の活動です」と力を込め、アウトカム(結果)を出していくことの重要性を強調し発表を終えた。
「National Resource Center for Academic Detailing [NaRCAD]報告」をテーマとするシンポジウムでは、24年のNaRCAD世界カンファレンスに参加した小茂田顧問、千葉西病院の間宮桐子薬剤師、魚住春歌薬剤師らが、現地で得た知見を報告。NaRCADはADに関する米国唯一の全国的な技術支援・能力開発センター。小茂田顧問は、処方の質を改善するためにAD創始者のジェリー・エイボン博士が提唱する「介入型薬剤疫学」の概念を紹介した。
また、千葉西病院の香取哲哉・化学療法担当薬局長と河本怜史薬剤師が、「新薬導入時のADの活用『Elranatamabの症例を交えて』」をテーマとするシンポジウムに登壇。多発性骨髄腫の治療薬Elranatamabに関するADの取り組みを発表した。
また、複数の病院からADの実践報告があった。特別講演として名戸ヶ谷病院整形外科の川口浩顧問が「骨粗鬆症の薬物療法」について発表を行った。次期大会長を務める東京理科大学薬学部の西川元也教授の閉会挨拶で、盛況裏に終了した。
終了後、出雲・薬剤部長は「ADは実践段階に来ているため、現場での活用例の発表を多く盛り込みました。多くの方々と共有でき、学びの多い充実した大会になりました」と振り返り、小茂田顧問は「患者さんへの良いアウトカムを出すために、『介入型薬剤疫学』のノウハウを全国のアカデミック・ディテーラーとともに確立していきたい」と抱負を語った。