徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)10月06日 月曜日 徳洲新聞 NO.1512 3面

山本・神戸大学大学院客員教授
未来医療が革新的に飛躍
匠の暗黙知とAIを越境共創

9月度 徳洲会グループ 医療経営戦略セミ
徳洲会グループ医療経営戦略セミナーの2日目、山本晋也・神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科先端医療・製薬学分野バイオロジクス探索研究室客員教授が「匠の暗黙知と越境共創で切り拓く! AI時代の医療の未来」と題し講演した。

「人間は人間にしかできないことをやらなくてはいけない時代」と山本・客員教授

講演では、AI(人工知能)の指数関数的進化を前提に、医療現場の“匠”がもつ暗黙知を価値に変える視点から、医療変革のロードマップを示した。

AI技術は2024年後半から線形成長を脱し、指数関数的な飛躍期へと移行。たとえば「OpenAI o1」の出現は、従来の期待を超える進化を見せ、「このスピードは知的労働や業務プロセスを再定義せざるを得ない状況を生んでいます」と指摘した。

さらに、博士論文用の解析プログラムをAIが1時間で生成した事例などを提示。「アート、クリエイティブ、プロデュース、ディレクションなど、人間は人間にしかできないことをやらなくてはいけない時代に向かっています」と力を込めた。

一方、医療現場では医師やコメディカル、事務職員など、各専門家がもつ経験、肌感覚、直感といった言語化しにくい知見こそが、AIを真に活用するための鍵になると強調。「とんでもない価値を生み出す暗黙知を、皆さん一人ひとりがもっています」と語気を強め、AIはこれらの暗黙知を形式知化し、組織全体の能力を向上させるための強力な触媒となる可能性があることを説明した。

また、文書作成業務はAIにより効率化、あるいは自動化が進むという展望を示し、臨床試験プロトコル(計画書)や申請書作成の事例を紹介。臨床試験分野では、従来CRO(開発業務受託機関)が担ってきた業務がAIによって代替され、価値の中心がSMO(治験施設支援機関)や医療機関へ移る可能性があると予測した。

病院経営では、院内データ統合とAI分析により「経営のフライトシミュレーター」的な運営が可能になる将来像を提示。これを導入する医療機関と従来型との間で経営効率の格差が拡大すると警鐘を鳴らした。

最後に、①ハードウェア(医療機器)への投資拡大、②医療機関発スタートアップ構想、③現場発事例をグローバルへ発信すること──の3点を未来戦略として提案。AI時代に医療現場の“匠”は、その存在意義を再定義されつつあり、これを基軸に新たな医療価値創造を目指す時代が到来しつつあると締めくくった。

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