
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)10月06日 月曜日 徳洲新聞 NO.1512 1面
千葉西総合病院と湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は、国内で7月に販売開始された最新鋭の手術支援ロボット「ダヴィンチ5」を導入した。最初に導入した施設は全国に7施設あり、そのうち2施設が両院だ。両院とも7月22日に1例目の手術を施行。千葉西病院はダヴィンチ5による国内初の心臓手術、湘南鎌倉病院は国内初の胃がんに対する手術を行い、それぞれ奏功した。また同院は8月26日、国内初となるロボット支援下同種生体腎移植をダヴィンチ5で施行。徳洲会グループの手術支援ロボット導入施設は9月末時点で27病院・計34台に上る(表)。
「“選ばれる心臓手術センター”の地位を確立していきたい」と中村副院長
「安全で質の高いロボット手術を提供」と細田部長
千葉西病院は国内最初期のダヴィンチ5導入施設として、東日本で唯一の心臓手術実施施設
ダヴィンチ5は従来のダヴィンチXiからの変更点として、フォースフィードバック機能が新たに備わった。これは、鉗子の先端から手術部位にかかる圧力を検知し、術者の手元に伝える機能。“触覚”を再現することで、より精緻で安全な手術操作が期待できる。
千葉西病院は、ロボット手術を含むMICS(低侵襲心臓手術)に積極的に取り組んでいる心臓血管外科が、ダヴィンチ5を活用。1例目の心臓手術を執刀したのは中村喜次・副院長兼心臓血管外科主任部長で、50代男性の僧帽弁形成術を7月22日に行った。翌23日には70代男性に対する大動脈弁置換術を実施。同院はこれまでダヴィンチXiを2台運用、今回の導入でロボット3台体制に拡充された。
中村副院長は「患者さんに対して、質の高い、より良い低侵襲医療をいち早く提供するという目的に加え、当院では心臓血管外科、外科、泌尿器科、産婦人科の各科でロボット手術に取り組んでおり、手術の増加に対応するため、ダヴィンチを3台体制に強化する必要がありました」と説明する。
同院が2024年に実施した心臓血管外科の総手術件数は715件。うち150件ほどがロボット手術だ。主な対象は僧帽弁形成術や三尖弁形成術、大動脈弁置換術、冠動脈バイパス術(グラフト採取に利用)。この150件という数字は世界で12番目、国内では2番目に多いという。同院では適応に合致すればロボット支援下のMICSを選択し、可能な限り低侵襲手術を選択する方針を取っている。
「当院はMICSやロボット心臓手術に早い段階から取り組んできました。今後も、より良い選択肢を提供できるよう尽力し、“選ばれる心臓手術センター”の地位を確立していきたい」(中村副院長)
ロボット支援下心臓手術を行うには、ロボット心臓手術関連学会協議会の認定施設となる必要がある。全国で43施設と少なく、徳洲会では千葉西病院と名古屋徳洲会総合病院が認定。徳洲会心臓血管外科部会の部会長を務める中村副院長は、心臓手術が多い施設を中心にグループ病院の認定取得を推進する方針だ。
ダヴィンチ5による国内初の胃がん手術を実施(湘南鎌倉病院)
ペイシェントカートやサージョンコンソール(操作台)などで構成するダヴィンチ5
湘南鎌倉病院でダヴィンチ5を用い1例目の胃がん手術を執刀したのは、細田桂・上部消化管外科部長兼ロボット手術センター長。患者さんは80代女性、出血量は80mlと少量で、手術は奏功した。1例目以降も胃・食道がんの手術でダヴィンチ5を活用し、順調に症例を重ねている。
ダヴィンチ5の特徴について、細田部長はフォースフィードバック機能に言及。「たとえば胃全摘術では再建術として食道空腸吻合という手技を行いますが、とくに食道は伸縮性が乏しく組織が脆弱であるため、力加減が難しい臓器です。術者は触覚で組織にかかる力を把握できるため、食道組織を扱う手術では、とりわけ安全性向上に有用と感じます」と指摘する。
同院は従来以上に術後回復の早期化や安全性の向上などを追求するため、ダヴィンチ5を導入。ダヴィンチXiとの2台体制となった。同科以外では泌尿器科や呼吸器外科、肝胆膵外科でダヴィンチ5を用いている。
「標準治療の提供が第一ですが、ご高齢の患者さんなどで標準治療が耐えられない方々もおられますので、そのような場合には、患者さんの体力や、治療への希望を丁寧に聞きながら、最適な治療計画をご提案しています。これからも安全で質の高いロボット手術の提供に努めていきたい」と、細田部長は地域医療への貢献に意欲を見せる。