
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)09月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1508 3面
手指衛生をイメージしたポーズで集合写真を撮影(関西・大阪ブロック)
手指衛生をイメージしたポーズで集合写真を撮影(北・南関東ブロック)
「学んだことを現場にフィードバックしてください」と佐藤部会長
グループワークで動画内の手指衛生について話し合う参加者。観察フォームにマグネットでチェックし発表
手指衛生は、医療現場で感染症の拡大を防ぐために、医療従事者がアルコール手指消毒剤などで手指を清潔に保つ行為。感染対策の基本と言われ、日々、各現場で順守の改善に努めている。手指衛生の順守については、WHOが、改善するための多角的な戦略を2009年に発表し(WHO手指衛生多角的戦略)、近年、それをベースとしたプログラムを世界各国が導入、成果を挙げていることが報告されている。
日本でも20年以降、日本環境感染学会がWHO手指衛生多角的戦略を普及させるための指導者養成セミナー(TTT-Japan)を主催。同セミナーの教材に準拠する形で、徳洲会感染管理部会はセミナーを企画した。
関西・大阪ブロックは8月9日に宇治徳洲会病院(京都府)、北・南関東ブロックは同23日に一般社団法人徳洲会(社徳)東京本部で開催。今回はWHO手指衛生多角的戦略のひとつ、“手指衛生5つの瞬間”と“手指衛生遵守率を測定するための直接観察法”をテーマとした。
社徳医療安全・感染管理部の藤澤律子次長が挨拶した後、副部会長(業務担当)の江口比呂美・宇治徳洲会病院(京都府)感染防止対策室看護師長が講義。手指衛生5つの瞬間(患者さんに触れる前、清潔/無菌操作の前、体液曝露リスクの後、患者さんに触れた後、患者さんの周囲環境に触れた後)や直接観察法について理由や目的、患者さんのゾーンと医療エリアの概念、直接観察での記載方法、手指衛生遵守率の算出方法などを解説した。
そのうえで直接観察のシミュレーションを実施。参加者はグループに分かれ、さまざまな臨床現場を再現した動画で直接観察フォームに手指衛生の実施を記録、各グループで発表した。自院のHHSAF評価(手指衛生の推進と実践状況を分析するツール)をふまえ、継続した観察者の教育をテーマとしたディスカッションも行った。
セミナーの最初と最後に簡単なテストを行い、参加者の習熟度を測定した。
最後に、部会長の佐藤守彦・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)感染対策室部長が挨拶。「手指衛生の奥深さを実感したことと思います。今回学んだことを自施設にもち帰り、現場の職員にフィードバックしてください」と呼びかけた。
参加した羽生総合病院(埼玉県)の鈴木寛・看護主任は「当院のできていない部分を感じました。各施設で評価の視点にバラつきが見られましたが、今日のセミナーで、ある程度標準化されたように思います。また学ぶ機会があれば、ぜひ参加したいです」と振り返った。
セミナーを企画した江口・看護師長は「手指衛生は永遠の課題とも言われ、自施設のどこに伸びしろがあるかを現場スタッフにきちんと伝えられるかが大事」と強調。「観察者の教育は課題だったので、改善するための第一歩という意味では今回開催できたことは大きいと思います。今後、継続していくためにも、ブロック単位での展開が不可欠ですが、今回、ファシリテーターとして他のブロックから参加した人がいるので、その足がかりになったと思います。セミナーを振り返り、より良いものにしていきたいです」と意気込んでいる。