
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)09月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1508 2面

破傷風は、土の中や錆びた釘、木片などに潜んでいる菌が、傷口から体に入って起こる疾患。人から人への感染はない。体内に入ると毒素を出し、神経に作用して筋肉を硬直させる。初期は口が開きにくい、首や肩が凝るといった症状が現れ、進行すると全身の筋肉がこわばって痙攣が起こり、背中が弓なりに反り返ることも。
「重症化すると呼吸が止まり、命にかかわることもあります」と松原徳洲会病院(大阪府)の白坂渉・救急科部長。とくにリスクが高いのは、錆びた釘などを踏んだり、土や泥で傷口が汚れたり、動物や人にかまれたり、ガラスや木片で深く切ったり、広範な火傷や壊死をともなうけがを負ったりした時だ。
白坂部長は「破傷風は、まず予防が大切」と訴え、破傷風ワクチン「破傷風トキソイド」を推奨。ワクチンは菌の毒素を弱めたもので、抗体をつくらせる働きがある。子どもの頃に定期接種するが、その効果は10年ほどで弱まるため、成人後も10年ごとに追加接種が望まれる。
救急外来では、汚れた傷や深い刺し傷で受診した場合、「最後にワクチンを打ってから10年以上経っていたり、接種歴がわからなかったりしたらワクチンを接種します」と白坂部長。さらに、激しく汚れた傷は「破傷風免疫グロブリン」という即効性のある薬を併用することもある。「早期対応が重症化を防ぐ一番の道。けがをした時はワクチン接種歴を必ず医師に伝えてください」と呼びかけている。