
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)08月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1504 3面
第30回日本緩和医療学会学術大会が7月4日間から2日間、福岡県で開かれた。テーマは「緩和医療~生老病死を慈しむ~」。徳洲会グループは8演題を発表し、松原徳洲会病院(大阪府)の藤村千紗・管理栄養士が優秀演題賞を受賞した。同院の発表を中心に紹介する。
優秀演題賞の受賞を喜ぶ松原病院の緩和ケアチームメンバー(右から亀井副部長、平田部長、藤村・管理栄養士)
松原病院は緩和ケアチームの3人が演題を発表。藤村千紗・管理栄養士は「進行がん患者の『食に関する苦悩』への全人的アプローチ:管理栄養士の役割とその効果」がテーマ。
2024年4月から8月の間に入院した消化器がん患者さん34人(平均年齢77歳)を対象に「食に関する苦悩」を評価した。評価は、苦悩の度合いを示すツール(0~4の5段階)を用いて入院3日以内に行い、スコア1以上の方に食事を含む“全人的な視点”から聞き取りや対応を試みた。介入後3~7日以内に再評価し、「苦悩の種類」、「対応内容」、「介入前後の評価スコアの変化」を検証した。
その結果、苦悩の内容は食欲不振や吐き気といった消化器症状、あるいは精神面や経済面などからくる不安などが見られ、食事の見直しや多職種への情報共有など、個々の苦悩にあわせて多様な対応を試みたところ、食に関する苦悩が改善した。
藤村・管理栄養士は具体例も示しながら、とくに①傾聴、②多職種での情報共有、③個別食対応――の3点が効果的だったことを指摘。管理栄養士は食事面だけでなく、全人的なかかわりに留意して介入する大切さを強調した。
優秀演題賞の受賞に「他の学会も含め、賞をいただいたのは今回が初。驚きました」と藤村・管理栄養士。「食事以外に困っていることを聞き、多職種につなげる活動は今までも実践していましたが、今回の検証で意味があることとわかり、自信になりました。部署内で広めていきたいです」と笑顔を見せた。
平田裕久・外科部長は「緩和的動脈塞栓術により早期に疼痛緩和できた肝内胆管癌左腸骨転移の1例」と題し発表。左腸骨に転移したがんに対してTAE(動脈塞栓術)を試行し、早期に疼痛緩和が得られた1例を報告。骨転移に対する疼痛緩和の標準治療は放射線治療だが、放射線治療が困難または不適応のケースでは、TAEが有用な選択肢となる可能性を示唆、さらなる症例の蓄積を望んだ。
亀井大二郎・麻酔科副部長は「難治性の癌性疼痛に対して架橋的硬膜外鎮痛法と腹腔神経叢ブロックが有効であった1例」と題し、症例を報告。子宮体がんのリンパ節転移による難治性の心窩部痛に対して硬膜外鎮痛法を先行して実施し、その後、腹腔神経叢ブロックを施行することで良好な鎮痛を実現したケースについて説明した。
「難治性のがん性疼痛に対して複数の鎮痛法を最適なタイミングで行うことが、患者さんのQOL(生活の質)向上につながったと考えられます」と締めくくった。
その他の発表は次のとおり。▼梶原陽子・札幌南徳洲会病院看護責任者「A病院障害者病棟における認知症の緩和ケア〜ELNEC-Jを基盤にカンフォータブル・ケアを実践した1事例~」、▼平井慎理・札幌南病院緩和ケア内科医師「保存的治療の難しい出血に対して、低侵襲である放射線照射やIVR治療を行った8名の患者の検討」、▼山崎美惠・緩和ケア訪問看護ステーション札幌所長「がんになった親の子どもに対するサポートプログラムCLIMB®の開催報告 〜『北海道CLIMB』発足を通して」、▼馬場美華・吹田徳洲会病院(大阪府)緩和医療科部長「上気道狭窄による苦痛緩和目的に開始した持続的深い鎮静を中止することができた一症例」、▼河野優・中部徳洲会病院(沖縄県)疼痛治療科医師「皮下埋め込みくも膜下ポートを造設して疼痛管理を行った患者の在宅医療移行に関する臨床的考察」
共催セミナーで中部徳洲会病院の服部政治・疼痛治療科統括部長が「がん疼痛治療におけるメサペインと神経ブロック」をテーマに講演した。