
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)06月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1496 3面
第32回日本アフェレシス学会関東甲信越地方会が5月10日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で開催され、同院の日髙寿美・腎臓病総合医療センター長が大会長を務めた。テーマは「アフェレシス医療 いざ、患者と共に未来へ!」。
「アフェレシス治療の垣根を取り払いたい」と日髙センター長
自身のクラシック音楽の楽しみ方を披露する小林院長
大竹副院長は湘南鎌倉病院のレオカーナの治療成績を評価
第1会場は主に講演やワークショップなど実施
アフェレシス治療は、疾患の成り立ちや進展に大きくかかわる抗体などタンパク成分や血球成分などを、選択的に血液から取り除く治療法。非常に有益だが、対象患者さんが必ずしも多くないため、日常の臨床で頻繁に行われる治療法ではない。しかし、近年では、その適応疾患が拡大しており、多くの患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献している。
学会は4つの会場で開催。第1会場は講演やワークショップなどを行い、つねに100人ほどの参加者が聴講。第2会場は一般演題と技術講習会、第3・第4会場は企業展示など。
会の冒頭、日髙センター長が挨拶に立ち、「アフェレシス治療は、やり慣れている病院ではよく行われますが、そうでない病院ではまったくやらないといった感じで、差が大きいと思います。今大会をとおし、そうした垣根を取り払うことができればと思います」。
続けて「私は腎臓が専門ですが、さまざまな疾患への活用を学べるシンポジウムも考えています。アフェレシス治療は奏功する人と、なかなか効果が出ない人がおり、その違いがわかれば、より適応を決めやすくなります。活発な交流や討論をしていただき、少しでも今大会が有意義なものになれば良いと思います」と呼びかけた。
大会長講演は「湘南鎌倉総合病院における腎移植治療~あらたに見えてきた脳心腎連関~」がテーマ。同院は2012年12月に第1例の腎移植手術をしてから、25年3月まで251例を実施。17年から腎臓内科が中心となり、腎移植希望時の初回外来から術前の血漿交換療法を含めた脱感作療法、術後の外来診療まで幅広く行っている。
心機能との関連に言及。移植前に左室収縮能低下があっても、患者さんが周術期を乗り越えられるなら、腎移植により心機能改善が得られる可能性があると示唆した。また、腎移植は脳血流の正常化にも寄与。とくに前頭葉領域で安定した効果を示し、脳血流の改善は、慢性腎臓病の従来の危険因子による修飾を受けにくいと強調した。今後、認知機能改善と左室心筋リモデリング改善が関連する可能性を調べていく方針を示した。
スイーツセミナーでは、同院の小林修三院長が登壇し、「クラシック音楽 作曲家の病と音楽~モーツァルト・ベートーベン~」と題し講演。二大作曲家の最期を「症例検討」の形で示し、鑑別診断や治療方針を再考、そのうえで、モーツァルトやベートーベンが晩年に作曲した音楽を流し、当時の二大作曲家を突き動かした思いにも触れた。
最後に「クラシック音楽家の病を、現代に生きるわれわれが見直すことで、彼らの名作を聴いた時、その心情の一端と音楽自体を知ることができるのも楽しみ。これが私のクラシック音楽の楽しみ方にひとつです」とまとめて、会場を沸かせた。
ワークショップでは、同院の大竹剛靖・副院長兼再生医療科部長が「透析患者CLTIへのレオカーナ~創傷治癒と生命予後のリアル~」と題し講演。透析患者さんの包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)は、複合した病態により、血管内皮細胞障害と血管石灰化からなる動脈不全を呈する。CLTIを克服するためには、血行再建治療とともに、末梢微小循環障害を改善させる治療戦略が重要になると指摘した。
20年8月以降、レオカーナ(直流灌流型吸着器)を用いてLDLアフェレシス療法が簡便に施行できるようになった。そこで、同院でレオカーナを用いて治療したCLTI血液透析患者さんを対象に、創傷治癒率、大切断率、切断回避生存率などを検討し、レオカーナの治療成績を評価。「レオカーナにより、一定の創傷改善効果は認められますが、非切断生存率や死亡率への効果は明らかではありません」と今後、検証の必要性を訴えた。
一般演題では、同院の沢目一駿・臨床工学技士が「包括的高度慢性下肢虚血患者に対してバスキュラーアクセスに末梢静脈を使用したレオカーナ施行の1例」と題し発表。CLTI患者さんに対し、バスキュラーアクセス(血液透析を行う際の患者側の血管アクセス口)に末梢静脈を使用したレオカーナを施行した結果、低血流量であってもCLTI改善に有効だったと報告した。このほか、徳洲会外からも多くの発表があり、会場は盛り上がっていた。
日髙センター長は今回の地方会を開催するにあたり、「後藤順子・院長秘書をはじめ事務職員のサポートの力が大きかったです。外部から参加された先生方から、当院のチーム力をたたえるコメントが多く寄せられ、誇りに思います」と総括した。