徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)05月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1493 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演84
更年期は周囲が理解を

今回のテーマは「更年期障害」。女性のライフステージは思春期、性成熟期、更年期、老年期の4つに分けられます(図)。なかでも更年期は閉経をはさんだ約10年間(おおよそ45〜55歳)に当たる時期で、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで、心身にさまざまな不調が現れます。これらの症状が日常生活に支障を来すほどになると、更年期障害と診断されます。白根徳洲会病院(山梨県)の奥野鈴鹿・婦人科医長が解説します。

白根徳洲会病院(山梨県) 奥野鈴鹿・婦人科医長

更年期障害の主な症状は、ほてりや発汗(ホットフラッシュ)、動悸、頭痛、めまい、肩こり、不眠、気分の落ち込み、イライラ、集中力の低下など多岐にわたります。その現れ方や重さには個人差があり、ほとんど不調を感じない人もいれば、日常生活や仕事に支障を来すほど重い人もいます。

この「個人差」が、周囲の理解を難しくさせる要因のひとつです。とくに職場や家庭では、「更年期は誰にでもある」、「甘えているのでは」といった誤解を受けやすく、つらさを打ち明けられない人も多くいます。そのため、症状を抱えながら無理を続け、さらに心身の状態を悪化させてしまうケースも少なくありません。更年期障害は目に見えない不調が多いため、周囲の無理解が本人の孤立感やストレスを強めます。

さらに注意が必要なのは、更年期障害に似た症状のなかに、他の病気が隠れていることがある点です。たとえば動悸や不安感は、心臓病や甲状腺疾患(バセドウ病など)のサインである可能性があり、慢性的な疲労や抑うつ状態は、うつ病や甲状腺機能低下症などとも関連します。また、骨密度の低下によって骨粗しょう症が進行する時期でもあります。「年齢のせい」と決めつけず、まずは婦人科を受診し、客観的な評価を受けることが大切です。そのうえで、対応する診療科につなげていきます。

更年期障害の治療には、いくつかの選択肢があります。代表的なのは「ホルモン補充療法(HRT)」で、減少したエストロゲンを薬で補う治療法です。さまざまな投与方法がありますが、近年、経皮吸収剤(皮膚から薬剤を吸収させる方法)が注目されています。肝臓を通過せず全身に薬剤が届くため、内服薬に比べて肝機能への負担が少なく、血栓症のリスクが低減されます。また、胃腸への負担もないため、消化器系の副作用も比較的少ないのが特徴です。ただし、HRTは乳がんや血栓症のリスクが残っているため、医師と慎重に相談したうえで行う必要があります。

他にはプラセンタ注射があります。これは胎盤から抽出された有効成分で、細胞の再生促進、免疫力向上、自律神経の安定など作用があります。HRTが使えない方や、より穏やかな治療を望む方に有効な選択肢となります。症状が重い時期に、1回1アンプルを週2~3回打つのが一般的ですが、治療サイクルは患者さんの希望に合わせて決めていきます。

薬物療法に加えて、日常生活の見直しも効果的です。栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスとの付き合い方を整えることで、症状を和らげることができます。また、自分の症状や気持ちを言葉にして、ご家族や同僚と共有することも重要です。

更年期はひとつの節目であり、自分の身体や生き方を見直す機会となります。不調を我慢せず、医療の力を借りながら、自分のペースで心身を整えることが大切です。周囲の理解を得ながら、より健やかな未来へと歩んでいきましょう。

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