徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)04月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1489 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演83
乾燥肌は春にも注意

今回のテーマは「乾燥肌」。冬だけでなく、1年をとおして悩まされる問題です。とくに春は昼夜の寒暖差が激しく、紫外線が多くなる季節。皮膚のバリア機能が落ち、乾燥肌になりやすくなります。乾燥肌は皮膚に潤いがなくなり、カサカサしたり突っ張ったりした状態。悪化すると皮脂欠乏性湿疹など病気を発症し、治療が必要になります。乾燥肌の予防について、札幌東徳洲会病院の堀切由佳・看護主任(皮膚・排泄ケア認定看護師)が解説します。

乾燥肌は皮脂の分泌量や肌の水分量が減少することで生じます。皮膚の外側にある皮脂膜は紫外線や熱に弱く、このバリア機能が落ちると、内側の水分が蒸散しやすくなります。加齢も原因のひとつで、皮脂量や水分量の減少に加え、ターンオーバー(新しい肌と古い肌の入れ替わり)の周期が長くなることで、乾燥肌を引き起こしやすくなります。

体の部位では、皮脂量の少ない目や口のまわり、頰、ひじ、ひざ、すね、足の裏などが乾燥しやすい傾向にあります。乾燥肌になると、かゆみを生じますが、これは繰り返し刺激を受けることで、かゆみを感じる神経が伸びてくるから。かくと余計にかゆくなるのも、そのためです。

乾燥肌を予防するには、まず室内環境を適温・適湿にすることが大切。肌に良い湿度は60~65%になります。また、エアコンの風を直接当てないこと、室内外の寒暖差を大きくしないことも重要です。

次に入浴方法では、お湯は38~40度、時間は30分以内が良いでしょう。そして、洗浄剤はよく泡立ててから洗うのがおすすめです。アルカリ性せっけんは汚れがよく落ちますが、皮膚に対し刺激性があるので、弱酸性のものがおすすめです。また、ベビー用せっけんは肌に優しいと勘違いしている方も多いですが、洗浄力が強く、大人が使うと肌の乾燥を招くこともあるので要注意です。

入浴後は急激に肌が乾燥し、約20分で水分量が入浴前の半分になります。水分の蒸散を防ぐため、なるべく15分以内に保湿剤を塗りましょう。保湿剤は、しわに沿って塗ることで、肌に浸透しやすくなります(イラスト参照)。保湿剤は少し多めの量で、少なくとも1日に2回以上塗ることで効果を発揮します。

保湿剤に含まれる添加物(防腐剤、殺菌剤、界面活性剤など)で皮膚炎を起こすこともあります。軟膏やクリームを使用中に、かぶれなどが生じた場合、すぐに中止して皮膚科を受診しましょう。その際、使用した保湿剤を持参すると良いです。

生活習慣から予防することも大事です。睡眠不足が続くと、皮膚細胞の代謝が悪くなります。他に適度な運動を行い、血行を良くして新陳代謝を高めること、刺激の強い飲酒や香辛料を控え、バランスの良い食事を取ることなどを心がけましょう。

ただの乾燥肌ではなく、治療が必要な病気であることもあります。皮脂欠乏症(乾皮症)は、肌の乾燥と角質のはがれから始まり、進行すると亀の甲羅のように皮膚がひび割れ、赤みが生じ、かゆみが強くなります。

さらに重症化すると、皮脂欠乏性湿疹となり、夜中に目が覚めるほどのかゆみが生じます。粉をふいたようなカサカサな状態、肌の亀裂、かき壊したような跡などが特徴的です。このような場合は、皮膚科を受診し、しっかりと治療を受けるようにしてください。

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