
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)04月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1489 3面
第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)が3月6日から3日間、神戸市で開催された。「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」(患者さんにとって実際に有益である精密な腫瘍学)をテーマに、がん治療に携わる多数の医療従事者が全国から参集し、日頃の診療や研究活動の成果などを発表、知見の共有を図り研鑽を積んだ。徳洲会グループからも徳洲会リアルワールドデータ(TREAD)研究の成果など、13演題を発表した。
消化管がんに合併するMACEをテーマに発表する下山副院長
瓜生副院長は肺がんのEGFR-TKI治療を検討
オシメルチニブのOS改善効果を発表する日比野部長
和田医師は2次治療としての白金製剤+ペメトレキセドを検討
徳洲会グループは、ミニオーラル(口演)のセッションで5演題、ポスターセッションで8演題を発表。ミニオーラルの概要を紹介する。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の下山ライ副院長兼外科部長(5月1日から、さいたま記念病院副院長)は「転移性消化管癌における主要心血管イベントの頻度および予後の解析: 徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクト(TREAD07)」をテーマに発表。がん患者さんは血栓症の発症リスクが高いことが知られているが、血栓症以外の循環器疾患を合併する患者さんが増えていることから、急性心筋梗塞や脳卒中、心血管死、不安定狭心症、心不全など主要心血管イベント(MACE)にも着目した研究に取り組んだ。
対象となる転移性消化管がんの患者さん約6,600人分の症例を調べたところ、MACEの既往歴がある患者さん(約450人)のほうが、既往歴のない患者さん(約6,150人)と比べ、入院を必要とする新たなMACEの発症率が高いことがわかった。
下山副院長は「われわれの研究では日本人のMACE発症率は2.9%で、脳卒中と心不全が多く見られました。また、MACEの既往歴のある患者さんは、さらなる心血管イベントを発症する傾向が高かったです」とまとめた。下山副院長は「転移性消化管癌における動脈血栓塞栓症の頻度とその予後の解析: 徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクト(TREAD07)」をテーマとする演題も発表した。
八尾徳洲会総合病院(大阪府)の瓜生恭章・副院長兼腫瘍内科部長は「EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者における公的扶助と生存の平等性(TREAD01-S3)」をテーマに口演。EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんの全生存期間(OS)に、生活保護受給の有無と居住地の違いが影響するか検討した。
対象は、EGFR-TKI(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬)を投与した連続する約760人の患者さんで、約40人が生活保護を受け、約440人が大都市(人口100万人以上もしくは人口密度が1k㎡当たり2,000人以上)に居住していた。解析の結果、OSに有意差はなかったことから、瓜生副院長は「生活保護受給の有無や居住地域の都市化レベルにかかわらず、国内では質の高いEGFR-TKI治療が可能であることが示唆されました」と結んだ。
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の日比野真・呼吸器内科部長は「未治療進行EGFR変異非小細胞肺癌に対するオシメルチニブおよび他EGFR-TKI初回治療の全生存期間への影響:TREADプロジェクト01の最新データ」をテーマに口演。
オシメルチニブは分子標的治療薬であり第3世代のEGFR-TKI。EGFR変異陽性非小細胞肺がんの初期治療では、第1世代EGFR-TKIと比べ高い有効性を示すことが知られているが、アジア人、とくに日本人に関してはOSへの優位性は不明。そこで日比野部長はオシメルチニブを第一選択薬として治療した患者さん、他のEGFR-TKIによる治療を最初に受けた患者さん、他のEGFR-TKIによる初回治療後にオシメルチニブを投与した患者さんを対象に検討(全体で約1,050人)。
日比野部長は「リアルワールドデータによると、オシメルチニブは日本人集団の進行EGFR変異陽性非小細胞肺がんの第1選択薬として、他のEGFR-TKIと比べ有意なOSの改善を示しませんでした」とまとめた。
湘南鎌倉病院の和田啓太郎・総合診療科医師は「進行悪性胸膜中皮腫におけるニボルマブ+イピリマブ療法後の白金製剤+ペメトレキセドの治療効果と安全性に関する研究」がテーマ。2次治療としての白金製剤+ペメトレキセドの有効性と安全性を評価するため、進行悪性胸膜中皮腫に対し、白金製剤+ペメトレキセドを1次治療とした群と、ニボルマブ+イピリマブ療法後の2次治療とした群を比較。和田医師は「2次治療では、1次治療の場合と同等の生存期間の延長効果があり、安全性に有意差はありませんでした」と結んだ。