徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)04月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1489 1面

湘南藤沢徳洲会病院
がん医療水準の向上を図る
神奈川県がん診療連携指定病院に指定

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は神奈川県がん診療連携指定病院に指定された。これは県独自の認定制度で、がん医療水準の向上を図り、県民に安心かつ適切ながん医療を提供するのが目的。診療体系や医療従事者、施設、研修体制、情報提供体制などの水準が、国の定める地域がん診療連携拠点病院と同程度に達している病院が指定される。徳洲会グループの地域がん診療連携拠点病院は4施設、都道府県が指定するがん診療連携指定病院は12施設ある。

地域連携強化や緩和ケアなど取り組む

準備委員会メンバーの(前列左から)藏並顧問、津田部長、永野尚登・高精密度放射線治療センター主任部長、宗像・名誉院長、(後列左から)杉山幸樹・地域連携室主任、櫻田・看護師長、亀谷恵美子・看護部長、小野寺操・放射線治療室医師事務、糸永和良・診療情報管理室副主任次のステップとして、地域がん診療連携拠点病院を目指し会議がんサロンではがんを抱える人や家族が気軽に情報交換

がん拠点病院事業は国内のがん対策の一環として整備された制度だ。2004年の「がん対策推進基本計画」策定に基づき、がん診療の均てん化(地域間格差の是正)を目的に、「がん診療連携拠点病院」制度がスタート、翌年には全国で29施設が指定された。

06年には「がん対策基本法」が成立し、国としてのがん対策の強化が法的に位置付けられた。翌年、「第1期がん対策推進基本計画」が始まり、同拠点病院の役割がさらに重要なものとなった。12年には小児がんや希少がんへの対応強化のため、「小児がん拠点病院」の指定が開始。さらに16年には「都道府県がん診療連携拠点病院」や「地域がん診療連携拠点病院」の整備が進み、役割分担が明確化した。

現在は、23年に始まった「第4期がん対策推進基本計画」に基づき、がん医療の質向上、患者支援、緩和ケアを推進。各拠点病院は専門的な医療提供に加え、地域医療機関との連携、患者さんや家族への相談支援、緩和ケアの提供など多岐にわたる役割を担っている。

こうしたなか、各都道府県は独自の認定制度を展開。神奈川県では11年4月に「神奈川県がん診療連携指定病院」を開始した。今年4月には湘南藤沢病院を含む3施設が新たに指定され、計12施設となった。

藏並勝・外科顧問(乳腺外科)は「がんは国民病とも呼ばれる病気です。患者さんには全人的なサポートが必要で、多職種それぞれに高い専門性が求められます」と指摘したうえで、「当院の立地する湘南地域の西側で、患者さんのニーズを考えると、当院が専門的ながん医療を担う使命があると考え、指定を受けることにしました」と強調する。

同院では2年前から、国が指定する地域がん診療連携拠点病院の取得を目指し、準備委員会を発足。委員長の津田享志・腫瘍内科部長は「宗像博美・名誉院長と藏並顧問にアドバイザーとして立っていただき、各診療科の医師、多職種スタッフがメンバーとなり、総力を挙げて取り組みました」と振り返る。

同院がとくに注力する必要があったのは、①地域との連携強化、②緩和ケアチームの立ち上げ、③がん相談支援センターの設置だ。地域との連携強化では、開業医向けの症例検討会や医科歯科連携などを実施。要件に合わせ合同研修などを行っている。

緩和ケアでは、グループ病院の緩和ケア認定看護師の協力により、緩和ケアチームを立ち上げた。その1年後、新たに入職した同認定看護師に引き継ぎ、チームを継続。今では1年に50人を超える患者さんに対し、同チームが対応している。

櫻田香織・看護師長は「現在、がん化学療法看護認定看護師と緩和ケア認定看護師が2人ずつ在籍しています。看護部の教育委員会と協力し、がん看護の研修を計画的に行い、質向上を目指します」と力を込める。

がん相談支援センターは23年秋に設置した。外部研修を受けた相談員2人(看護師とMSW)が中心となり対応。就労支援として、ハローワークの出張相談も始めた。また、がんサロン「まりん」では、がんを抱える人や家族が気軽に集まって情報交換したり、悩みを打ち明けたりする場を提供している(直近では4月26日開催)。

県の指定を受け、津田部長は「チーム医療で、より充実した切れ目のない医療を提供していきます。今後、われわれと同じ志で、がん医療に携わりたいという医療従事者が集まることを期待します」とアピール。

藏並顧問は「指定を受けることで、同じ立場にある他院の取り組みを知る機会が増えますので、互いに研鑽し合い、当院独自の形をつくっていけたらと考えます」と展望。「地域の方々に、ここに来れば安心して、がん治療を受けられると認知されるようになり、その期待に応えていきたいです」と意気軒高だ。同院は引き続き、地域がん診療連携拠点病院の指定を目指す。

PAGE TOP

PAGE TOP