徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)04月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1488 4面

日本腎臓リハビリテーション学会
徳洲会グループから32演題
小林・湘南鎌倉病院長が大会長

第15回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会が3月15日から2日間、横浜市で開かれ、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小林修三院長が大会長を務めた。今回は「楽しいから始める腎リハ〜ウェルビーイングな暮らしを求めて」というテーマの下、過去最多の多職種1,802人が参加。徳洲会グループも多くのセッションで発表するとともに、場内に特設ブースを出展するなど会を盛り上げた。徳洲会の発表を中心に紹介する。

診療科や職種の枠越え超満員

過去最高の参加者数など大会長として会を成功に導いた小林院長

腎臓リハビリテーションは、腎臓病の患者さんの生命予後やQOL(生活の質)などの改善を目的に、運動療法や食事療法、薬物療法、精神・心理的サポートなどまで包括的に行うプログラム。日本腎臓リハビリテーション学会は、これらを推進するために2011年に設立、年1回、学術集会を開催。

特別講演で徳洲会が存在する意味を伝える東上理事長

今回もさまざまなプログラムが用意されるなか、徳洲会グループは計32演題を発表した。「特別講演」では東上震一・医療法人徳洲会理事長が「世界に向けた徳洲会の存在意義とその目指すところ」と題し登壇。臨床で懸命に患者さんと向き合った過去のエピソードや徳洲会の理念などについて熱弁を振るった。

藤田社長は講演で自らの信念を強調

そのなかで、徳洲会が国際医療支援活動にも注力していることを強調。アフリカでは人工透析機器を寄贈し、透析センターの開設を支援、機器の維持や現地の医師らに対する教育などを小林院長主導で行っていることを紹介した。最後に「こうした取り組みを始めて約30年。良好な結果を出していると思っています」とアピールした。

「未病」の意味や改善を説明する黒岩知事

また、今大会では新たな試みのひとつとして、音楽療法に関するプログラムを複数用意。もうひとつの「特別講演」として、日本音楽療法学会の藤本禮子理事長が「音楽療法の重要性と今後の展望~リハビリテーションと音楽療法~」をテーマに、すでに海外では病院内のICU(集中治療室)などで成果を出していることなどを報告した。

講演後の米田監督(左)と小林院長

「特別招請講演」では、米国で医療機器メーカーを興して現地で雇用を生み出し、輸出製造業を成功に導いた藤田浩之Quality Electrodynamics(QED)創業者(社長兼最高経営責任者)が「道なき道を行け」をテーマに講演。「私が言いたいことはひとつです。何事も固定観念にとらわれず、自分を信じてやっていく」と、科学者としての信念を強調し、MRI(磁気共鳴画像診断)の技術を飛躍的に進化させた原動力などを語った。また、黒岩祐治・神奈川県知事が「Vibrant INOCHI〜未病(ME-BYO)改善の取組」と題し講演。「食事・運動・社会参加こそが健康にとって大切」であるとともに、それらに最新医療技術の介入が不可欠と強調した。また、「健康」と「病気」の間をグラデーションで示し、その連続的変化を「未病」と位置づけ、未病の改善に関する取組を各自治体と行い、実際の成果などを示した。

会場の一角に徳洲会グループの特設ブースを設置。多くの参加者が見学

徳洲会体操クラブの米田功監督も講演した。「世界を魅了する最強で最高のチーム作りについて」と題し、同クラブ所属の選手だった現役時代のエピソードや、監督に着任した2013年以降のクラブを紹介。就任当時は低迷期だったが、改革を進め21年の東京五輪に2選手が出場し、銀メダルを獲得。続く24年のパリ五輪でも2選手を代表に送り込み、金メダルを手に凱旋、さらに高みを目指す意欲を見せた。

「教育講演」では、「透析患者の下肢末梢動脈疾患(LEAD)および包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)に対して行うチーム医療」と題し、湘南鎌倉病院の日髙寿美・腎臓病総合医療センター長が講演。「足に動脈硬化性疾患があると、約4割の患者さんが他の血管も障害を受けています」と指摘し、「足の病気を発見したら、必ず心臓なども評価する必要があります」と強調した。LEADやCLTIでは多職種で介入するチーム医療の重要性も示し、自院の取り組みなどを説明した。

同院の大竹剛靖・副院長兼再生医療科部長は「足を動かす〜透析患者の重症下肢虚血 再生医療最前線」と題し講演。「透析患者さんで下肢末梢動脈疾患を患う方は、導入期で20%、維持期で40〜50%。2人に1人はこのような疾患を抱えています」とし、造血幹細胞(CD34)を用いた再生医療の進展により、完治する可能性を示唆した。  同院の西村彰紀リハビリテーション部室長(作業療法士)、愛甲美穂・看護主任も講演した。

リハビリ継続に新たな視点

「特別セミナー」では、同院 の立石智彦スポーツ総合診療センター長が「スポーツ医学から腎リハへの提案」と題し登壇。

これまで野球やサッカー、相撲など、さまざまなアスリートに治療を行ってきた経歴を紹介した。とくに糖尿病の発症リスクが高い相撲に触れ「健康に対する正しい知識を現役時代から得て、引退後も継続できる健康管理を行うことが重要です」と提言した。

同センターの高森草平スポーツ整形外科部長は「スポーツドクターとリハビリ〜ラグビー日本代表チームドクターの経験を通じて」をテーマに講演。チームドクターとして帯同した19年のW 杯日本大会で日本代表が躍進し、世界ランクが過去最高の6位まで上り詰めた時のエピソードなど披露。「リハビリでは物理療法と高気圧酸素治療が効果的でした」と振り返った。「シンポジウム」では日髙センター長、西村副室長が発表した。

最終日に「大会長講演」を行い小林院長が登壇した。テーマは「楽しいから始める腎臓リハビリテーション〜ウェルビーイングな暮らしを求めて」。同学会の役員も務める小林院長は講演で「大会テーマでもある“ウェルビーイング”は、より良い生活を患者さんに送っていただくという意味です。残念ながら、腎臓リハビリを行っても離脱する患者さんが後を絶ちません」と指摘し、「患者さんが治療中に満足できたかどうかの指標を設けるべきではないかと考えています」と提起。

手術や薬物療法といった従来のアプローチだけでなく、「音楽を聴く、映像を見る、香りを楽しむ、味覚を楽しむ、触れ合う、そよ風にあたる」といった五感を刺激する幸せな体験、新たなアプローチの必要性も強調し、それらがリハビリの継続、扁へん桃と う体た い(恐怖や不安を司る脳の部位)の制御などにつながる可能性を示唆した。 「一般演題」などで湘南鎌倉病院を含め徳洲会6病院が発表した。

PAGE TOP

PAGE TOP