徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)03月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1483 4面

湘南藤沢病院
「マルファンチーム」を結成
複数科が連携し長期サポート

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は「Shonan Fujisawa Marfan Team(湘南藤沢マルファンチーム)」を立ち上げた。同チームは長期的なサポートが必要となるMarfan症候群の患者さんに対し、複数の診療科が綿密に連携し、一人ひとりに最適な診療、治療を提供していくのが目的。心臓血管外科の服部滋・主任医長を中心に脊柱側彎症外科や内科、産婦人科などがタッグを組む。

「最適な時期に、高水準の治療を提供」と服部・主任医長

Marfan症候群は遺伝子の異常により大動脈、骨、眼、肺などの全身の結合組織(細胞同士をつなぐ組織)が脆弱になる疾患。そのため大動脈の拡大、大動脈解離、背骨や胸郭の変形、視力障害、気胸など特徴的な所見を認める。

日本での同疾患の患者さんは約2万人と言われているが、服部・主任医長は「患者さん本人やそのご家族が、必ずしも病気について正しい知識をもっているわけではなく、漠然と不安を抱えながら生活されている方が多くおられます。また、日本にはMarfan症候群を専門に診る医療施設が少ないのが現状です」と指摘する。

同疾患の場合、大動脈基部(大動脈弁とその周辺)が拡大し、突然、大動脈解離を発症され救急車で運ばれてくる患者さん、側彎症など骨格の変形があり、日常生活に支障を来す患者さん、妊娠や出産を予定しており、不安を感じている患者さん、家族が若くして大動脈解離を発症したため、自分も発症するのではないかと日々不安や恐怖を感じながら生活している患者さんなど、さまざまなケースがある。また、ひとりの患者さんでも、年齢やライフステージにより、治療へのニーズは変化していく。

心臓血管外科領域の手術を行う服部・主任医長(左)

そこで同院は、「Marfan症候群の患者さんに、病気についての正しい知識を得てもらい、結婚、出産、家庭、仕事などライフプランに合わせ、最適な時期に、高水準の治療を提供する」ことを目標とし、服部・主任医長を中心に「Shonan Fujisawa Marfan Team」を結成。同院には心臓血管外科、脊柱側彎症外科、内科、産婦人科、眼科、呼吸器外科など、同疾患の患者さんの全身を診ることのできる医師がそろっているのが強み。複数の診療科が綿密に連携することで、患者さん一人ひとりに対し、最適な時期に、最適な診療、治療の提供が可能となる。

心外でDavid手術を実施 必要に応じ遺伝子検査も

同疾患の患者さんの生命予後に大きくかかわるのは心臓大動脈疾患であり、心臓血管外科手術で救命することが重要となる。しかし、服部・主任医長は「手術だけではMarfan症候群の患者さんが抱える他の疾患や症状への対応、生活の質の向上、精神的負担の軽減などのサポートが十分にできません。実際にそれを必要としている患者さんは多いと感じていました」と強調。

さらに、「当院には、偶然かもしれませんが、そのような患者さんのニーズに答えられる医師がそろっていました。もしかしたら、われわれが患者さんのための総合病院として、社会に貢献できるのではないかと考え、チームを立ち上げました。病院全体で患者さんに対応していく体制を構築しています」と胸を張る。

心臓血管外科の治療では、人工弁に置換する方法以外に、David手術も実施している。これは大動脈基部が拡大した患者さんに対し、自己の弁を温存し大動脈基部を人工血管に置換する手術。ワーファリン(血液をさらさらにする薬)は不要で、長期間の弁機能維持が期待される。また、手術が必要となる前に、早期から内服治療を開始することで、大動脈疾患の進行を遅らせることも可能だ。

必要があれば、遺伝子検査にも対応する。同院では内科と産婦人科が協力し、Primary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ、免疫不全症データベース)に加入しているため、かずさDNA研究所かずさ遺伝子検査室と連携し、遺伝子検査を受けることが可能。同疾患以外にも、遺伝子が原因となる疾患を調べることができる。

また、妊娠や出産に対する不安を抱えている同疾患の患者さんは多く、産婦人科では遺伝子専門医が遺伝子疾患に関するカウンセリングにも対応する。

外来は心臓血管外科が窓口となる(火曜日午後と水曜日午前)。まず、心エコーやCT(コンピュータ断層撮影)で心臓大動脈を評価。その後は、必要に応じて定期フォローを行う。その他の疾患や異常がある場合、または患者さんの要望があれば、適切な診療科に紹介し、連携して対応していく。

服部・主任医長は「他院でMarfan症候群が疑わしいと言われた方、手術を受けられた後の方、Marfan症候群の診断が付いていないが不安を感じている方、Marfan症候群以外の結合組織疾患の方など遠慮なく受診してください」と呼びかける。

さらに、「Marfan症候群は全身疾患であり、ひとつの診療科だけでは十分な治療、ケアはできません。Shonan Fujisawa Marfan Teamが患者さん一人ひとりを丁寧に診療し、時間をかけて対応していくことで、患者さんやご家族が安心して生活していくための大きな力になれると確信しています」と意気軒高だ。

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