
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)01月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1476 3面
第54回日本創傷治癒学会が昨年12月5日から2日間、都内で開催され、武蔵野徳洲会病院(東京都)の木山輝郎・特命副院長兼消化器外科部長が会長を務めた。「New innovations in wound healing 創傷治癒の新たなイノベーションを求めて」をテーマに開催し、全国から多職種254人が参加した。徳洲会グループからは会長講演やシンポジウム、一般演題(ポスター)、ランチョンセミナーで計9演題を発表。徳洲会の特設ブースも出展した。
開会挨拶を行う木山・特命副院長
シンポジウムでは創傷治癒関係者らが熱く討論
徳洲会を紹介する特設ブース
開会挨拶で木山・特命副院長は「本学会は世界で初めて創傷治癒に特化した歴史ある研究会・学会です。私の出身大学である日本医科大学とも関係が深く、恩師である日本医科大学名誉教授で本学会名誉理事長の徳永昭先生が開催したこともある本学術集会を、会長として私もサポートできることを大変光栄に思っています。2日間でいろいろな企画を用意しました。ぜひ熱い討論をしていただければと思います」と呼びかけた。
シンポジウムでは、武蔵野病院の小田金哲広・泌尿器科医長が「泌尿器科におけるSSI(手術部位感染)、創傷治癒遅延予防 腹腔鏡手術からロボット支援手術へ」と題し、泌尿器科手術の変遷や、術式とSSIの関係について発表した。
清潔手術(腎・副腎摘除術)、準清潔手術(腎部分切除術、前立腺全摘術)、汚染手術(膀胱全摘除術+尿路変更術)のそれぞれについて、文献をもとにSSI発生率を比較。また、開腹、腹腔鏡、ロボット支援の各術式別に膀胱全摘の出血量などの比較結果を紹介した。
小田金医長は「術式の変遷により泌尿器科の腹部手術は、より低侵襲な手術になってきました。とくに出血量の減少に寄与し、創の縮小、出血の減少にともない、SSIの発生も減少しています」とまとめた。
武蔵野病院の間瀬直子・皮膚・排泄ケア認定看護師もシンポジウムに登壇し「病院規模が褥瘡対策へ与える影響と課題~療養病棟を有する中規模急性期病院の一例~」をテーマに口演。「皮膚・排泄ケア認定看護師が褥瘡管理の専任から専従となったことで、所属長や専任看護師の協力が得やすくなりました。褥瘡保有者に対し効率的な医療・看護ケアを提供できるようになり、褥瘡推定発生率を低下させることができました」と発表した。
「創傷治癒と消化管」をテーマに会長講演を行った木山・特命副院長は、米国ジョンズ・ホプキンス大学留学中に創傷治癒と栄養経路の研究を行い、経腸経路のほうが静脈経路よりも創傷治癒に優れていることを明らかにした。ただし、そのメカニズムは以降も不明なままで、解明が待たれていた。
そうしたなか、木山・特命副院長は“水素”に着目。人間の体内では腸内細菌が炭水化物を代謝する際、水素を産生している。木山・特命副院長は水素がもつ電位の性質をとらえることで、水素による酸化還元反応がエネルギー産生を促進し、これが消化管利用による創傷治癒の促進に関与している可能性を示唆。「水素研究が創傷治癒のイノベーション(革新)につながっていくのではと期待しています」と結んだ。
ランチョンセミナーでは湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の髙森草平スポーツ総合診療センター部長が「ラグビーにおける創傷治癒 2019/2023RWC15人制男子ラグビー日本代表チームドクターの経験から」をテーマに講演。松原徳洲会病院(大阪府)、宇和島徳洲会病院(愛媛県)、武蔵野病院、鎌ケ谷総合病院(千葉県)からも一般演題の発表があった。