徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)01月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1476 1面
鎌ケ谷総合病院(千葉県)は徳洲会で唯一、肺がんCT検診認定機構の認定施設に指定されている。全国の認定施設は63施設(1月現在)。同認定は低線量CT(コンピュータ断層撮影)による肺がん検診の普及と、一定レベル以上の技量・知識・経験が必要な同検診の質を担保するのが目的。また、同認定に必要な肺がんCT検診認定医師は、徳洲会に6人いるうち同院に2人、肺がんCT検診認定技師(診療放射線技師)は、徳洲会に166人いるうち同院に5人在籍している。
認定証を手にする服部・診療放射線技師
低線量CTによる肺がん検診を行う服部・診療放射線技師
健康管理センターの壁に施設認定などの認定証を掲示
日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)だ。そのなかで肺がんによる死亡数は最も高く、男性で1位、女性は大腸がんに次いで2位。肺がん検診には胸部X線を用いるのが一般的で、肺がんによる死亡を30~50%減少させることが科学的に証明されているが、早期発見には限界がある。近年では、被曝低減のため、低線量CTで最大の効果を導き出す肺がん検診が注目され、大規模な研究が実施されている。
日本肺癌学会が作成した「肺がん検診ガイドライン2022」では、研究結果を反映し、重喫煙者(1日の喫煙本数×喫煙年数=喫煙指数が600以上)に対する低線量CT検診は、「死亡率減少効果を示す証拠があるので、行うよう勧められる」とされ、「グレードA」に認定。ただし、「十分な精度管理の体制下で実施されている場合に限定」、「非低線量CTによる検診は、放射線被曝の面から、行うべきではない」と注意事項もある。
また、検診機関としての役割も明確化。「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方」が昨年3月、第6版に改訂。検診機関と精密検査医療機関との役割の違いに関し、肺結節の大きさ(数値)などを用い示した。
こうしたなか、肺がんCT検診認定機構は、18年4月に施設認定制度を創設。鎌ケ谷病院は、21年7月に同認定を取得した。施設要件には①CT装置・CT撮影、②CT検診実施者、③CT検診の精度管理、④CT検診の実績、⑤CT検診の安全管理――に関する要件が、それぞれ示されている。
このうち「CT検診実施者」の要件のひとつに、「1人以上の肺がんCT検診認定技師が常勤職員として在籍」を規定。同認定技師はCT検診における被曝低減や最適スキャン条件の設定、装置の安全管理などの技能を身に付け、さらにCT画像に対する異常所見の検出を行うことで読影医を支援。徳洲会放射線技師部会でも取得をサポートしている。
服部篤彦・診療放射線技師(前・放射線科技師長)は「高線量で撮影すれば、画質の良い写真はできますが、被曝の問題があります。放射線量は合理的に達成可能な限り低くするのが原則で、求めるのは診断に必要十分な画質となります」と強調。「当院の低線量肺がんCT検診でも、受診者の不利益にならず、最大限の結果を出せるように尽力しています」と力を込める。
同院は、日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する「マンモグラフィ検診施設・画像認定施設」も取得しており、肺がんCT検診認定施設とあわせ、健康管理センターの出入り口に認定証を掲示してアピール。
服部・診療放射線技師は「自己満足ではなく、第三者評価による施設認定なので、自分たちの取り組みの是非を検証できます。認定取得は当院の技師にとって、良い勉強になりました。今後も検診機関として、自信をもって受診者に適切な検査を実施していきたい」と意欲的だ。