
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)12月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1469 3面
米国シカゴのWSSFNで山本センター長
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の山本一徹・機能的神経疾患センター長は、国際学会に積極的に参加している。5月にインドで開催されたNoble Art of Lesioningでは、講師として招聘された。同学会は若手医師が脳の凝固術(患部を熱凝固して不随意運動などの症状を改善する治療)を学ぶためのもので、山本センター長は「パーキンソン病に対する凝固術」をテーマに講演した。
高周波熱凝固術(RF)は脳の患部を細い電極で焼灼(熱凝固)する治療法。同院では鎮静下で頭蓋骨に小さな穴を開けた後、脳に電極を挿入、続いて鎮静状態から元に戻し、覚醒下で試験的に電気刺激を加え、治療効果と合併症の有無を確認してから出力を上げ焼灼する。この一連の流れや注意点などに関し、動画を交えて解説した。
山本センター長は「凝固術は学ぶ機会が少ないのが現状で、学会中も各国の若手医師から見学の要請を受けました。個々の患者さんへの治療戦略が重要ですので、こうした指導の機会は貴重です」と力を込める。
9月には、米国シカゴで開催されたWSSFN(機能神経外科に関する最大規模の学会)で演題を発表。さらに、ポスター発表の審査員も務めた。
自身の発表は「振戦優位型パーキンソン病の凝固術」がテーマ。同治療は脳のVim核のみをターゲットにするのが一般的だが、淡蒼球(大脳基底核の一部)から視床に向かう神経線維はVo核を通り、パーキンソン病の振戦にかかわっているため、両方の核をターゲットに凝固術を行うと高い効果が得られる。これを独自に作成したマッピングを用い説明した。
山本センター長は「WSSFNは2年に一度開催されますが、必ず演題発表しています。『今の治療が最善か』つねに考えることが重要です」と強調する。