徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)12月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1469 1面

第54回日本創傷治癒学会
新たなイノベーションを求めて
会長は木山・武蔵野病院特命副院長

第54回日本創傷治癒学会が12月5日から2日間、都内で開催される。会長を務めるのは、武蔵野徳洲会病院(東京都)の木山輝郎・特命副院長兼消化器外科部長。今学会の全体テーマには「New innovations in wound healing 創傷治癒の新たなイノベーションを求めて」を掲げた。診療科を問わず創傷治癒にかかわる幅広い分野の専門家が参加し、全身の創傷治癒を対象とした基礎・臨床に関する幅広い演題の発表をとおし、医学の発展に貢献していく。徳洲会グループからも複数の演題発表を予定、また会場には徳洲会の展示ブースも出展する。

5日から東京・一橋講堂で開催

54回目の開催となる日本創傷治癒学会参加登録についての詳細情報はQRコードから学会ホームページにアクセス

会場は東京都千代田区にある一橋大学一橋講堂(学術総合センター)。東京駅から北西に直線距離で約1.4kmに立地し、最寄りは地下鉄神保町駅もしくは竹橋駅。世界一の古書街である神保町や、皇居、江戸城跡、日本武道館に加え丸の内や大手町といったビジネスエリアが程近く、都心を感じられるエリアだ。

会長を務める木山・特命副院長は消化器外科を専門とし、日本外科学会専門医や日本消化器外科学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医など資格をもつ。また日本創傷治癒学会理事、日本臨床外科学会評議員、日本消化器病学会評議員・指導医など要職に就いている。

日本創傷治癒学会は1971年に創傷治癒研究会として発足、2000年に同学会となった。創傷治癒を主眼とする学会としては世界最古と言われ、全身の創傷治癒を対象とし、幅広い専門分野の医師をはじめ医療従事者や、企業の研究者などが参加。基礎・臨床のすべてをフィールドとし、学術集会では基礎的検討に関する発表が多いのも特徴だ。

「“基礎に裏付けされていない技術は発展性がない”という考えの下、臨床技術のみに偏らず、創傷治癒のプロセスやメカニズムなど基礎的な知見の学びを大切にしている学会です。さらに近年は“社会実装”をキーワードに、研究成果の社会還元と実践には何が必要か、といった観点でのセッションにも力を入れています」(木山・特命副院長)

プログラムは「創傷治癒と消化管」をテーマとする会長講演や、シンポジウム、特別講演、特別企画、研究奨励賞講演、International Session、要望演題(口演)、一般演題(ポスター)、ランチョンセミナーで構成。

シンポジウムは計5セッション設け、「SSI(手術部位感染)、創傷治癒遅延を予防するための手術手技・術後ケアの工夫」、「働き方改革・タスクシフトに伴う創傷管理の新たな展開」、「在宅診療における創傷管理の実際と今後の展開」、「病院機能から求められる褥瘡ケアの取り組み」、「創傷治癒に対する再生医療の基礎的研究」というテーマの下、発表を行う。

木山・特命副院長は「1日目の夕刻には、全参加者を対象とした『全員懇親会』という時間を設けました。東上震一理事長の計らいにより、一般社団法人徳洲会に共催していただき、参加者同士が情報交換を行うなど懇親を深める場をつくることができました。ぜひ日本創傷治癒学会にご参加いただき、演題発表の内容について質問したり、日頃の疑問をぶつけてみたりと、創傷治癒にかかわる方々同士で交流をもっていただけるとうれしいです」と呼びかけている。

同学会への事前参加登録は12月2日午後5時まで。当日参加登録は4日正午~6日午後4時まで。詳しくはQRコードから学会ホームページにアクセス。

木山・特命副院長に聞く
創傷治癒研究の革新期待 成果を社会実装し貢献も

──「New innovations in wound healing 創傷治癒の新たなイノベーションを求めて」を大会テーマとした理由は?

「今学会が、イノベーション(革新)のきっかけになればという思いを込めて、このテーマを掲げました。また、私自身の研究が進展したタイミングだったことも関係しています。1990年代に私は米国ジョンズホプキンス大学外科に留学し、経腸栄養が静脈栄養よりも創傷治癒に優れていることを明らかにしました」

「しかし、そのメカニズムは不明なままで、そうしたなか、私は水素に着目しました。体内では腸内細菌が炭水化物を代謝する際、水素を産生しています。水素がもつ電位の性質を利用することで、消化管利用と創傷治癒促進との関係を示唆することができました。これについては昨年、論文にまとめ発表しました。会長講演では、この内容を詳しくお伝えしたいと考えています。そしてこの成果が、今後の創傷治癒研究のイノベーションにつながればと期待しています」

──プログラムの見どころを教えてください。

「見どころのひとつは特別講演で、今回、おふたりの先生を招聘しました。京都大学副学長で同大学院医学研究科細胞機能制御学教授の岩井一宏先生と、徳島大学大学院医歯薬学研究部生体栄養学分野教授の二川健先生です。岩井先生には、細胞の鉄代謝・動態に関する大変興味深い研究成果を語っていただきます。二川先生は徳島大学宇宙栄養研究センターのセンター長も務め、今学会では、無重力や寝たきりによる筋萎縮に対する栄養学的予防・治療法をテーマに講演していただきます」

「もうひとつは、褥瘡対策に関する急性期病院から療養型病院へのアウトリーチ活動の成果などを含むシンポジウム4『病院機能から求められる褥瘡ケアの取り組み』です。研究成果の社会実装に資するセッションです。難治性の創傷に対する最先端の治療法を、症例をもとに紹介する特別企画も、ぜひ聴講していただきたいセッションです」

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