徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)11月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1468 3面
医療従事者をはじめ地域のさまざまな関係者が参加
瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)は、地元のコミュニティーホールで林敬人・鹿児島大学大学院医歯学総合研究科法医学分野教授を講師に招き、「水中死体の見方について~水中死体=溺死体ではない~」と題する講演会を開いた。同院の職員以外にも、鹿児島県内の警察や海上保安部の関係者ら70人が参加した。林教授は鹿児島県内の法医解剖を一手に担っている医師。
講演の冒頭、林教授は離島を有する鹿児島県には海や川が多く、水中死体が多い状況を指摘。「なかには事件性があるご遺体も含まれます。どのように見ていけばいいのか紹介したい」と説明。その後、溺死の定義や所見、水中死体の外表所見(体表面に見られる異常)の特徴、溺死体の所見、水深の浅い場所で溺死に至る原因、スキューバダイビング関連の死亡などについて、実例を示しながら解説した。
「入浴死」にも言及し、県内のデータや入浴死の解剖例、若年者で入浴死に至る原因などを説明した。
出席者からは「私たちの知らない事案や、入浴死の関係なども解説していただき、非常に勉強になりました」(鹿児島県警察関係者)といった声が聞かれた。名瀬徳洲会病院(鹿児島県)の松浦甲彰総長は、医師にとって死因を知る意義を「“これで良かったのか”ということを確認する機会でもあり、それが次の医療につながります」と強調。瀬戸内病院の高松純院長は「他の島でも、このような機会を設けられたらと思います」と意欲を見せた。
現在、奄美群島内で発生した法医解剖が必要なケースは、すべて鹿児島本土で行うこととなっている。しかし、天候によって遺体の搬送が遅れたり、温暖な気候のため腐敗が進みやすかったりし、速やかな死因究明につながらないこと、また名瀬病院では対応可能な環境があることから、会のなかでは、奄美群島内のケースは奄美大島で行えるようになることを望む声も聞かれた。講演会は9月26日開催。