徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)11月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1468 1面
医療法人徳洲会は11月17日、喜界徳洲会病院(鹿児島県)の新病院竣工式を挙行した。同院をはじめ徳洲会グループ、地元の行政、自衛隊、警察、新病院の建設に携わった企業など関係者が出席し、新病院の完成を祝った。同日、一般の方向けの内覧会も開き、悪天候にもかかわらず1,051人が参加した。同院は奄美群島の喜界島(人口6,314人、2024年10月末時点)で唯一の病院。新病院は、現病院から直線距離で約1kmの場所に位置し、12月1日に診療を開始する。
式に列席した関係者は、新病院の完成を喜ぶとともに、さらなる発展を祈念
式は、新病院の特徴のひとつでもあるエントランスホール「結いのひろば」で行った。徳洲会グループからは法人幹部、小林奏院長をはじめとする喜界病院の職員、奄美群島のグループ病院院長らが出席した。
「徳田先生の魂を忘れず、島の医療に寄与できるよう努力」と福田・副理事長
同ホールの壁面がスクリーンになることを活用し、徳田虎雄・名誉理事長(7 月10 日に86 歳で永眠)の事績を紹介する動画「命の虎 医療界の革命児! 徳田虎雄ヒストリー」を上映。あらためて徳田・名誉理事長の功績を振り返ったうえで開式し、神事後の式典の冒頭で黙禱を捧げた。
新病院は「地域の安心・安全の新たな拠点」と期待を寄せる隈崎町長
その後、福田貢・副理事長が東上震一理事長の代理で施主挨拶。同院がグループ32番目の病院として1991年に開院したことを紹介し、自らの経験談を交えながら徳洲会の離島医療に言及した。「80年に研修医として徳洲会に入職し、86年に徳之島徳洲会病院(鹿児島県)で初めて離島の医療を経験しました」と切り出し、87年に鹿児島徳洲会病院、90年に沖永良部徳洲会病院(同)、91年に喜界病院がオープンしていった様子を述懐。
小林院長は列席者に謝意を示し、島の健康レベル向上を約束
「離島への医師派遣、そこでの医師のトレーニングという、あまり常人が考えないような方式で離島医療を支えていくことを徳田先生が確立されました」と振り返り、この間、離島の医療を支えようとする仲間が多く育ったことを強調。「今、職員が4万3,000人となりましたが、離島の現場で働く職員、あるいは応援で間接的に支えようと頑張る職員、一人ひとりが一生懸命に取り組んでいます」と吐露。
厳かな雰囲気のなかで執り行われる神事
最後に「当院ができて30年余り、喜界町の皆さん、頑張ってくれた職員に心から御礼申し上げます」と謝意を表し、「今後も徳田先生の魂を忘れず、職員一人ひとりが、この島の医療に寄与できるよう頑張っていきます」と締めくくった。
続いて、来賓を代表し、隈崎悦男・喜界町長が、喜界島について「一島一町の離島であり、医療資源が限られるなか、高齢化率は40%超。群島内でも高く、都市部で十分な医療を受けられる人は限られているのが現状です」と説明し、新病院に対する期待を示した。
内覧会で、島唄に合わせ踊る参加者
「新病院は役場や学校、防災食育センターに隣接し、災害拠点病院として機能強化されました。行政が集中する場所に移転したことで、地域の安心・安全の新たな拠点として、町民の皆さまに必要とされる医療を提供していただけることを心より期待しています」と語気を強めた。
足を止めて徳田・名誉理事長の動画を視聴する参加者
会場には、祝福メッセージや祝電が届き、そのなかで禧久伸一郎・鹿児島県議会議員のメッセージを紹介。開院以来、同院を支えたスタッフ、喜界町行政関係者、町民に謝意を示すとともに、奄美群島の各島に病院を開設した徳田・名誉理事長の思いに触れ、新病院に対し「日本の離島病院の最善モデルを目指されますことを祈念します」とエールを送った。
12月1日に診療をスタートする新病院
設計会社、施工会社に対する感謝状の贈呈式も行い、それぞれ福田・副理事長が東上理事長名の感謝状を授与。竹山建設の竹山博昭社長は工事期間中、延べ3万5,000人の作業員と8,000人の現場職員が滞在したことを明かし、地域の方や関係者に感謝の意を表した。
地図
最後に、小林院長が、夏季に炎天下で工事を進める作業員が熱中症で連日受診する時期があったことを明かし「そんななか立派な建物を建てていただき、スタッフ一同、この病院を発展させていかなければならないと感じています」と覚悟を示唆。
1999年に初期研修医として徳洲会に入職し、徳田・名誉理事長の薫陶を受けたエピソードを披露し、「当院も“離島・へき地医療をしっかりやっていこう”という徳田先生の思いが詰まった病院だと思います」と思いをはせた。今後、スタッフの教育・確保に力を注ぎ、「島全体の健康レベルを上げたいと思っています」と意気込みを語り、閉式した。
感染対策の一環でエレベーターのボタンは非接触型
同日、一般の方向けの内覧会も実施。外来や病棟、透析、リハビリテーション室、各種検査室、手術室、救急外来、通所リハビリ室など、患者さんが過ごすスペースから院内保育室や医局、厨房といった職員向けのスペースまで、新病院のほぼすべてを公開。真新しい内外装に感心したり、より高性能の機器に関心を示したり、なかには院長室で、いすに座って記念写真を撮影したりするなど、一様に楽しんでいる姿が印象的だった。
新たに導入した透視装置。透視装置は骨密度の計測や全脊椎(頸椎~骨盤部)など、長い部位を1回で撮影することも可能。
内覧以外にも参加者が楽しめる企画を用意。地元で活動する文化サークルやカルチャースクールの方々を招き、「結いのひろば」でエイサーやダンス、三線、和太鼓などを披露した。終了後は、再び徳田・名誉理事長の動画を繰り返し上映。徳田・名誉理事長が発するメッセージにうなずく方や、スクリーンを指差しながら小さなお子さんに語りかける方、いすに座り真剣に見入る中高生の姿も見られた。
新たに導入したMRI(磁気共鳴画像診断装置)。MRIでは全身のがん検診「DWIBS検査」も
内覧を終えた方からは「とてもきれいで、病気が吹っ飛んでいくんじゃないかと思いました」、「すごく立派で驚きました。島の誇りです」といった声が寄せられた。