徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)11月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1467 1面
徳洲会グループは、使用済みの食用油を再利用し国産の持続可能な航空燃料(SAF=Sustainable Aviation Fuel)を製造する事業への参画を決めた。一般社団法人徳洲会東京本部で9月26日、同事業を推進する日揮ホールディングス、レボインターナショナル社、SAFFAIRE SKY ENERGY社の4者で、基本合意書を締結する調印式を実施。徳洲会は病院・施設から排出される廃食用油を提供する。医療・介護・福祉事業を全国展開する医療グループが参画するのは初。同事業への協力を通じ徳洲会は脱炭素社会の実現に貢献し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を促進していく考えだ。
脱炭素推進に向け調印式を行った(左から)西村COO、越川CEO、東上理事長、秋鹿・専務執行役員国内で排出された廃食用油で航空機を飛ばす「FRY to FLY Project」のイメージ画像
徳洲会グループは全国に約400施設・事業所を展開しており、このうち患者さんや利用者さんに食事を提供している約140施設からの廃食用油を、SAF原料として提供することに合意した。回収量は年間3万3,000Lを見込んでいる。
調印式には徳洲会の東上震一理事長、植嶋敏郎・事務局長、石川一郎本部長、鑓水弘樹・栄養部長、レボインターナショナル社の越川哲也CEO(最高経営責任者)、日揮ホールディングスの秋鹿正敬・専務執行役員、SAFFAIRE SKY ENERGY社の西村勇毅COO(最高執行責任者)や、各社の関係者が出席。
SAFは化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料を指す。原料が100%廃食用油のSAFの場合、従来の原油から製造する航空燃料と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を約84%削減できる。回収した廃食用油は総量の8割程度の体積のSAFに精製でき、従来の航空燃料と混ぜて使用することもできる。
政府は2030年までに国内の航空事業者が運航するジェット機の燃料使用量のうち、10%をSAFに置き換えるという目標を設定。現状では国内のSAF利用はごくわずかで、海外から輸入している。現在、稼働中のSAF製造設備は国内にはない。
こうしたなか、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナル社の3社が22年11月に合同で、SAFの製造を目的としてSAFFAIRE SKY ENERGY社を設立。同社は目下、大阪府堺市にあるコスモ石油堺製油所構内に、国内初のSAFの大規模製造プラントを建設中。25年中の稼働を計画し、年産約3万kLの製造を見込む。
廃食用油の回収に関してはバイオ燃料の原料調達・技術開発・製造販売の自社一貫体制をもつレボインターナショナル社が、廃食用油の引き取りネットワークを全国に構築している強みを生かし、徳洲会グループ各施設から発生する廃食用油の回収を担う。
調印式では、はじめに西村COOが事業概要を説明し、続いて調印者が挨拶を行った。まず東上理事長が「より一層、資源を再利用していくことが、これからの社会に必要なことですので、そこに私たちの力をお貸しできるのは光栄なことです。とてもやりがいのある事業ですので、徳洲会として全面的に協力したい」と表明。
次いで越川CEOは「この事業は原料調達が非常に大事です。安定した量を安定した価格で調達できなければエンドユーザーに使われません。そのため自前の調達体制を整えました。廃食用油の国内調達に賛同いただき、感謝します」と謝意を表した。
秋鹿・専務執行役員は「この事業を軌道に乗せるには、いかに日本全国から廃食用油を集めることができるかにかかっています。徳洲会の協力は非常に心強いです」と強調。
最後に、西村COOが「SAFの国内自給率向上のためには、社会全体の気運の醸成も欠かせません。その意味で、国内最大の民間医療グループである徳洲会に参加いただけるのは、大きなインパクトがあると思います」との見方を示した。
挨拶の後、4人が基本合意書に署名し調印式を終えた。徳洲会は基本合意書の締結とともに「FRY to FLY Project」への参加を表明。これは「家庭や店舗などで発生した廃食用油を原料とするSAFによって、航空機が飛ぶ世界の実現」を目指すプロジェクト。徳洲会が加わり同日時点で参加団体数は160。